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ツアー系ゴルフボールの大革命の中で、自分に合うボールを見つける!

2017年春。ゴルフボールはゴルフ用具史上最も高性能になって、ゴルファーを助けるべく、市場に並んでいます。注目すべき点は、ツアーでトッププロが使用するボールに大きな変化があったことです。

ゴルフボールなんて、何を使っても同じというゴルファーもいますし、トッププロと同じボールを使ってみたいというゴルファーもたくさんいます。ゴルフボールは全てのストロークで使用する用具で、技術ではどうにもならない部分を助けてくれる重要なアイテムだからこそ、蔑ろにするのはもったいなのです。

ツアー系ボールの大革命って何?

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トッププロがツアーを戦うために使用するボールをツアー系ボールと呼んでいます。なんといっても代表的なのは、タイトリストの“プロV1”シリーズです。

強いて書きますが、昨年まではほぼ全てのツアー系ボールは、最も使用者が多い“プロV1”シリーズのボールに追い着け追い越せ、というテーマで開発されていました。上級者が違和感を感じないように、打ち応えなどは変わらないままで、機能を追加していくという各社のボールは、高性能になっていくほど、どんぐりの背比べになっていました。

3ピースや4ピースと呼ばれる多層ソリッド構造のボールをプロが使うようになったのは20世紀末です。プロゴルフ界を一新させることになるタイガー・ウッズがデビューし、その使用球が“プロV1”だったこともあって、ほんの数年でそれまでのツアー系ボールの王様だった糸巻きバラタカバーのボールは過去のものになり、ツアー系ボールと言えば“プロV1”という流れが出来上がったのです。

“プロV1”シリーズが、ツアー系ボールのトップを走り続けてきたのは、常に最高のボールを目指して貪欲に改革をしてきたからです。今回のモデルチェンジが9代目となりますが、過去のモデルチェンジで、前モデルと全く違うボールになったと評価されるときもありました。

ツアーで戦う一部のトッププロは、新しいボールを使わずに、以前のバージョンを使い続けるということもあったのです。良いと確信が得られた場合は、継続性に縛られることなく、吸収して改革をしていくところが、“プロV1”シリーズの凄いところでした。

2017年春に出た新しい“プロV1”と“プロV1x”は、前モデルとは別のボールと評価されても良いぐらい変わりました。面白いことに、先に発表されていた他のメーカーのツアー系ボールも同様な変化をしています。今までだと、“プロV1”シリーズが変わって、他者が追いかけるというパターンだったのに、今回はタイミング的には“プロV1”シリーズが後発という雰囲気になったのです。

ツアーの世界が気になりました。トッププロの何割かが拒否をするかと注目していましたが、欧米のツアーでは、大きなモデルチェンジ後とは思えないほど順調に新しいボールを使うトッププロが増えたのです。つまり、この改革はツアープロが求めていた改革だったと推測できます。

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全ての始まりは、2016年の春に発売されたボールから始まっていました。ブリヂストンスポーツの“TOUR B330”シリーズです。現在は、Bマークエディションという追加バージョンが発売されて、タイガー・ウッズが選んだボールとしても話題になっていますが、このボールが市場に投入されたのが2016年の春です。

“TOUR B330”シリーズは衝撃的なツアー系ボールでした。それまでのツアー系ボールでは考えられないような変化は、やわらかく、つぶれることで飛ばすという基本構造とショートゲームでの繊細な感覚に応えるという機能の両立です。

簡単に書くと、飛びに特化したディスタンス系のボールの性能は維持しながら、必要なスピン性能をケースバイケースで発揮できるようにしたボールなのです。それも、ツアーで戦うトッププロが満足できるレベルで可能にしました。

今までのツアー系ボールに慣れていたゴルファーは、過去のツアー系ボールとは違いすぎることに戸惑いました。だから、評価はそれほど高くはありませんでした。僕はコースに持ち込んでテストするので、感覚とか計測データとかを越えて、現場で結果が出ることを目の当たりにすることが時々あります。期待をはるかに超える結果が出て、すぐに使用球として“TOUR B330X”をチョイスしました。平均スコアも良くなり大満足でした。

2017年春のツアー系ボールは、過去に例がないほど違うものになっています。そのコンセプトは異口同音に『やわらかく、つぶれることで飛ばすという基本構造とショートゲームでの繊細な感覚に応えるという両立』なのです。

僕は“TOUR B330X”を使用していたので、基準がリセットされていました。新しいボールを色々と打って、すぐに、なるほど、と思い、感覚的な部分の微細な差を判別することができました。しかし、多くのゴルファーは、やわらかく、つぶれることで飛ばすという基本構造に慣れていないので、戸惑っている最中のようです。

ブリヂストンスポーツのボール開発力は世界一です。多層ソリッド構造のボールも、ウレタンカバーも、世界に先駆けて最高レベルの製品化をしてきたことは歴史が証明しています。2016年の春に“TOUR B330”シリーズで、ツアープロも満足する『やわらかく、つぶれることで飛ばすという基本構造とショートゲームでの繊細な感覚に応えるという機能の両立』ができているゴルフボールがあることを世に知らしめました。

その方法や考え方に対抗するのではなく、潔く同じ流れに乗ったほうが将来的に有利だと考えて、他社も追随することになったのが、2017年の春のツアー系ボールの大改革なのです。この流れは、もう止めることが出来ません。

『やわらかく、つぶれることで飛ばすという基本構造とショートゲームでの繊細な感覚に応えるという機能の両立』というコンセプトで開発されたボールの最大の特徴は、ドライバーのように強いエネルギーで打たれたときに低スピンになって、ウェッジになるほど逆に高スピンになっていくことです。

先駆けとなった“TOUR B330”シリーズは、ツアーボールとしての完成度が高かったことが影響して、安易に総合力で勝負することは簡単でありません。

各メーカーから2017年の春に発売されたツアー系ボールは特徴を明確にしています。面白いことに、それが個別のゴルファーにジャストフィットする場合と、逆にどうしても使えないと諦める場合にはっきりと分かれる要因になっています。新しいツアー系ボールは、自分に合っているものを選べば最高のパフォーマンスを発揮してくれる可能性があると言うことです。

ツアー系ボールは硬くてヘッドスピードが速くないと使いこなせない、というのが常識でしたが、やわらかくなったことで、普通のアマチュアゴルファーでも使えるようになりました。このチャンスを活かすも殺すも、自分次第です。

どのボールが自分に合っているのか?

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2017年の春に発売されたツアー系ボールで、どれが自分に合っているのか?正確には試してみなければわかりません。机上の理論で選択することは可能ですが、理屈を超越してスコアに反映するゴルフ用具があるのも事実で、それがゴルフの面白さの一部分でもあるのです。

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ヘッドスピード42m/秒の僕が、ゴルフコースに持ち込んでプレーをしてみてわかることは参考になると思いますが、全てのゴルファーに当てはまるものではありません。例えば、スリクソンの“Z-STAR XV”とテーラーメイドの“TP5x”は、総合力が高いツアー系ボールですが、僕のヘッドスピードでは、機能が引き出せないと感じました。もっとつぶせれば違う結果が出そうだという予感はありましたが、無い物ねだりはゴルフのプラスにはなりません。

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『やわらかく、つぶれることで飛ばすという基本構造とショートゲームでの繊細な感覚に応えるという機能の両立』というコンセプトで作られたツアー系ボールは、程度の差はありますが、ドライバーで打たれたときに低スピンになる傾向が加速しています。今までのボールで、適切なスピン量のボールを打つことが出来たゴルファーは、低スピンになり過ぎてボールがドロップしてしまうこともあるかもしれないので注意が必要です。僕も含めて、ドライバーのスピン量が多くて悩んでいたゴルファーには、嬉しい傾向です。

まずは、ドライバーで打った場合に特化して考えます。2017年の春のツアー系ボールの中で、僕の場合、ドライバーで打って、最も飛ぶ結果になったのは、キャロウェイの“クロームソフトX”です。タイトリストの“プロV1”と“プロV1x”も飛ぶことを実感しましたが、最長飛距離という意味では“クロームソフトX”に軍配が上がります。

これはほぼ全ての新しいツアー系ボールに当てはまりますが、低スピンであることは、曲がりも小さくなります。これは優劣がつけにくい部分ですが、いわゆる直進性が高いという機能にもリンクします。個人的なこだわりになるかもしれませんが、打ち応えと弾道がリンクしていないとゴルフをしている気がしないのです。よって、自分で使うボールの場合は、弾道がイメージ通りかという点をかなり重くみています。

飛ぶけど、弾道が気に入らないものは、使用している内に、そのボールでも理想の弾道を打とうと無意識にスイングに変更を加えたりするのがゴルファーの本能です。結果として、ドライバーは良いのにアイアンが当たらなくなったり、奇妙な不調から抜けられなくなったりするのです。

ドライバーで打った弾道が思った通りで美しいと感じたボールは、テーラーメイドの“TP5”でした。補足しますが、それでも使用球である“TOUR B330X”には負けます。もちろん、それは個人的な感想で、絶対的なものではありません。

次にフェアウェイウッドやハイブリッドです。地面に置かれたボールを打つ場合、ボールを高く放つのに、ドライバーよりもパワーも、技術も必要になります。ドライバーで低スピンになるボールは、ロングディスタンスを打つクラブでもその影響を受けて、当たっているのに浮力不足で飛ばなかったり、ボールの低さで悩まされることがよくあります。

キャロウェイの“クロームソフトX”は飛距離性能は素晴らしかったのですが、僕のヘッドスピードだと上がって欲しい高度まで上がりきらない傾向がありました。これはスピン量が足りないために起きる現象です。高さは足りないけど、トータルの距離は出ていました。

この分野で最も好感触だったのは、タイトリストの“プロV1”と“プロV1x”です。適度にスピンも入るようになって、高さも思った高さに上がっていきます。スリクソンの“Z-STAR XV”も高いレベルで満足しました。続いて、ミドルアイアンですが…… この分野が最もバラツキがありました。大きなものではありませんが、無視できるほど小さくもない数ヤードの差です。

風の中でも、グリーンが固くとも、安定していたのはタイトリストの“プロV1”と“プロV1x”です。やや飛距離性能が劣ると感じさせながらもスリクソンの“Z-STAR”シリーズも安定しています。面白かったのは、テーラーメイドの“TP5”です。飛距離性能は十分で、ややボールが低めな感じがするのですが、思いの外、ちゃんと止まるのです。

逆に追い風になるとボールが止まらなくなってしまって、手に負えないと閉口したのはキャロウェイの“クロームソフトX”でした。飛距離性能も優秀で良い感じだっただけに残念でした。参考にまでに、この分野において使用球の“TOUR B330X”は飛距離性能でも、安定度でも抜群です。

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ラウンドで使っていて、2017年春に出たツアー系ボールはショートアイアンが最も差が出るものになりました。狙い通りに打てて気持ちが良かったのはテーラーメイドの“TP5”です。ショートアイアンになると強烈にスピンのかかりが良くなります。浮力も増すので、気持ち良くボールが上がります。

そして、ウェッジに近くなればなるほど同じようにスピン性能が突出したのはキャロウェイの“クロームソフトX”です。ウェッジのスピン性能は素晴らしい、の一言でしたし、高低の打ち分けにも敏感に反応してくれました。

他のツアー系ボールも、ショートアイアンではスピン性能が増すという傾向がありました。ただ、同時に、ヘッドスピード不足を感じさせるもう一押しが足りないという感触もありました。スコアを安定させる意味で、ショートアイアンの役割は重要です。バックスピンがかかることが優秀ということではなく、狙い通りに止まるかが問われる分野となります。

スピン量は多いけど風に弱いとか、弾道を打ち分けたときに思った通りのキャリーが出ないとか、不満があるのも個性がハッキリしている証拠だと思います。開発時に契約プロの要望でチューニングしたことがわかるような気がしました。技術で補うのではなく、ショートアイアンは切り札のようにストレスなく狙った所に止めたい。だからこそ、ツアー系ボールを使う意味があり、それぞれのゴルファーとの相性があるのです。

最後にショートゲームです。色々な球種をバランス良く打てると感心したのは、タイトリストの“プロV1”と“プロV1x”とスリクソンの“Z-STAR XV”です。ウェッジを使いこなすことに、ボールも応えてくれるのは快感です。信じられないほどスピンがかかることに驚かされたのはキャロウェイの“クロームソフトX”でした。普通だったら止められないようなシーンでも、特別な手応えはしないのにスピンがかかるのは不思議でした。

ショートゲームでは、試打した全てのツアー系ボールの使い勝手や感触はかなり似ています。元々の“プロV1”シリーズのクォリティーをお手本にしているからだと思われます。ボールがフェースに乗る感触や、弾く感触には若干の違いがあり、球種の打ち分けはあまり得意ではないというボールもありましたが、この辺りは良い悪いではなく、好き嫌いになるのだと思います。一般的なゴルファーの多くは、グリーン周りで色々な球種を打つ人は少ないので、あまり重要ではないのかもしれません。

僕はショートゲームのときだけ、打音にこだわりがあります。澄んだ高音の打音はどのツアー系ボールでも追求していますが、その点については、使用球である“TOUR B330X”が最も好みに合い、他のボールは敵わないと思いました。これは好きな音楽が違うようなもので、機能とは言えませんが、なかなか興味深いものでした。

さて、読んでいて各分野で自分は何を優先しているのか?というイメージや答えがあるゴルファーは、それぞれ具体的に挙げたツアー系ボールで「これが合いそうだなぁ」という候補が固まったと思います。まずは1スリーブを購入してコースで試してみてください。合うボールの場合は、ハーフもプレーすればしっかりと結果が出ます。

なんだかわからないという人も、気になったボールを同じように試してみましょう。使ってみたらスコアが良かったとか、いつもより調子が良かった気がするとかいうような曖昧な感想でボールを決めるのも、決して悪いことではありません。有名なプロゴルファーでも、理屈じゃなく、普通に使って1ラウンドしてみれば、途中で「このボールを使って試合に出よう」とか、「これは良いかもしれないけど、自分には合わない」とか、自然と答えが出る、と公式にコメントしているほどなのです。

トッププロが使用するボールを一般のアマチュアが使うのは、見栄をはって、無理をしているだけの愚行でした。しかし、それは過去の話になりつつあります。非力でも、最低限の機能を発揮して、ゴルフを楽しめるツアー系ボールが出てきたからです。単純に、好きなプロゴルファーと同じボールでゴルフを楽しむのもありなのです。

『やわらかく、つぶれることで飛ばすという基本構造とショートゲームでの繊細な感覚に応えるという機能の両立』というコンセプトで科学力を結集したツアー系ボールを楽しみましょう。それは、2017年にゴルフをしているゴルファーの特権なのです。

スペック

テーラーメイド

<TP5 ボール>
★発売日    2017年4月上旬
★構造     5ピース
★カバー    サーモセットウレタンカバー
★カラー    ホワイト
★価格     オープンプライス

<TP5x ボール>
★発売日    2017年4月上旬
★構造     5ピース
★カバー    サーモセットウレタンカバー
★カラー    ホワイト
★価格     オープンプライス

キャロウェイ

<CHROME SOFT X ボール>
★発売日    2017年3月3日
★構造     4ピース(ソフトウレタンカバー)
★カラー    ホワイト、イエロー
★価格     オープンプライス

タイトリスト

<プロV1>
★発売日    2017年2月3日
★構造     3層マルチコンポーネント
★カバー    ウレタン・エラストマー・カバー
★ディンプル   352ディンプル
★価格     オープン

<プロV1x>
★発売日    2017年2月3日
★構造     4層マルチコンポーネント
★カバー    ウレタン・エラストマー・カバー
★ディンプル   328ディンプル
★価格     オープン

ダンロップスポーツ

<スリクソン Z-STAR>
★発売日    2017年2月10日
★構造     ウレタンカバー3ピース
★カバー    高耐久0.5mm極薄スーパーソフトウレタンカバー
★ミッド    高反発アイオノマー極薄ミッド
★コア     スーパーソフト E.G.G. 大径コア
★ディンプル  強弾道338スピードディンプル
★コーティング Spin Skin コーティング
★カラー    ホワイト、プレミアムホワイト、ロイヤルグリーン、プレミアムパッションイエロー、プレミアムパッションオレンジ
★ボールNo.   1,2,3,4,5,6,7,8
★価格     オープン

スリクソン

<Z-STAR XV>
★発売日    2017年2月10日
★構造     ウレタンカバー4ピース
★カバー    高耐久0.5mm極薄スーパーソフトウレタンカバー
★ミッド    高反発アイオノマーミッド
★コア     高反発 E.G.G. 大径2層コア
★ディンプル  強弾道338スピードディンプル
★コーティング Spin Skin コーティング
★カラー    ホワイト、プレミアムホワイト、ロイヤルグリーン、プレミアムパッションイエロー、プレミアムパッションオレンジ
★ボールNo.   1,2,3,4,5,6,7,8
★価格     オープン

ブリヂストンスポーツ

<TOUR B330X>
★構造     ウレタンカバー3ピース
★カバー    高耐久ソフトウレタン
★ディンプル  シームレス330デュアルディンプル
★価格     オープン

<TOUR B330S>
★構造     ウレタンカバー3ピース
★カバー    高耐久ソフトウレタン
★ディンプル  シームレス330デュアルディンプル
★価格     オープン

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