パター選びのチェックポイントとは?
そろそろボーナスシーズンですね。忘年コンペ、新年コンペも控えているというゴルファーも多いことと思います。気分転換にパターでも購入しようかなとお考えの人もいるでしょうね。
パターを購入するとき、皆さんは何を基準に選んでいますか?ドライバーやアイアンに比べて、ゴルフメーカーのパターに対する宣伝量も少ないため、どんなパターが果たして自分に合っているのか、理解している人はあまりいませんよね。結局、有名プロが使用しているパターや、口コミで選んでいるのではないでしょうか?
誰もがご存知の通り、グリーン上やその近辺にあるボールを転がして、カップに入れるために使用するクラブがパターで、ラウンド中に行うストロークの50%~30%は、パターを使用するという圧倒的に使用頻度の高い極めて大切なクラブ、それがパターなのです。にもかかわらず、そんな重要なクラブでありながら、あまり考えもせず、選んでいる人がたくさんいるのが現状です。
パター選びには絶対に見落とせないチェックポイントがいくつかありますが、今回はそんなチェックポイントとパター選びにお役に立つような様々な知識について解説いたしましょう。
目次
まずは第一印象、入りそうな顔が大事
パターは狙った方向にスムーズにボールを転がせるか否かで、その善し悪しが決まります。プロゴルファーにパター選びのポイントを取材しますと、大抵の人がまず「顔」だと答えます。
「顔」とは、まずは理屈抜きに入る気がするヘッド形状です。つまり、たくさん並んでいるパター売り場で一目惚れするようなパターを選ぶことが大切なポイントです。と同時に、自分に本当に合っているパターが、どんなタイプであるか判断する上で重要なチェックポイントを抑えておくことも必要なことです。
具体的には、アライメント(方向)の正確性、距離感の精度、好みのフィーリングと打感、スムーズに転がせる適度なロフト角などがあります。そんな観点から、パターヘッドの形状や注意しなくてはいけないパターのスペックなどについて詳しく解説いたしましょう。
パターのタイプとヘッド形状は5つに分類できます
パターは他のウッドクラブやアイアンと比較すると、様々なスタイルのものありますが、ヘッド形状によって、ブレードタイプ(L字型)、ピンタイプ(ヒール&トゥ・バランス)、マレットタイプ(カマボコ型)、ネオマレットタイプ(カマボコ型の変形型)、そして、L字マレットやカマボコ型のピンタイプなどのような変形型の5つに分類されています。また、アンカリングに関するルール変更後も中尺、長尺パターを使用するゴルファーも多く、多種多様なパターが出回っています。
元来、ゴルフが生まれた創世記のパターは、他のクラブと同じ形状であるL字型でしたが、最初のパター革命ともいわれたのがキャッシュインタイプです。当時あまりにも入ってしまうということから、一時は使用禁止になった時代もあるといいます。
パターが現在のような形状になったのは1960年代に入って発売されたピンタイプの頃からです。カーステン・ソルハイム博士が設計したピン・アンサー(PING ANSER)はスウィート・スポットを広げる目的で、バックフェースのヒールとトゥ側に重量の多くを配分したヘッド形状とクランクシャフトのように曲がったホーゼルのようなネックが特徴のパターで、現在においてもこの形状のタイプを使用するゴルファーは非常に多くいます。これもまた、パターの大きな革命であったことに間違いありません。
それから約30年後、パター新時代の幕開けを飾ったのはオデッセイではないでしょうか。マレットタイプの「ロッシーⅠ」と「ロッシーⅡ」が世界中で大ヒットしたのです。それはストロノミックという樹脂をパターフェースにインサートしたパターで、マレットタイプの打感を改善した画期的なモデルだったのです。
以後、オデッセイはいろいろなタイプのフェース・インサート・パターをヒットさせて、パターのナンバー1メーカーまでに成長しました。最近のマレットやネオマレットタイプのパターには、クラブヘッドの重心深度(クラブフェースからヘッドの重心までの距離)を深くすることで、パターフェースの下のほうに当たったいわゆるミスヒットしたパットでも、ボールの転がりを良くしようとするデザインや重心距離が長く、パターヘッドの慣性モーメントを大きくしてヘッドが返り難いデザインのパターも数多く出回っています。
さらに、視覚的にストレートにパターを振りやすくなるような工夫、代表的な例としては「2ボール」など、ヘッドの形状や重量配分などの面で、様々なデザインのパターが発売されており、ユーザーの選択肢の幅が広がっています。
ストロークのタイプによって違うパターのバランス
近年流行りのマレットタイプは、基本的に指の上にシャフトを乗せ、パターを水平な状態にすると、パターフェースは真上を向きます。
このタイプはフェースバランス設計のパターといいます。このタイプのパターは、ストローク中パターフェースがスクウェアにキープしやすく、ストレートにパターを上げて、ストレートに出す意識でパッティングストロークをするゴルファーに適していると言われています。
それに対して同じように指の上にシャフトを乗せ、パタ-ヘッドのトゥが下を向くようなデザインのパターをトゥ・バランスのパターといいます。このタイプのパターはストレートにストロークするのではなく、インサイド・インのイメージでストロークするゴルファーに向いていると言われています。
ちなみにピンタイプのパターはトゥ・バランスですが、フェースバランスとトゥ・バランスの中間的なタイプも含め、フェースバランスではないパターをノン・フェース・バランス・パターと言うこともあります。
あなたはストレートにストロークするか、インサイド・インでストロークするか、どちらのタイプですか?
意外に重要視されていないパターのロフト角
あなたは現在使用している自分のパターのロフト角を知っていますか?「えっ、パターにロフト角なんてあるの?転がすクラブなんだから、0度じゃないの?」なんて言うゴルファーもいるかもしれませんね。
パッティングをスローもションで見ると、ヒットした直後は僅かですが一瞬空中に飛び跳ねてから転がっていくことが分かることから、どのパターにも必ずロフト角はあります。通常は2度~5度のロフトがあるのが一般的で、芝の短い速いグリーンでは、ロフトが少ないほうが適していると言われます。また、ボールをヒットするとき、シャフトと地面との角度が垂直であれば、ロフトは3~4度くらいがいいと言われています。
しかし、ハンドファーストに構えてストロークするタイプのゴルファーであれば、ロフトは当然立ちますので、多めのロフトのパターが、反対にボールを左に置いてアッパー気味に打つタイプのゴルファーは少なめのロフトのパターを選ぶといいでしょう。
シャフトとホーゼルも重要視しましょう
シャフトやホーゼルが曲がっていて、パターフェース面がシャフトよりも後方にあるものをオフセット・パターといいます。シャフトがヒール寄りについているタイプをヒール・シャフト。そして、ヘッドの中心に近いところに装着されているものをセンター・シャフトと呼びます。
通常、パターのスウィートスポットは、大体パターヘッドのセンターにありますが、ネックのデザインによっては若干ヒール寄りにあるものもあります(L字型パターに多い)ので、現在使用しているパターの芯をよく確認しておく必要があります。
パターのフェース面を上に向けて、そのフェース面のいろいろな場所でボールを弾ませると、どこにスウィートスポットがあるか確認できます。よくパターのセンターにラインやマークがあり、真の場所を示しているものが多いですが、その位置と実際の芯が必ずしも一致しないパターもあるので、注意するポイントのひとつです。
シャフトの長さは大体32~34インチがスタンダードですが、ベリー・パターと呼ばれる長めの中尺や長尺パターを未だに使用しているプロゴルファーも多いです。ですが、2016年からストロークの起点を作って打つアンカリングが禁止されたこともあって、最近ではこのようなパターの人気はなくなってきました。
シャフトの長さは、アドレスしたときに目の真下にくる長さがちょうどいいとされていますが、長過ぎると、ボールと体の距離は離れ過ぎてしまいますし、短過ぎると、体とボールが近くなり過ぎてしまいます。
また、ハンドダウンに構えるゴルファーならば、シャフトが寝てくるので、標準的なライ角のパターではトゥが浮いてしまうだろうし、その反対のタイプならば、シャフトは立ってくるため、トゥ側が浮いてしまいます。
ですから、自分のパッティングフォームに適しているというライ角というものが必ずあるわけで、あなたにとってベストなシャフトの長さとライ角という観点からもチェックする必要があるのです。
パターのグリップにも気を遣いましょう
パターのグリップにそれほど気を遣っているアベレージゴルファーは多くないでしょう。大抵の人は購入したものをそのまま使用しています。
パターのグリップは他のクラブとは違って、横断面に凸面がなく、左右対称でグリップの長さ全体に渡って、大体同型であることを条件に、円形ではない横断面を持つことができるというルール規定があります。従って、ほとんどのパターグリップは円形ではなく、パターフェースをスクウェアに構えやすい平らな面を持つデザインになっています。
また、パターの握り方も十人十色ということもあって、様々なデザインのグリップを装着した商品が売られています。一般的なシャフトの長さのパターだけでも、そのグリップの形状、太さ、重量などは商品によってかなり異なります。
最近では、太めのグリップを装着したパターを使用するプロゴルファーが増えたため、一昔前と比べると、かなり太めのグリップのパターが増えてきました。その一例として、ジョーダン・スピースが使用することで人気になったのが「スーパー・ストローク FLATSO1.0」です。
このグリップの特徴は太さがほぼ均一で、手首の余計な動きを抑え、ストロークを安定させるという点です。一般的な形状のグリップと比較すると、シャフト側(右利きで普通にグリップしたときの右手)が太く感じられて、右手に余分な力が入らないという効果があると言われています。
一般的には太めのグリップはマレットタイプ、細めのグリップは小さめのヘッドのピンタイプに合うとされていますが、ミッドサイズのグリップであれば、どのタイプのパターにも合うのではないでしょうか。パターとあなたの手と唯一の接点になるグリップですので、できるだけしっくり感じられるものを選びましょう。
結論、自分のパッティングスタイルに合ったものを選びましょう
どのようなタイプのパターがあなたにとってベストなのか、それを考慮するときに、見た目の良さ、自分好みの形状やカラーリングも大事ですが、もちろんパターとしての機能、つまり狙った方向にスムーズにイメージ通り転がせられるものを選ぶことが最も大切です。
そう考えると、まず方向性。ターゲットに対してパターフェース面をスクウェアに合わせやすいモデルであること。
次にフィーリング、アドレスしたときの安定感、そしてボールをヒットしたときの打感が自分好みであること
3番目は距離のコントロールやボールスピードのイメージがしやすいパターであること。また、ミスヒットに対する許容性もあるということも大事です。最後はあなた好みのパターの美しさ、形状、カラーです。どうせなら格好いい道具を持ちたいというのがゴルファーですからね。
まず、最初のポイントである方向性ですが、パターをボールの後ろにセットしたとき、安心して構えられたと感じられなければ、カップインできるという感覚は生まれないでしょう。また、バックスイングからボールをヒットしたときに、アドレスのときと同じ場所にヘッドが再び戻って来るという感覚も重要です。
前者は静的、後者は動的なことですが、特にショートパットはこの2つのどちらかが欠けてもカップインは難しくなります。それらを解消するために形状、カラー、ヘッドに刻まれたラインやパターンなどがありますが、どのようなタイプを選ぶかは、結局はパターを使う人が、そのパターをどう感じるかがポイントになってしまいます。
フィーリングに関しても、極めて重要なポイントですが、アドレスで構えたとき、ストロークしたときの安定感、ボールをヒットしたときの打感、これらはプロであってもアマチュアであっても人それぞれの感覚があります。
ヘッドの素材は各種金属からプラスチックまでいろいろありますが、ステンレス・スチールのヘッドが最も基本的です。ステンレスでは多くのゴルファーが求める柔らかい打感が得られないため、昔からブロンズやアルミ、軟鉄などが素材として使われてきました。
近年ではストロノミックに代表されるエラストマーというプラスチックとゴムの中間的性質を持った材料をパターフェースやフェースの後方に入れるクッションとして、柔らかい打感やヘッドの重量配分の工夫などの目的で使われたり、タングステンのような重い金属をやはり重量配分のために使われているパターも多いようです。結局、そのような工夫はフィーリングと距離のコントロールに配慮したものなのです。
その距離コントロールですが、それはフィーリングと非常に密接に関係するものです。1ラウンドの総パット数に最も影響を及ぼすのが距離のコントロールの善し悪しです。そのような観点からも、芯を外したミスヒットのボールの転がりについても考えなくてはいけません。
つまり、スウィートスポットから1センチ外した場所でボールをヒットしたときに、どの程度ショートするのか、10転がるべきものが9になるか8になるのか、そうしたミスを最小限にしてくれるパターを選ぶことも考えなくてはいけないでしょう。
パター選びの参考になりましたか?