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【2015年問題】でゴルフ場閉鎖が止まらない?業界縮小の危機を検証する

皆さんは、「2015年問題」という言葉を聞いたことがありますか?

2015年は、団塊の世代(1947年~1949年生まれ)の全てが65歳を迎える年。労働人口の減少や年金受給人口の増大、システムエンジニアの不足などが度々問題として挙げられていましたが、ゴルフ業界においては「ゴルフ人口の減少」が問題視されていました。

ゴルフ業界における「2015年問題」は、団塊世代の定年退職を期にゴルフ人口が顕著に減少し始め、ゴルフ場が潰れ、ゴルフ業界全体が縮小していくことを問題視したものです。

もともと「接待」や「道楽」というイメージが強いゴルフは、サラリーンマンが楽しむレジャーとして認識されてきました。そのゴルフ人気を支えていたメイン世代が一気に退職することによって、ゴルフ離れが加速するのではないかと危惧されていたのです。

このような危機的状況は2015年に限ったものではないのですが、あえて「2015年」とうたうことで注意を引きつけ、ゴルフ業界は警鐘を鳴らしてきました。

しかし、個人で楽しむアマチュアゴルファーにとっては、自分のホームコースが閉鎖でもされない限り、あまり実感が湧かない問題なのではないでしょうか。

すでに2017年に突入していますが、実際のところゴルフ業界の活気はどうなっているのでしょうか?
この記事では、ゴルフの2015年問題、「ゴルフ業界の縮小」について検証してみたいと思います。

15年間で45%減?!ゴルフ人口の急激な減少

公益財団法人日本生産性本部が発表している「レジャー白書2016」によると、2000年に1300万人弱だったゴルフ人口は、2015年には760万人まで減少しています。約45%のダウン、これは急激な減少と言って差し支えないでしょう。

減少の理由としては、レジャースポーツの多様化と、最もゴルフを楽しんでいた団塊世代の高齢化、若年層のゴルフ離れが挙げられます。車を所有しない方が増えている中、公共機関が利用しにくいゴルフ場への交通を考えると、趣味として始めるにも躊躇してしまうという声も聞かれます。

また、近年人気の趣味スポーツと言えば、ジョギングやウォーキングなどに代表されるような「気軽に始められ、費用もそれほど掛からない」ものに集中しています。初期費用が掛かるのはどのスポーツでもある程度言えることですが、練習場やコースラウンド料金が高額なゴルフは、趣味として続けるにもランニングコストがかさみます。

若い世代は、就職したときからずっと不景気です。こうした世代が趣味としてゴルフを選ばなくなってきているのが、ゴルフ人口の減少に拍車をかけているのでしょう。

では、ゴルファー人口が減り続ける中、ゴルフ場の数はどのように変化しているでしょうか。

じわじわと減り続ける……ゴルフ場数の推移

一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会の調べによると、1960年代前半には全国で500程度しかなかったゴルフ場ですが、2002年には2460にまでその数を増やしています。

しかし、それまで毎年増えていたゴルフ場の数は、2002年を境に減少に転じます。2015年度の調査では2317まで数を減らしており、2002年~2014年の12年間で144ものゴルフ場が閉鎖されたことがわかります。
特に2014年度には50ものゴルフ場が閉鎖に追い込まれており、閉場は加速度的に増えてきているといえるでしょう。

今後さらにゴルフ人口が減少すれば、経営を維持できなくなり閉場するコースが増えることは想像に難くないでしょう。
このような数値からも、ゴルフ業界全体が低迷期を迎えていることがうかがえます。

ゴルフ業界としての対策は?利用税廃止や初心者育成への取り組み

ゴルフ業界もその危機は感じており、現状を打破するために、さまざまな取り組みが試みられています。特にアマチュアゴルフを統括するJGA(日本ゴルフ協会)は、その理念が「ゴルフの健全な発展と普及」を掲げていますので、その動向が気になるところです。

JGAでは、アマチュアゴルフ競技を開催しつつ、以前から問題視されている「ゴルフ場利用税」の廃止に向けて取り組んでいます。ゴルフ離れの大きな要因として“費用がかさむ”ことが挙げられますので、利用税廃止は多くのゴルファーの願いでもあります。

しかし議題には挙がるものの、実現には至っておらず、絵に描いた餅状態です。また、廃止されたとしても既存のゴルファーにとって喜ばしい事ではありますが、それによって新たなゴルファーの創出とまではいかないでしょう。

もちろん今後もゴルフ場利用税廃止に力を注いでほしいですが、それ以外にも費用面を含め、競技には出場しない一般的なアマチュアゴルファーのためにも、JGAにはさらに積極的な行動を望みます。

セルフプレーが主流となり、ゴルフプレーの単価は年々減少していますが、それでもゴルフの費用は高額です。なかなかこの問題を解決するのは困難でしょう。ゴルフ場の企業努力にも期待したいと思います。

他にも民間企業でも様々な試みが成されています。

例えば、中古ゴルフ用品を取り扱う「ゴルフパートナー」では、ゴルフ初心者の方へ向けて、クラブ1本と、ゴルフマニュアル本のプレゼントを実施し、ゴルフデビューの応援をしています。

また、ゴルフコースによっては、初心者デーを開催し、初心者ゴルファーが遠慮なくコースデビューを行えるように応援しているケースもあります。ゴルフに関わる企業が少しずつこうした取り組みを行なえば、ゴルフのイメージにある敷居の高さを取り除くことができるかもしれません。

ゴルフの面白さはゴルファーなら誰でも良く理解していると思いますので、ゴルフを始めてみれば、きっと熱心なゴルファーになってくれると思います。まずは、はじめの一歩を支援する動きがさらに広がればいいですね。

【おわりに】アマチュアゴルファーは業界縮小に対してなにができるのか

ひとりのゴルファーとしてゴルフを楽しんでいる際にはあまり気になりませんが、ゴルフ場の経営は、名門コースと呼ばれるコースでも決して安泰ではありません。

「コースの予約が取りやすくなって値段も下がった」と喜んでいると、突然閉鎖してしまうことだってあり得るのです。ゴルフの「2015年問題」は、ゴルファーひとりひとりにとっても無視できない問題を提示したと言えます。

では、ひとりのアマチュアゴルファーにできることは何でしょうか?
それは、ゴルフの面白さを周りの人たちに伝えることです。

まずは、自分の周りにいる「ゴルフが気になっているけど、なかなか踏みだせない人」を、思い切って誘ってみましょう。一人で始めるには敷居の高いゴルフですが、あなたが楽しみながらデビューをサポートすれば、その人もゴルフを大好きになってくれるはずです。

些細なことですが、その些細なことこそがゴルフ業界の未来を支える第一歩です。
仲間内で楽しむだけでなく、あなたが想うゴルフの魅力をどんどん発信していきましょう。

「身近にはゴルフに興味を持っている人なんていないよ」という方は、ブログやSNSでも構いません。あなたが全力で楽しんでいる姿は、会ったことのないWeb上の誰かに、ゴルフの魅力をきっと伝えてくれるはずですから。

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