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史上最強のゴルファーは誰?⑤タイガー・ウッズ編

「吠えるタイガー」、数多くの名勝負を繰り広げたタイガー・ウッズ。中でも2005年、マスターズ最終日の16番ホールが奇跡中の奇跡でした。

グリーン周りからのチップインバーディー。このシーンは全米どころか、世界中のゴルファーを震撼させました。

これぞ、まさしくタイガーが成し遂げた奇跡です。

タイガーがゴルフを始めたのは、父親によってなんと生後9か月からでした。2歳の時にはすでにテレビで紹介されるほどの腕前となり、早くも有名となります。

アマチュア時代のエピソードを箇条書きにします。

・3歳の時、ハーフで50以下達成
・6歳でホールインワン
・8歳でジュニア大会優勝数々
・13歳でアンダーパーを出し、ハンディ0
・4歳から17歳まで、専属のコーチがつく
・スタンフォード大学では、全米ジュニア・アマチュア選手権3連覇
・全米アマチュア選手権3連覇、いずれも前人未踏の記録

まさにトップスピードで、プロへの階段を駆け上がっていきます。

20歳の8月にプロになると、2か月後のプロ5戦目で早くも初優勝。21歳でプロとしてマスターズ初出場を果たすと、18アンダーの72ホール最小ストローク優勝。さらに2位に12打差と72ホール最多差、21歳3か月は最年少と記録づくめの勝利を成し遂げます。

一気にトッププロ、いや当時のプロをしのぐ存在になったタイガーは、さらにこの年の最年少賞金王も手にします。
圧巻は、2000年から2001年で達成した4連続メジャー優勝。2000年に全米オープン、全英オープン、全米プロゴルフ選手権を連続で勝利すると、2001年4月のマスターズも制しました。

惜しくも同一年ではなかったため、ボビー・ジョーンズに次ぐ「年間グランドスラム」達成はなりませんでしたが、その価値は劣るものではありません。これを「タイガースラム」と呼ぶ人もいます。

タイガーがプロで達成した記録を箇条書きします。

・PGAツアー79勝は歴代2位(1位はサム・スニードの82勝)
・メジャー通算14勝は歴代2位(1位はジャック・ニクラウスの18勝)8・2000年に歴代最小年間平均スコア、68.17達成
・1998年から2005年まで最長連続予選通過142試合
・2004年に世界ランク1位を最長334週達成
・29歳6か月でダブル・グランドスラム最年少達成(達成者はニクラウスと2人だけ)
・32歳6か月でトリプル・グランドスラム最年少達成(達成者はニクラウスと2人だけ)

タイガーの偉業を支えていたのは、高い技術と精神力の強さでした。驚異的な飛距離は、世界のトッププロを難なくオーバードライブしていきました。それを生み出したのは、ボディターン、腕の振り、上下半身の捻転、体重移動のタイミングが完璧に揃ってのみ、成し遂げられる高度なスイングでした。

「飛ぶけど曲がる」などのレベルではありません。方向性も優れ、飛んでフェアウェイを捉えました。身体の回転と腕の振りが高度なシンクロをしながら、完璧な体重移動で「パワー」「方向性」が同調する究極のスイングでした。

高い運動能力があって、初めて可能となるスイング。まさにタイガーは、ゴルフに世界のトップアスリートの感覚を導入させた先陣でした。「一軸スイング」と呼ぶ人もいます。

これまでボディターンによる体重移動が飛ばしの要素だったものが、頭がまったく動かず、まるでその場でクルッと回るようなスイング。その中に、捻転、両腕、両足と全身のパワー・ベクトルが同方向に爆発します。もちろん、わずかな狂いがあっても、大きく影響してしまうリスクを潜めています。

今や、タイガーの存在が新たなゴルフ・スイング理論を進化させ、ローリー・マキロイやアダム・スコットが同様なスイングを完成させています。松山英樹のスイングも、同じ方向を向いています。

そのまま競技を続ければ、ありとあらゆるプロゴルフの記録を塗り替えるだろうと予想されたタイガー。しかし、2009年11月に交通事故を起こします。これがきっかけとなり、不倫スキャンダルが発覚。複数の女性と不倫関係を結んでいたことを告白します。結局、定かな数は不明ですが、10人以上の女性と関係を持っていたようです。

後日タイガーはセックス依存性であったことを告白し、ツアー欠場を表明。多くのスポンサーも去り、ヒーローは瞬く間に地に堕ちました。2010年のマスターズで復帰しますが、もはやオーラを放つタイガーではありません。エリン夫人とは離婚、家族も失いました。
2012年に、スキャンダル以来となる復活優勝を遂げます。同年にツアー3勝。2013年には5勝を挙げ、4年ぶりに賞金王となります。タイガーも本格的に復活か、との矢先に再び暗雲が。

これまでにも左ひざ痛などの故障がありましたが、今度は腰痛で18ホールプレーすることもできなくなりました。そもそも、上半身と下半身を捻るゴルフスイングは腰を痛めやすいのですが、強烈なパワーを生み出すタイガーのスイングはまさに自分の身体を蝕んでいました。

病名は腰椎椎間板ヘルニア、すでに3度手術しましたが、明るい兆しは見えていません。現在は歩くのも歩幅を狭くするほどで、「まるで70歳のような40歳」とレポートされた記事も出ました。タイガー自身も「必ず復活」と宣言したと思えば、言外に「もう限界」を匂わせる弱気な言葉も。

この後、タイガーの進む道はどこへ?しかし、彼がゴルフ界に一種の革命を起こした事は、間違いのない事実です。

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