日本プロゴルフ協会は、昨年の12月20日に「LPGAアワード2016」表彰式を開催し、2016年に最も活躍した4選手が各賞を受賞しました。

その4選手は、2年連続で賞金女王に輝き5冠を達成した“イ・ボミさん”(韓国)、10月の日本女子オープン選手権で史上初となるメジャーアマチュア優勝を決めて、敢闘賞を受賞した“畑岡奈紗さん”(ルネサンス高等学校3年)、5月に行われたサイバーエージェントレディスで38歳で初優勝を決めた時のコメントがベストコメント賞として選ばれた“福嶋浩子さん”(神奈川県出身)、そして7月に行われた大東建託・いい部屋ネットレディスで初優勝した“ささきしょうこ”さん(兵庫県出身)が新人賞を受賞しました。

ささきしょうこさんが本格的にゴルフを始めて11年。家族の全面的な応援があり、そして家族の支えがあって、手に入れた初優勝です。彼女はどんなジュニア時代を過ごしてきたのでしょうか。

ささきしょうこ ゴルフの経歴

NEC Karuizawa 72 Golf Tournament 2016 - Day 1

Licensed by gettyimages R

父親と一緒に練習場に行ったことがきっかけで、ゴルフを始めた選手が多いですが、ささきしょうこさんはテレビで青木功さんの“世界ゴルフ殿堂”入りを見て、「私もこんな風に表彰されたい!」とゴルフを始めました。幼い頃は厳しい練習に、最初は嫌々だったという選手もいますが、しょうこさんは自ら志願して、プロゴルファーの道を歩んできたのです。

彼女は小学2年生でゴルフをしたいと伝え、本格的に始めたのは小学3年生の時です。父親の修治さんは、どうせやるならとことんやらせてあげたい!悔いが残らないようにしてあげたい!と勤めていた会社を辞めて、加古川市の自宅も売却。兵庫県内のゴルフコースに住み込みで夫婦揃って働き、家族で彼女の夢を全面的にバックアップしてきたのです。それは家族の大きな決断でした。

そして父親の修治さんは、岡本昭重プロ(岡本綾子プロの師匠)に指導も仰ぎます。その後、兵庫県の猪名川町へ移り住み、猪名川中学時代の2011年日本ジュニア選手権12歳~14歳の部で優勝して、その実力を発揮します。

ゴルフをやめたいと思ったこともありました。その時、父親の修治さんは「やめたかったら、やめればいい。でも悔いが残らないようにしてくれ」そう言い、彼女の夢を一番に考えていたのです。

実は、しょうこさんは幼少期には呼吸器系の持病があり、通学が思うように出来ないほど、虚弱体質でした。ゴルフを始めて半年は体づくりのために、腕立て伏せや腹筋、背筋などのトレーニングからスタート。

社会人ラグビーの経験もある父親の修治さんの口癖は、「スコアを求めるよりも、自分のゴルフを作り上げる体力を身につけろ」でした。

そして「最初は曲がってもいいから飛ばせ」という岡本プロの指導の下、中学3年生で280ヤード~290ヤード飛ばせるまでに成長していったのです。

高校に進学してからは、ゴルフ部には入らず、女子ツアーのマンデー(主催者推薦選手選考会)に挑戦します。自ら大会主催者に連絡を取り、出場を志願しました。高校3年生の時には、8試合中6試合でマンデーを通過する実力もついていたのです。

2015年7月31日、プロテストに一発で合格して、翌日にプロ登録します。この年のファイナルQTで36位に入り、翌年の出場権も獲得しました。そして2016年の大東建託・いい部屋ネットレディスで、ツアー初優勝を飾りました。

この大会の最終日、首位と1打差の3位タイからスタートしたささきしょうこさんが、スコアを3つ伸ばして、トータル9アンダーで初優勝しました。優勝に向けた舞台を前に、前日は眠れない、食事も喉に通らないほど緊張していたそうですが、芯の強さを見せつけました。

2位には、同期でもある岡山絵里さん。同期の対決となり、2位で終わった岡山さんは悔し涙を流しましたが、また次に頑張れる!と前向きな言葉も残しています。同期とは、どんな世界でも一番の友であり、ライバルでもあります。2人はこれから、互いに刺激を与え合い、成長してくれることでしょう。

ささきしょうこさんは、この年の賞金ランキング28位に入り、初のシード権も獲得しています。

ささきしょうこ プロデビューへの道

LPGA Awards 2016

Licensed by gettyimages R

昨年、ささきしょうこさんは第49回内閣総理大臣杯 日本プロスポーツ大賞においても、プロ1年目にして初優勝を遂げたことが評価され、新人賞を受賞。そして日本女子プロゴルフ協会(LPGA)の新人賞も受賞。そして日本ゴルフトーナメント振興協会(GTPA)選出の「ルーキー・オブ・ザ・イヤー」でも表彰され、ルーキーイヤーを華々しく飾りました。

2015年にプロテストに合格した同期23人の中で、優勝したのはしょうこさんだけです。

「新人賞はどんなに頑張っても一生で一回しか取れない賞。本当に嬉しいです」

「最終的に100点満点で終われた」

と優勝の喜びをコメントしました。

「来季(2017年)は、もっと上位にいれるようにしたい」

と次の課題もコメントしました。

しょうこさんは、子どもの頃はとても体が弱く、小児喘息や扁桃腺炎で40度を超える熱を出すことも多く、学校にいるよりも自宅にいることが多かった少女でした。最初は父親もゴルフなんて無理だと相手にしなかったそうです。

最初に彼女の真剣な思いを理解して、後押ししたのは母親でした。自宅まで売却して、ゴルフ場に住み込みまでしたのですから、しょうこさんのプレッシャーもとても大きかったでしょうね。とにかく強い選手になってほしいと、小学4年生の時には、実際に預金通帳も見せて、プレッシャーをかけたそうです。

幼い頃からゴルフを始め、ジュニア時代に数々の成績を残してプロとしてデビューする選手が多くいますが、しょうこさんは中学3年生になるまでジュニアの大会には出場はしませんでした。「成長期に重いキャディーバッグを担いでラウンドするのは、骨の成長にも悪い」という父親の方針で、ジュニアの大会への出場はあえて少なく、男子プロの地区オープンなどで腕を磨いてきました。

彼女自身も、男子のオープン競技を主戦場にすることで、「予選会を勝ちあがれば、(男子と)一緒にプレーできる。男子の力強いスイングや弾道を間近で見たかった」と言っています。

ですが、高校生になると、夢だけでは生きていけないと現実も見るようになりました。事実の重さも感じて、自分が頑張らなければ・・・と追い詰めた時期もあったそうです。でも早くプロになって両親に恩返しがしたい!そう願ってのプロテスト合格。そしてツアー初優勝です。プロとして活躍を見せ、手に入れた賞金はすべてそのまま両親に渡したそうです。

トレーニングを重ねるうちに風邪も引かなくなり、体も強くなりました。そして大きなプレッシャーが彼女の強い精神力を養い、それと同時にゴルフの実力も身につけていったのです。

幼い頃から現実を見て、他の選手とは違った経歴も持ちながらプロゴルファーとしてデビューした彼女は、他のプロゴルファーとは、ゴルフへの思いも少し違うかもしれません。

両親へ恩返しがしたい!更なる強い思いでツアー2勝目を目指します。

ささきしょうこ 目標

Daito Kentaku Eheyanet Ladies 2016 - Day 3

Licensed by gettyimages R

2016年度の「GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー」の表彰式で語った今季の目標は、

「2016年は、優勝以外でトップ5に入れたのは1試合しかなかった。2017年は、“いつも上位にいるね”と言ってもらえる選手にならないといけない。上位に常に顔を出せる選手になりたいです」

と力強く語りました。

そして改善したいところは、パーオン率、そして平均パット数です。

トップ10回数 3(42位タイ)
パーオン率 63.78(46位)
平均パット数 1.83(42位)
※2016年度

ツアーで初優勝したこと、シード権も獲得したことで、しょうこさんへの期待度、注目度も変わってきます。

運を見方につけて、3位からの逆転でツアー初優勝しましたが、もちろん運だけでは優勝はできません。実力のある選手であることは間違いありません。オフにはパーオン率と平均パット数を改善することで、安定したプレーができるようになることも課題です。

本名は「佐々木笙子」です。雅楽で用いられる“笙(しょう)”に代表されるこの漢字ですが、会場で“笙”という字が読み違えられてしまうこと、そして幅広い世代の人に名前を覚えてほしい!とひらがな登録にしました。それと字画姓名判断で、運勢がよかったから、全部ひらがなで登録したのだそうです。運はしょうこさんに向いているのかもしれませんね。

早くもツアー2勝目が期待されていますが、彼女の目標とする人は、岡本綾子さんです。ルーキーイヤーでゴルフを始めたきっかけとなった青木功さんのように表彰され、早々に夢を叶えました。

これからもっと大きな舞台で表彰されるような選手になっていくでしょう。今年成人式を迎えたばかりの若い選手の夢は、まだまだ終わりません。これからの活躍に期待しています。素敵な笑顔を見せてほしいです。

ささきしょうこ(Shoko Sasaki)

Daito Kentaku Eheyanet Ladies 2016 - Day 3

Licensed by gettyimages R

プロフィール
生年月日 1996年6月8日(20歳)
身長 170cm
体重 65Kg
血液型 O型
出身地 兵庫県加古川市
出身高校 クラーク記念国際高等学校
プロ転向 2015年
ゴルフ歴 9歳から
得意クラブ ドライバー、パター
ドライバー平均飛距離 265ヤード
所属先 日本触媒

ささきしょうこ 2016年度の主な成績

LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 18位タイ
伊藤園レディスゴルフトーナメント 10位タイ
樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント 11位タイ
富士通レディース 13位タイ日本女子オープンゴルフ選手権競技 28位タイ
ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント 27位タイ
NEC軽井沢72ゴルフトーナメント 23位タイ
大東建託・いい部屋ネットレディス 優勝
サマンサタバサ ガールズコレクション・レディーストーナメント 5位タイ
サイバーエージェント レディスゴルフトーナメント 22位タイ
ヤマハレディースオープン葛城 19位タイ
Tポイントレディスゴルフトーナメント 11位タイ
ヨコハマタイヤゴルフトーナメント PRGRレディスカップ 16位タイ

ささきしょうこ クラブセッティング

※大東建託・いい部屋ネットレディス最終日

ドライバー
マルマン VANQUISH by MAJESTY ドライバー(10.5度)
フジクラ Speeder Evolution Ⅲ(S、45.5インチ)

FW&UT
マルマン VANQUISH by MAJESTY フェアウェイウッド(3番15度、5番18度)
マルマン シャトル ユーティリティー フェアウェイウッド(3番20度、4番23度)

アイアン
マルマン コンダクター PRO-X キャビティアイアン(5番~PW)

ウェッジ
マルマン コンダクター PRO-X ウェッジ(52度、56度)

パター
オデッセイ ワークス BIG Tパター #5

ボール
ダンロップ スリクソン Z-STAR ボール(2015年)
※プロは頻繁にクラブ調整を行うため、実際の使用ギアとは異なる場合があります