「遠い人から打つ」のは基本マナーですが、ゴルフルールではありません。~臨機応変なファストプレーのために~
- 2016.11.20
- トピック
ゴルフはプレーヤーを正しいルールやマナーへ導く“審判”が存在しませんので、プレーヤーひとりひとりがルールやマナーを守ることでプレーが成立するスポーツです。
ルールの重要性においては言わずもがなですが、マナーにおいてもお互いが気持ちよくゴルフをするためにルールと同じくらい非常に大切な部分になります。自分のプレーを楽しみながら、同じぐらい同伴のプレーヤーにも気配りができるようにしたいものですよね。
しかし、マナーは先輩に教えられたりしながら経験で覚えていくものですから、意外と個人差が出ることも。マナーのレベルは、必ずしもゴルフの技術と比例しているものではないのかもしれません。
「だからゴルフは面倒で嫌いなんだ」という声が聞こえてきそうですが、ゴルフの中でマナーは、プレーの進行上切り離せない存在なのです。
そんな中、多くのゴルファーに守られているのが「ホールに遠いプレーヤーから順番に打っていく」というマナーです。
これは進行の上でも合理的なマナーであり、しかもボールの前方に他のプレーヤーが進み過ぎてしまうのを防ぐというような安全面でも必要なマナーです。ですから基本的には守るべき大切なマナーであることは言うまでもありません。
しかしそうはいっても、ゴルフには時に臨機応変な判断も求められます。プレーを円滑に進めるためには、こういった判断も自分で行う必要があるのをゴルフでは忘れてはいけません。それなのに他のマナーには無頓着なプレーヤーでも、このマナーだけはどんな場面でも頑なに順守する方が実は多くいらっしゃるのです。
なぜ、特に「ホールに遠いプレーヤーから打っていく」マナーに関してこのようになってしまうのか?その理由を考えてみました。
順番を守らない自己中な奴と思われたくないから
最初に、先輩に教えてもらったりゴルフのマニュアル本など確認したりして、「ホールに遠いプレーヤーから順番に打っていく」というマナーを覚えると思います。そして、これを守らないと「周りの状況が良く見えていない自己中心的なプレーヤー」のレッテルを張られてしまいます。ですから、そのような不評を買わないように、他のプレーヤーの動きを観察し、自分の順番を待つことを覚えます。
これ自体は悪い事ではありません。しかし、これがのちにどんな場合でも絶対に先に打ってくれない、別の意味での「自己中なプレーヤー」になる可能性もあるのです。
例えば、自分以外のプレーヤーが林の中でボールを探し回っていたりする場面です。周りは「先に打ってくれればいいのに」と思っていることなど考えもせず、自分の順番だけを守り通します。
この手のプレーヤーは、自分がトラブルの際に、気をきかして誰かが先に打つことも嫌います。つまりそういった意味での「自己中」なのです。
打っていいのか判断するのが面倒だから
もう一つの理由が、「打っていいのか分からないから」です。
他のプレーヤーがトラブル状態で、林の中でボールを探していたり、ロストボールの代わりに新しいボールをカートまで取りに行っていたりしていると仮定しましょう。このような場合、前方のフェアウェイにある自分のボールを打っておくこともできるのですが、
「もうすぐボールが見つかるかもしれない」
「先に打ったら失礼かな」
などと考えているうちに、トラブルのプレーヤーがプレーできる状態になり、結局自分は打たないまま、ただボーッと待っているという状態です。自分で最適な行動の判断ができない「他力本願タイプのプレーヤー」です。
誰かに「先に打っておけば?」などと促されれば、それに応えますが、自分からは決して判断しません。こちらも一見マナーの良いプレーヤーに見えますが、実は周囲がイライラしている可能性は大いにありますね。
自分が楽な状態は、誰かが大変な状態であると考えよう
何故、このようなプレーヤーが多くいるのかというと、それは“楽”だからです。
誰かがトラブっているということは、自分にとっては時間や精神的に余裕が生まれています。この状態を“楽”と考え、それを自ら壊そうとはしないのです。
例えば自分のボールはグリーンエッジにあり、同伴プレーヤーがグリーン周りでオーバーを繰り返し、行ったり来たりしている時などです。こういった場面は移動するだけでも時間がかかりますよね。
しかし、待っているプレーヤーは素振りをしたり、そのプレーヤーを眺めていたりはしているのですが、「自分の順番じゃない」と考え、決して打とうとはしません。しかし本来、誰かがプレーすべき時に誰もプレーが進まない状態が続けば、それだけタイムロスに繋がります。
結果的にそのパーティーの進行が遅くなるわけですが、その理由は「○○さんがトラブっていたから」ではありません。実は進行が遅れた原因は、トラブッているプレーヤーがいるにもかかわらず、何もしなかった“あなた”です。
「自分は打つ順番もきちんと守る、マナーの良いプレーヤーだ」と思っているかもしれません。しかしそれよりも自分のパーティーの進行状態を気遣うことのできない「マナーの悪いプレーヤー」になってしまっている可能性大です。
自分の周囲にこのようなプレーヤーはいないでしょうか。もしくは自分がこのようなプレーヤーになってしまってはいないでしょうか。
「木を見て森を見ず」ということわざがありますが、もう一度ゴルフのマナーについて考えてみてはいかがでしょうか。
おわりに
基本のマナーから外れた行為は、判断が誤りである心配があります。ですから、「しない方がベター」と思う気持ちも分からなくはありません。
しかし、ゴルフの一番のマナーは「プレーヤー全員がお互いに気を配り、楽しくプレーする」ことです。このマナーが守れていれば、判断を誤ることはありません。
もう一歩進んだマナーができるスマートゴルファーを目指して、あなたもプレーしてみてはいかがでしょうか。