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イ・ボミのサインから見る韓国選手のファンサービスはここが凄い!

イ・ボミさん、アン・シネさんなど、美人で可愛い、美しいと評判になっている韓国出身の選手たちが、日本で大活躍しています。そして今、韓国出身の選手たちのファンサービスが話題となっています。

「神対応」とまで言われ、彼女たちはファンとの距離が近いプロゴルファーとして、日本のファンを増やしています。ゴルフファンからは、イ・ボミ派、アン・シネ派、そんな声も聞こえてきそうですね。

一方、日本男子の選手はどうでしょうか。成績が悪かったり、疲れていたり、試合後はサインを待つファンに応じない選手がいることも事実です。そのせいなのでしょうか。男子ツアーの人気が低迷しているようです。

日本男子の選手に対して「もっとイ・ボミを見習え」と声が上がるくらい対応の違いがあるとも言われています。でもプロゴルファーもそれぞれの思いがあるでしょう。思いがあるでしょうし、彼らはファンサービスに熱心になりすぎて、プレーに集中できなくなってしまう方が、プロゴルファーとしては、失格だと考えているのかもしれませんね。

1.ファンに愛されるイ・ボミのファンサービスとは

母国の韓国では”スマイルキャンディ”の愛称で親しまれ、日本でもゴルフが上手い、可愛いと人気を集めているイ・ボミさん。彼女はゴルフの実力だけではなく、熱心なファンサービスが魅力の一つでもあります。

ファン一人一人を大切にするという彼女の謙虚な姿勢が、日本のイ・ボミファンを増やしています。彼女は、日本で活躍する海外選手の中でも、屈指のファンサービスを行っていることでも有名ですよね。

「ファンの期待に応えたい」
「ここまで来れたのは、支えてくれたファンのおかげ」
「良い時も悪い時も応援してくれるファンに私の笑顔を見せたい」
それが彼女の口癖なのだそうです。

試合で疲れていても、300人のファン一人一人に笑顔でサインや握手をする姿は、とても好感が持てます。周りが止めるまでサインを書き続けることもあると言います。そんな姿を見て、もっと応援したい!と思うファンもいるでしょう。

ある時、サインを求めたファンが出身地と名前を名乗ったことがありました。イ・ボミさんは、次に会った時にそのファンのことを覚えていて、○○さんお元気ですか?と声を掛けたのです。

顔と名前まで覚えているという神対応にファンも驚いたそうです。憧れのプロゴルファーが自分の名前を覚えていてくれたら、ファンとしては嬉しいですよね。大人数の顔と名前、出身地まで記憶することは、とても難しいことです。これは、ファンを大切に思うイ・ボミさんに自然と備わった能力なのでしょう。

イ・ボミさんのファンクラブ「ファンカフェ」の会員数は、3000人を超えています。年一回開催されるファンとの食事会には、イ・ボミさん自身も参加してファンとの時間を楽しんでいます。サインや写真撮影などに応じて、自ら会場を盛り上げているのです。

ファンクラブの会長は、「イ・ボミプロはとにかく思いやりがあって、人との接し方が素晴らしい。大皿の料理を自ら取り分けてくれて、しかも、”足りますか?”と声をかけてくれます。とても気を遣ってくれる」と話しています。

こういう気配りは誰にでもできることではありません。むしろ、賞金女王にまで上った選手が、ファンにここまでの気配りをしていることに驚く人もいることでしょう。これがイ・ボミ流のファンサービスです。

イ・ボミさんのファンクラブのファンカフェのキャッチフレーズは、

1.イ・ボミプロの笑顔を大切にする
2.ファンカフェファミリーの笑顔を大切にする
3.新たな笑顔を大切にする

これは2017年のキャッチフレーズですが、とても素敵なファンクラブだと感じました。彼女の周りは笑顔で溢れています。

イ・ボミさんの笑顔やファンサービスには、嫌味がなく、彼女の素朴さが現れているような気がします。優勝した時に、嬉し涙は見せますが、負けてしまった時の悔し涙は、決して見せることはないそうです。

でも昨年、思うように成績が残せなかった時に、車の中で涙を流したことがありました。それもファンの声援に応えることができないという不甲斐無さから流した涙だと言います。ここまでファンを大切に思うプロゴルファーが他にいるでしょうか。しかも、車に乗り込むまでは「お疲れさまでした!」といつものような笑顔を見せていたのです。

いつも笑顔のイ・ボミさんですが、ミスショットをしてしまった時には、暗い顔を見せることも時折あります。ですが、”人間らしい”と、逆に彼女のイメージをアップさせています。彼女の人柄が認められている証拠です。

ゴルフが上手い。
容姿が美人。
性格が美人。
いつも笑顔。
ファンを心から大切に思っている。

プロゴルファーとして完璧ではないでしょうか。彼女が日本でも人気の理由が、とてもよくわかりました。

2.アン・シネの神対応と呼ばれるファンサービスとは?!

イ・ボミさんと同じ韓国出身で、母国では”セクシークイーン”の愛称で親しまれているアン・シネさんは、膝上30センチのミニスカートがトレードマークのプロゴルファーです。モデル並みのプロポーションと可愛いルックスで日本でも人気を集めています。アン・シネさんのギャラリーやメディアに対する「神対応」も大きな話題になっています。

アン・シネさんは、日本ツアー初戦のワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップの初日で、ホールアウトの後に約40分間もの間、約500人のサインに応じたことで注目されました。彼女のこの神対応に関係者やギャラリーも驚き、韓国選手のファンサービスが徹底されていることを感じたそうです。今でもこのスタンスは変わらず、ファンの声援に笑顔で応えています。

ある大会で見られた場面です。試合後にメディアの対応を終えたアン・シネさんの元に、試合を観戦に来ていた小さな子供が「いつも応援しています」とボールを持って近寄ると、彼女はすぐに腰を下ろして、小さな子供と目線を合わせて「アリガトウ」と微笑んでサインに応じました。この姿に好感を持ったファンは多いと思います。

アン・シネさんが日本デビューを果たした当初から応援しているという男性ファンは、「彼女がホールを移動する時に”ナイスバーディ!”と声を掛けると、微笑みかけてくれたのが嬉しかった。200人くらいのファンの列に並んでサインをもらったこともあるのですが、笑顔で対応してくれて、ますます好感が持てました」と言っています。彼女は小さな子供や大人のファンのハートも鷲づかみにいているのです。

日本と韓国の移動や、会場での取材の対応、テレビのバラエティー番組の出演など、過密スケジュールの中でも、ファンサービスは怠らないという姿勢が好感を呼んでいます。ファッションでもファンたちを楽しませ、「明日のウェアは?!」と取材陣に質問されると、「明日の天候は?!」と逆に質問して、天候に応じてウェアを選ぶことを明かしました。

これも、プレーでファンを楽しませ、ファッションでもファンを楽しませるというファンサービスの一環です。これがアン・シネ流のファンサービスです。「日本では、たくさんのファンから応援と愛情をもらっています。いつも感謝の気持ちでいっぱい。韓国に戻った時も、日本のファンのことは忘れたことはありません」

ゴルフとは関係ありませんが、今年の5月には、写真集も出してファンを楽しませました。この写真集は、グラビアアイドルも顔負けの仕上がりなのだとか。写真集のタイトルは「Shine」。アン・シネさんの魅力が満載で水着姿も披露しているそうです。興味のある人は書店で探してみてください。ゴルフをしているアン・シネさんとは、また違った彼女の魅力が発見できるかもしれません。

ゴルフが上手い。
グラビアアイドル並みのルックスで美人。
小さな子供やファンに優しい。
いつも笑顔。
アン・シネさんが日本でも人気の理由がわかりました。

3-1.躍進する日本女子ツアー、後退する日本男子ツアー

日本で、韓国出身の選手の神対応が話題になり、韓国女子ゴルファーの人気が上昇しています。その韓国選手の活躍も相まってか、日本女子ツアー全体の人気も上昇しています。

一方、日本男子ツアーの人気が低迷しているのだそうです。スポンサーが減り、試合数も少なくなっているのです。その理由はどこにあると思いますか?

ファンサービスに熱心な日本女子ツアー選手に対して、日本男子ツアー選手のファンサービスはどうでしょうか。中には試合の後にファンのサインに応じることなく、ファンの声援に応えることもせずにクラブハウスへ戻ってしまう選手もいるといいます。

日本の男子プロに関して、芳しくない噂が出ていることは事実です。ファンが少なくなっているため、ギャラリーの数やテレビの視聴率まで落ちてしまっているのです。この危機的な状況を受けて、青木功さん、石川遼さんの二人に日本男子ツアーの立て直しが託されました。二人の力で、再び活気のある日本男子ツアーが復活するのでしょうか。

日本女子プロゴルフ協会(LPGA)は、2000年頃からファンサービスに力を入れています。今でもファンが増え、それにあわせてスポンサーも増えています。LPGAはファンサービスを義務付けているそうです。

年に数回、セミナーも開催され、選手たちはファンサービスとはどういうことなのか厳しく教育されています。さらに、この義務に違反した場合、高額の罰金が課されられるという徹底ぶりです。技術と同時にファンサービスの指導が行われ、ファンが増えているのです。

日本男子ツアーでもこういった教育制度が、数年前に導入されていると言いますが、実際にイ・ボミさんやアン・シネさんの対応と比べてどうでしょうか。人気が低迷している理由は、そこにあるのかもしれません。ちなみに米国ツアーでもファンサービスは義務付けられているそうです。

3-2.青木功、石川遼が日本の男子ゴルフを変えられるか

人気低迷の対策として、2016年3月、日本ゴルフツアー機構(JGTO)の新会長に青木功さんが就任しました。青木功さんは、低迷の理由を「ファンサービス不足」と言い切り、新たに「人を育む」という理念を作成して「プレーヤーである前に、人として人の模範になるべし」と掲げました。選手ばかりではなく、関係者を含めて活性化に向けて結束力を高めていきたいという気持ちから、「共に歩む」をスローガンに掲げ、国内男子ツアーの人気の上昇を目指しています。

「今の選手たちは“自分がやらなきゃ”という気持ちがあっても、それが口に出ないし、行動に繋がっていない。そこを変えていきたい。キツイことを言うかもしれないけど、“それが自分たちのためなんだよ”と言い続けたい」

「自分が経験したことを伝えたい。若い選手たちの意識も変わると思う。ゴルフ界へ精一杯の恩返しをしたい」

こうした思いで、青木功さんはゴルフ界を変えていくと言っています。ちなみに、JGTOの副会長には史上最年少で石川遼さんが就任しました。

3-3.石川遼が日本男子ツアーの為にかかげるテーマ「1」とは?

2018年1月には、石川遼さんが、国内男子ツアーのメンバーで構成される、ジャパンゴルフツアーの選手会長に就任しました。日本ゴルフツアー機構(JGTO)の副会長にも就任し、日本男子ゴルフを変える大役を任されたのです。

石川遼さんは歴代14人目の選手会長となり、史上最年少での就任です。”石川遼”という名はゴルフファンでなくともご存知でしょう。ゴルフ界のヒーロー。”遼くんフィーバー”を巻き起こした選手です。「自分自身もゴルフ界のためになれるなら、という思いを強く持って決断しました。日本ゴルフ界の発展のために、全力を尽くして参りたいと思います」と就任の際、コメントしました。

石川遼さんは、2018年の事業計画として「ファンサービスの向上」「ジュニア育成」「チャリティー活動」などを掲げています。彼の指針は「1試合でも増やす」「1%でも視聴率を増やす」”1”という数字をテーマにしています。

2018年4月パナソニックオープンの最終日、石川遼さんのプレーを一目見ようと9000人ものギャラリーが集まりました。まさに「遼くんフィーバー」といった光景です。プレーを終えてクラブハウスに戻るのも大変なほどの人気ぶり。インタビュー後は30分間のサインタイムを設けることで、ファンサービスを行い感謝の気持ちを伝えました。この日、石川遼さんが人気が低迷していると言われる日本の男子ゴルフツアーを一気に盛り上げたのです。

4.片山晋呉 プロアマ戦で招待客に対しての態度が問題に!何が起きたのか?

青木功さん、石川遼さんに日本の男子ツアーの立て直しが託される中で、ある選手が不祥事を起こし問題となりました。その渦中となった選手は片山晋呉さんです。

2018年6月27日、日本ゴルフツアー機構(JGTO)の定例理事会で、片山晋呉さんが起こした問題に対しての報告と処分の決定が行われました。

彼に対する処分は「制裁金30万円と厳重注意」とされ、本人も同席の元、青木功さんと石川遼さんも出席し、記者会見で頭を下げて謝罪しました。片山晋呉さんに何があったのでしょうか。

問題が起きたのは、2018年5月のことです。「日本ゴルフツアー選手権森ビルカップ」の試合に先立ってプロアマ戦が開催されました。片山晋呉さんと一緒にラウンドした招待客が、彼の行動や言動に不満を感じ、たった1ホールをプレーしただけで帰ってしまったということです。片山晋呉さんの不適切な行動が、招待客を不愉快にさせてしまったようです。

その行動とは、片山晋呉さんはプロアマ戦の当日、8時30分に設定された、集合時間のギリギリで会場に登場すると、挨拶もなくラウンドをスタートしたのだそう。どんなことでも、すべては挨拶から始まります。挨拶は、ビジネスでもプライベートでもどんな場面でも基本ですよね。

その後、一行はカートでスタートとなる13番ティーに移動しました。この移動の間には、片山晋呉さんと招待客との会話もあったと言います。ですが、招待客とポケットに手を入れたまま話しをしていたという噂もあります。少し横柄な感じがしませんか。

ティーオフしてボールがグリーンに乗った時に、招待客がプレーしているのにも関わらず持っていたティーをグリーンに投げると、ティーをカップに見立ててパッティングの練習を始めたのです。この時、招待客に対して一声かけたり、承諾を求めることはなかったと言います。一声かけていれば、もしかしたら状況は変わっていたかもしれません。身勝手な行動はマナー違反とも言えますよね。

その後、招待客がパットを外すと、片山晋呉さんは練習を中止してプレーに戻り、バーディーパットを決めてホールアウトのはずが、再びパッティングの練習を始めたのです。一緒にラウンドした招待客が14番に移動しても、片山晋呉さんは13番で練習をしていたのだとか。招待客に呼ばれ、ティーグラウンドに来た際も「まだ前の組がプレーしている」と趣旨を伝え、反省の言葉はなかったと言います。

「自身の練習に没頭し、同伴アマチュアへの配慮が不足している」と、招待客は怒ってハウスキャディーとカートに乗ってクラブハウスに戻ってしまったのです。片山晋呉さんは、その場で「すみません」と謝ったと言いますが、招待客の怒りは収まらず、大きな問題となってしまいました。招待客は大会主催者の森ビルの関係者で、共催会社として会場の看板にも出ていました。開催コースのメンバーでシングルの腕前。永久シード選手の片山晋呉さんとのラウンドを楽しみにしていたと言っています。

「この度は、同伴競技者に不快な思いをさせてしまい、本当に申し訳ありません」と謝罪して、処分を受け入れることを明かしました。数々の成績を残し、永久シードを獲得したことで、自信過剰になりすぎていたのかもしれません。

記者会見では、記者から「これまでもプロアマ戦の最中にパッティングの練習をしていたのか?」という質問に対して、「僕も20年やってきた中で、きちんとプロアマとはこういうものだということを教わらずに今まで来てしまったということはあったと思います」と答えました。

こういったプロの試合ではなくても、自分がプレーをしているのに、同伴者に何も声を掛けずにパッティング練習を始めたらどう思うでしょうか。アマチュア同士のラウンドでも不愉快だと感じてしまうこともあるでしょう。彼の「プロアマ戦とはこういうものだと教わらずにきてしまった」という言葉には少し無理があるように思います。

ですが、これまで男子プロは成績を挙げることだけが求められて、ファンサービスやメディアの対応はおろそかにされてきた傾向があります。これが片山晋呉さんが「教わってこなかった」と言っている部分なのかもしれません。

招待客とプレーするプロアマ戦は、ファンサービスの一環でもあります。青木功さんと石川遼さんは、プロアマ戦を大事にするという方針を掲げてきました。プロとアマチュアの交流戦を大事にすることで、男子プロのイメージを変えようという意図があったのですが、また少しイメージが悪くなってしまったようです。

片山晋呉さんだけではなく、サービス精神に乏しい選手が多いことも事実です。ファンが増えず、テレビ中継も減ってしまい、スポンサーが撤退していくという悪循環に陥ってしまっている。そのような感じでしょうか。もちろん全ての選手がそうだとは限りません。

ゴルフ界でたくさんの素晴らしい成績を残し、永久シード権を獲得した片山晋呉さんですが、ファンサービス精神が欠けてしまっていたのかもしれません。ファンへのありがとうの気持ちがあれば、行動や態度にも自然と現れていたことでしょう。

5.韓国選手の強さの秘密!徹底された教育とは?!

イ・ボミさんとアン・シネさん、2人の韓国出身のプロゴルファーのファンサービスが神対応だと言われ、日本のファンを増やしています。何よりファンを心から大切に思っている韓国出身の選手たち。日本の選手とは何が違うのでしょうか?

1988年に韓国女子プロゴルフ協会が設立され、韓国にゴルフブームを巻き起こしたのは、1998年にプロ入りしたパク・セリさんでした。米国女子ツアーでいきなり大活躍を見せたのです。

その後、全米女子オープン、全米女子プロ選手権とメジャー2大会を制したことをきっかけに、多くの子供たちが彼女に憧れてゴルフを始めました。イ・ボミさんや申ジエさんもその世代で、今の韓国ゴルフを強くしています。韓国から世界No.1の選手が出たことが、韓国ゴルフを強くして、急速に発展させる要因となりました。

韓国でゴルフを始めるジュニアの数は、日本と比べるとまだまだ少ないと言いますが、なぜこんなに強い選手が輩出されるのでしょうか。韓国ゴルフの強さの秘密の一つ。それは教育の差があります。

KGA(韓国ゴルフ協会)が実施している「国家代表・代表常備軍制度」という制度があることをご存知ですか?協会の主導で、代表選手を育成して、強化するという制度です。韓国がこの制度を取り入れたのは、1983年のこと。多くの選手がアマチュア時代には、この国家代表、代表常備軍を経験しています。

KGAに所属しているコーチの指導を受けることができ、ゴルフの技術、ウェイトトレーニング、メンタルトレーニング、ゴルフ理論、マナー講義などを学ぶことができます。しかも、無料で充実したレッスンを受けることができるのです。現役プロと一緒にラウンドするメニューも含まれるという合宿が行われるのですが、費用はすべてKGAが負担してくれるそう。この国家代表・代表常備軍に選ばれるということは、韓国ではエリートコースだと言われています。

ただし誰でもなれるわけではなく、人数の制限がある他、国内外で行われる1年間の公式戦(10~15試合)の成績をポイント換算して、そのポイントによって代表常備軍のメンバーが決まるという仕組みです。

なぜポイント制を採用しているかというと、客観性を重視した選抜を行うため。選手によって、好調だったり不調だったり波がある。選抜する側に不公平があってはいけない。公平かつ客観的に選抜するために、大会ごとに競わせるのです。選手たちは、どんな大会でも緊張感を持って戦うこととなり、自然と競争心を高めることができるというメリットもあります。

この代表常備軍に選抜されたからと言っても、まだまだ気は抜けません。次に国家代表の選抜大会に挑むことになります。この厳しい競争に勝ち残った者だけが、最終的に国家代表となれるわけです。

日本で活躍しているイ・ボミさんやアン・ソンジュさんは代表常備軍までで、国家代表にまではなっていません。4年間も国家代表だった選手もいれば、代表常備軍にさえ選抜されていない選手も活躍しています。でもこの国家代表を目指すことでジュニア時代から競争心を養うこととなり、選手全体のゴルフのレベルが上がっているのでしょう。

技術と同時にウェイトトレーニング、メンタルトレーニング、ゴルフ理論、マナー講義まで無料で学ぶことができるのですから、韓国選手たちのプロへの登竜門と言ってもいいでしょう。こうした徹底した教育があって、強くてファンサービスも怠ることがない選手たちが、日本でそして世界で活躍しているのです。

韓国出身の選手がゴルフの世界で活躍するということは、家族にとっても嬉しいこと。選手たちは自分のために、そして家族のために、国家代表を頂点にしたサバイバル競争に向かっていくのです。韓国の選手は、国を背負って戦うということを名誉として、誇りに思っている選手が多いと言います。自分のためにというより、国のために、そして家族のために頑張る、という意識が強いのだそう。

応援してくれる人がいるから頑張る。応援してくれる人がいるから自分はゴルフができる。そういう国民性から、ファンを大切にする気持ちが定着しているのですね。

6.「ありがとう」の気持ちの大切さ

青木功さんも石川遼さんも、日本男子ゴルフを変えるために、ファンサービスの向上を掲げています。プロゴルファーにとってファンサービスとはどういうことなのでしょうか。声援に応える、サインに応える、挨拶をするなど、いろいろな方法があるでしょう。でも一番はファンを思う気持ち、ファンあってのプロという気持ちではないでしょうか。

ジャパンゴルフツアーの選手会長に就任した石川遼さんは2014年7月、長嶋茂雄招待セガサミー杯で1年8カ月ぶりに優勝した時にファンの大切さを再確認したと言います。「やはりプロゴルファーはファンのみなさんがあってのものです。もっとみなさんが見やすいトーナメント、家族で楽しめるようなトーナメントができればと思います」
とコメントしました。

こういったトーナメントなどは、選手のための大会であって、ギャラリーための大会ではない。ギャラリー=ファンのためにプレーしているのはなく、自分の成績や賞金のためにプレーしている。確かにそういう考えもあるでしょう。ですが、日本女子ツアーの試合数は変わらないのに、日本男子ツアーの試合数は減っていることは事実です。よって賞金総額も減っています。

これは、やはりギャラリーの数が減っているということではないでしょうか。ギャラリーが入らなければスポンサーの数も減り、試合数も減ってしまいます。プロゴルファーとギャラリー=ファンはとても密接な関係であることがわかります。

素晴らしいプレーが出たときには、ギャラリーから拍手が送られます。その時に、ありがとう!の気持ちがある選手と、ありがとう!の気持ちがない選手。どちらに好感が持てますか?もちろん”ある”選手ですよね。どちらをこれからも応援したいと思いますか?男子ゴルフ界には、この「ありがとう」の気持ちが不足しているように感じます。ありがとうの気持ちがあれば、自然とファンサービスに繋がるのだと思います。

「ありがとう」は、とても大切な言葉です。プロゴルファーではなくても、応援してくれた人には「ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えますよね。応援してくれる人がいたから頑張ってこれた。応援してくれる人に励まされた。そういうこともあるでしょう。たとえ結果が出せなかったとしても、こんな時こそ「ありがとう」の気持ちを伝えるのではないでしょうか。

「ありがとう」の気持ちは言葉にしなければ伝わりません。その気持ちはゴルフだけではなく人として必要だと思います。ゴルフの実力で尊敬されても、人として尊敬されなくなってしまう可能性もあります。日本、そして世界で活躍している日本のプロゴルファーの態度が悪かったらどう思いますか?思ったようにプレー出来なくて、ファンの声援に応えることもなく、イライラと会場を後にしたら、日本人として恥ずかしいと思う人も多いのではないでしょうか?

「素晴らしいプレーを見せてくれてありがとう」
「応援してくれてありがとう」

ありがとうを送りあえることができれば、素晴らしい関係が築けることでしょう。ゴルフは自分との戦いかもしれませんが、ファンの応援があるからこそ、いいプレーが発揮されることもあるでしょう。

紳士淑女のスポーツの代表でもあるゴルフは、マナーやルールに厳粛です。「ありがとう」などのお礼は最低限のマナーだと思いませんか。

どんなことにおいても感謝の気持ちは、とても大切です。どんな時も誰かの支えがあって、何かに打ち込めるのです。人は一人では生きていけません。支えてもらって当たり前。応援してもらって当たり前。そんな風になってしまったら人はどんどん離れてしまいます。もちろんすべての選手がそうだとは限りませんが、誰かのそういう態度が全体のイメージダウンになってしまうことは確かです。

仕事や日常生活において、感謝の気持ち=ありがとうの気持ちだけは忘れずにいたいです。常に感謝の気持ちを持つことができる人は、幸福感を得やすい人だと思います。ありがとうは、性別や国籍、年齢などは関係なく、世界で共通する素晴らしい言葉です。イ・ボミさんやアン・シネさんが、お手本を見せてくれています。

普段ありがとうをあまり言わないな、と思ったら、今日は伝えてみましょう。ありがとうが素直に言える人は心が優しい人だと思います。心が優しい人は、きっと周囲からも優しくされています。そして、またありがとうの気持ちが生まれる。ありがとうを循環させることが大切なのではないでしょうか。

8.まとめ・日本のゴルフを盛り上げる為には?!

PGAの倉本昌弘会長は、現在の男子ツアーが置かれている危機的な状況について、「プロアマ戦の対応の悪さが指摘されているが、実際に一緒に回った人に話しを聞いてみるとそういう噂は聞かない」すべての選手がそういう態度ではないと通説を否定しました。女子の試合数が増えるのは、男子と比べると費用の安さもあげています。

そして、「男子選手は、プレーの喜怒哀楽が少ないし、魅力が乏しいから」と分析しています。テニスの錦織圭選手などと比べるとマスコミの対応も雲泥の差だと感じているそうです。ですが、マスコミの対応が雲泥の差だと感じるのは、視聴者のニーズが少ないからとも言えるでしょう。

男子ゴルフが再び人気を取り戻すためにには、やはりイメージをアップさせて、ファンを増やすことが必要なのだと思います。ファンが増えればゴルフが国民的なスポーツとなる日が来るはず。プロゴルファーに憧れて、毎日練習に励んでいるジュニアがたくさんいます。そのジュニアたちが、憧れの選手が横柄な態度をとっていたらどう思うでしょうか。ガッカリとして、プロゴルファーになりたいという気持ちがなくなってしまったジュニアもいるかもしれません。

今回不祥事を起こした片山晋呉さんは、自信過剰になっていたのかもしれませんが、自分の実力に自信を持つことは決して悪いことではありません。永久シードを獲得することは、実力がなければ不可能なのです。片山晋呉さんは、ゴルフの実力がある素晴らしい選手です。

国内女子ゴルフも徹底した教育でファンサービスに力を入れています。試合数やギャラリーの数も多く、活気で溢れています。日本プロゴルフ協会と、日本ゴルフツアー機構、そして、日本女子プロゴルフ協会が、更に発展することを祈っています。ゴルフがみんなに愛されるスポーツとなり、もっと普及すれば、ゴルフ人口も増えることでしょう。そうなれば、私たちゴルフファンも嬉しいです。

選手の皆さん、これからも素晴らしいプレーと笑顔を見せてください。笑顔で声援に応えて「ありがとう」と送ってくれれば、私たちファンも「ありがとう」と返します。ありがとうの気持ちがあれば、上手くいくことがたくさんあると思います。言った側も言われた側も、幸福度が増す言葉です。

プロもアマチュアももっとゴルフを楽しめるような環境を、ぜひ作ってください。サッカーワールドカップが開催され、世界中が盛り上がりました。ゴルフもあんな風に盛り上がるといいですね。これからの国内ツアーがとても楽しみです。

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