ゴルフボールの直径は昔より大きく、飛ばなくなっている?! 昔のスモールボールを実際に打ってみよう
ゴルフと言うスポーツは道具の進化によって常にプレイスタイルが変わってきました、パーシモンクラブを使っていたころはドライバーで250ヤードを超えるとロングヒッターと呼ばれていたのに、今では270ヤードオーバーの初心者を見かけるほどです。
進化の速度は目覚ましく、ボールの飛距離は以前にも増して伸びましたが、実は「昔のボールの方が飛んでいた」と言うことらしいのです。
ラージボール誕生の理由とその結果について
ゴルフ創成期のころは水鳥の羽根を丸めて固めたものをボールにして庭などで興じていましたが、ゴム素材のボールができたことで格段に飛距離は伸びて、ゴルフコースのセッティング自体がガラッと変わるほどの変化をもたらしたのです。
ゴム製のよく飛ぶボールができたため、飛距離が伸びたわけですが。
それは、水鳥の羽根と比べると遥かに硬いゴムボールを打っても折れないシャフトと割れないフェイスを開発する技術があったからこそ、可能になったわけです。
飛距離が伸びたおかげで長い距離を持つチャンピオンコースが必要になります。それにより、既存の箱庭のようなレイアウトは台無しになりました。
日増しに飛ぶようになり、ついには飛ばないボールで競技をする決まりをつくるほどになってしまいます。
そういった経緯で、現在使われているラージボールが採用されました。当初は一種類しかなかったので「ボール」とだけ呼んでいましたが、「ラージ」ができたことで以前の一回り小さいボールを「スモール」と呼ぶことにしたのです。
わずか1.52 mm大きくなっただけの直径42.67mmのボールですが、当時としてはパチンコ玉からピンポン玉に変わったくらいの感覚だったと言われています。飛距離は見事に落ちましたが、プレイヤーの潜在的に持つ欲求「飛ばしたい!」という想いがメーカーを動かし、結果的に科学の粋を集めたクラブを開発することになったのです。
ところが、そうした努力も束の間。またしても飛ぶクラブの使用を中止する決まりが作られ、飛距離に対する規制がされることになります。
そして今度はシャフトによって飛ぶクラブが開発されることになり、延々と続く運営側と開発業者側との果てしないせめぎ合いが行われています。
違反のデカヘッドでスモールボールを打ってみます
そこでラージボールよりも飛ぶ「スモールボール」と、反発力のスゴイ「中空デカヘッド」と、シャフトのしなりでスイングスピードを上げることができる「グラスファイバー製シャフト」を組み合わせて、飛びの条件を揃えてどのくらいの違いがあるかの実験をすることにしました。
ヘッドは某有名メーカーのチタン製、スモールボールはレトロ感漂うダンロップ65です。
しかも飛距離を約束することで有名な黄色いシャフトを挿しています。心配なのは保存状態抜群とはいえ約40年前に作られたスモールボールの耐久性です。
いくら暗室保存していてもゴムの反発数はかなり落ちているはず、場合によってはインパクトでボールが潰れて反発することなく破裂するかもしれません。もしくは石のように固まっていて鉄球を打ったような打感で全く飛ばないことも予想されます。
アベレージのドライビングキャリーが250ヤード、ランを加えると270ヤードはコンスタントに飛ばすことができ、今回は夢の300ヤード超えを狙って、ベースボールグリップで握り一本足打法で全体重をボールに込められるように思いっきり引っ叩くつもりです。
ビシ!と凄い音がしました
ティアップしたボールは明らかにいつもよりも小さく見えます。先人の例えのようにピンポン玉がパチンコ玉になった感覚で、それだけにすごく飛びそうな気がしてきます。
スイングで気を付けたことはヘッドアップをせずにインパクトゾーンで確実に打つこと。ボールが小さくなったことで、確実にフェイスの真ん中よりも少し上にあるインパクトゾーンに当てることに集中しました。
ゆっくりとしたテイクバックでトップまで引き上げ、左肩のリードでデカヘッドを振り下ろしました。
見事狙い通りにスモールボールに命中しました。
・・・が。
「ビシ!」と銃弾でガラスが割れたような鈍い音が聞こえました。
通常、良いスイングでインパクトゾーンに当たると、スーッと抜けるような打感で反発圧を感じることはありません。
イメージでは、「チーン」とか「コーン」と音を鳴らし飛び出すはず。
そして手のしびれは尋常ではありません。
・・・なんとクラブヘッドはものの見事に割れていました。
たった一発のショットでロケットの先端部分に使われるチタンが割れるほどの衝撃があったことになります。
ちなみに、物凄い初速で飛び出したボールはいつもとは違う低い弾道で飛んでいきました。
なぜヘッドが割れてしまったのか?
それは不明です。
昔のクラブと比べると薄くて軽い構造になったことでスイングスピードは上がり、さらにシャフトのしなりも進化していて、ヘッドスピードも上げてくれます。
反発係数は以前とは比べものにならないくらい進化して上がっていますから、それが原因かもしれませんが、裏付けはありません。
もしかすると実験で使用したボールが古すぎて、本当にパチンコ玉よろしく鉄球のように硬くなっていたのかもしれません。
もう一度チャンスを!と思い、気を取り直して昔懐かしいパーシモンのクラブで打ってみました。
すると、柔らかい打音が響き、綺麗な放物線を描いてボールは飛んでいきました。
鉄製のチタンは割れたのに、柿の木製のパーシモンは割れなかったわけです。
つまり、鉄より柿の木が強い!というのが今回の結論です。