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キャディがゴルフ場で仕事をしながら感じている、ゴルファーの本性が見える瞬間とは?

ゴルフ場でキャディとして働いていると、毎日たくさんのお客様にお会いします。そして18ホールという長い時間をご一緒していると、たいていの方の“ひととなり”が見えてきます。

最初は穏やかだったのに、スコアが悪くなると、どんどん愚痴や文句が多くなったり、自分より下手な人を小馬鹿にした態度を取る方がいたり…。

『ゴルフはその人の性格が表れるスポーツ』と言われますが本当にその通りで、1番ホールと、18番ホールでの印象が全く異なる方もいらっしゃいます。

数多くのスポーツの中で、なぜゴルフがよりその人の性格を知るのに分かりやすいのか、また、どんな場面が性格を表している点なのか、考えてみました。

普段のラウンドでゴルファーの皆様は、そうしたことを意識してプレーしていらっしゃるでしょうか。今回はキャディの目から見た『ゴルファーの本性が見える瞬間』を探してしてみたいと思います。

ゴルフをするのが怖くなるかもしれませんよ。

ゴルフはジャッジを自分でしなければならないスポーツ

U.S. Open - Final Round

Licensed by gettyimages R



ゴルフの競技としての最大の特徴に、「自らが自分の行動にジャッジを行わなければならない」という事が挙げられます。つまり、審判がいないのです。

正式な競技になると競技委員が配置されますが、あくまでもルール上の判断が難しい場合に正しい処置を教えてくれる存在であって、行動そのものにジャッジを加えるものではありません。

まずこうした事が、プレーヤーの人間性が問われる部分になります。

いくつか例を挙げてみましょう。

①:OB近くに行ってしまったボールを確認してみたら、ほんの少しだけOBラインを超えていた。しかしセーフだったことにしようと思い、そのまま打つことにした。

②:ボールを打とうとしてアドレスを取ったら、わずかにボールが動いた。ボールが動いたことには気づいたが、気にせずそのまま打った。

③:グリーン上でボールマークしたボールを戻す時に、ほんの少しだけ前方にリプレースした。

④:林の中にあるボールをほんの少し動かせばコースの前方に打ちやすくなるので、こっそりと10cm程動かして打った。

などです。共通するのは「誰も見ていないだろう」「ほんの少しだから別に良いだろう」という考え方です。

もしその場に審判がいるのなら、こうした行動は全て認められませんよね。しかしゴルフの場合、状況のジャッジをするのは自分だけなのです。

明らかにOBのボールでも「OBじゃない!」とプレーヤー本人が判断(思い込み)さえすれば、そのままプレーを続行することができるのです。

同伴者の指摘を受けなければ、いくらでもこうした行動は可能です。つまりゴルフのルールを守るか守らないかは、プレーしている本人次第なのです。

こうした中で最も顕著な例は、実際に打った数より少なくスコアを申請することでしょう。単純に数え間違いの場合もありますが、明らかに確信犯のケースもあります。

いかがでしょうか。意外と多くの方が、思い当たる節があるのではないでしょうか。

実際にキャディとしてお客様に付いていると、こうした行為は頻繁にあります。しかし、キャディはそれを指摘することはしません。見て見ぬふりをするだけです。気付かないふりをすることが、キャディには求められるのです。

なぜなら、指摘すればお客様が不機嫌になることは目に見えているからです。サービス業でそんな危険は冒せません。ゴルフは、プレーヤーひとりひとりのジャッジの加減が大きく異なります。

ですからキャディは、そのひとりひとりに合わせたサービスやアドバイスをするように努めているのです。必要であれば、OBボールのそばにわざと近寄らないで本人に確認して頂いたり、ボールを動かしている時は他の方向を向いたりすることもあります。

ルールをどれだけ守ってプレーするのか?それはあなた次第なのです。これが「ゴルフは性格が表れるスポーツ」だと言われる大きな理由の一つだと思います。

このように、ただプレーを進行しているだけでプレーヤーの本性が見え隠れします。自分を律することができるのかを問われるスポーツは、他にあまりないでしょう。

スコアが良い時と悪い時の性格が違う?

PGA TOUR - 2005 FedEx St. Jude Classic - First Round

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スコアが良い時はボールマークを率先して修繕し、アプローチ周りでもクラブ持参を忘れないような見本的ゴルファー。しかし、一旦スコアが乱れだすと地面にクラブを叩き付け、クラブをキャディに放り投げて渡すような方がいます。

キャディが一番苦手な「浮き沈みが激しいタイプ」です。最初に自分はマナーが良いことを自慢するタイプによく見られます。ひたすらスコアが上向くことを祈るしかありませんが、調子が良くなってニコニコと対応されても、もう見る目が変わってしまっていることは、言うまでもありません。

スコアが悪い時こそ、ゴルファーの本性が見えてきます。ミスをした時に気持ちの中で落ち込んだりイライラしたりするのは当たり前なのですが、物や人に当たり散らし、同伴者やキャディが不快に思うような行動をとるのは、大人の振る舞いではありませんよね。

逆にスコアが良くても悪くても、あまり感情に出さない方もいらっしゃいます。しかしよく観察していると、バーディーを取った時にはにかんでいたり、OBを叩いた時に気持ちを切り替えようと深呼吸していたりします。こうした方は、きっとプライベートでも誠実な方なのではないかなと推測しています。

自然を相手にするスポーツだからこそ、自分の調子が悪い時に、はけ口が見つからないかもしれません。そんな時にあなたの人柄が浮き出てくるのです。

ゴルフが上手い人は偉い!?

PGA Championship - Round 3

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ゴルフ場へ来場される方の仕事上での立ち位置は量りかねますが、ゴルフ場の中では、ゴルフが上手い順に地位が決定しているように思います。ゴルフ場では“圧倒的に上手い人が偉い”のです。

何ホールか過ぎると、その上下関係がはっきりと決まります。そこでどのような態度で接するかで、そのゴルファーの本当の顔が表れてくるのです。

ゴルフ場に来場される方の中には、あまり練習ができない方もいらっしゃいます。ゴルフが一番の趣味ではないかもしれませんし、事情によって練習がままならない方もいらっしゃるでしょう。

ゴルフがお上手な方は一生懸命練習に取り組んでいると思いますし、ゴルフセンスも高いのだと思います。単純にかっこいいとも思います。しかし、自分より上手くない人に対して明らかに上から目線の態度を取られるゴルファーには、違和感を覚えます。

「なんで、こんなこともできないの?ダメだなぁ」
「こんなの簡単だよ」
「早く打ったら?どうせ結果は変わらないんだし」

というようなことを、ずけずけと言うのです。ゴルフ以外でもこのような態度なのかなと、あまり好印象は抱きません。キャディは、ゴルフの上手い人の言動は結構気になっています。

もちろん、素敵なゴルファーもいらっしゃいます。謙虚な姿勢を崩さず、教え方も決してぞんざいではありません。さらには自分に余裕がある分、周りへの配慮ができ、さりげなく進行をサポートしてくれます。

上級者だからこそ、ゴルファーとしての振る舞いに大きく差が出ると思っていいでしょう。

キャディに対しての行動

PGA TOUR - 2006 THE PLAYERS Championship - Second Round

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最後に、キャディに対しての行動です。

キャディは、他のスポーツには存在しない「プレーヤーのサポートを専門に行う」職業です。クラブの運搬という体力的な補助をはじめ、コースのアドバイス、風やラインの情報提供、さらにはプレーヤーの気分を盛り上げるために声を掛けるなど、プレーヤーのために一生懸命尽くす存在です。

このようなキャディへの接し方にも、プレーヤーのひととなりが表れます。それほど多くはありませんが、キャディに対してひどく高圧的な態度を取る方がいらっしゃいます。OBの際にも「あのボール取ってきて」と吐き捨てるように言う方もいます。

もちろん仕事ですので、どんなお客様にも最適なサービスを心がけますが、あまり良い気分ではありません。きっと他の場面でも、自分より弱い立場の人間に対してこんな態度なのだろうなと思ってしまいます。

逆にキャディを「コースを熟知している者」として敬意を払ってくれ、こちらのアドバイスに熱心に耳を傾けてくれる方もいらっしゃいます。このような方には、もっと良い情報を提供しようと頑張ります。

年齢に関係なく、こうしたゴルファーの方にはこちらも敬意をもって接することができるのです。

おわりに

キャディは沢山のプレーヤーを見る機会がありますので、ゴルファーのクラブの飛距離を覚えるよりも先に、ゴルファーの性格を見極めようとします。

基本的には、ゴルファーの方々がその日一日のゴルフを楽しくプレーするためのサポートをする材料とするのですが、そんな中にも色々思うところはあるのです。

ゴルフは気づかないうちに、あなたの性格を炙り出しています。あなたは自分のプレーに自信がありますか?