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ゴルフ場での服装の最大のタブー、ジーンズについて考えてみた

  • 2016.06.05

朝、ゴルフ場に着ていく服を選んでいる際に、白や黒のカラージーンズを合わせて「これ、ゴルフ場に着て行ってもいいのかなぁ?」と悩んだことはないでしょうか?

プレー中はゴルフウェアを着ていれば問題ありませんが、プレー前や後の服装は自分でコーディネートしなければなりません。クラブハウスでの服装選びは、ゴルファーにとって悩ましい問題なのです。

ゴルフの服装問題は何度もマナーとして取り上げられていますので、おおよそどんな服装が良いのかは周知の通りです。しかし近年は、よりスポーティーに、よりカジュアルに人気が移行しているので、少し前の時代に比べると、ゴルフの服装もだいぶ様変わりしてきました。

そんな中でも、ゴルフの服装のタブーの代表としてよく取り上げられるのが、ジーンズです。

最近はゴルフ場に到着してから着替える方よりも、ゴルフウェアでそのまま来場するゴルファーが増えましたので、短パンにショートソックス、シャツの裾を出す、襟付きではなくハイネックシャツを着るなどなど、クラブハウスでも当たり前の光景となりました。

ジーンズも例外ではありません。コースで穿いている方はあまりお見かけしませんが、クラブハウス内ではラフなジーンズで過ごされている方が多くなったように感じます。

しかしそうはいっても、ゴルファーの方々の「ゴルフ場で、ジーンズだけは穿いてはいけない」という気持ちが見え隠れするのも、ジーンズならでは。ゴルフ場でジーンズを穿いていると、なんとなく冷たい視線が感じられたりしないでしょうか?

また、逆に他の方がジーンズを穿いていると、「いいのかなぁ~?」と穿いている本人よりも気になってしまうことも。それぐらい広くゴルファーの中には『ゴルフ=ジーンズ×』という公式が擦り込まれているのかもしれません。

だからこそ、白や黒のカラージーンズでもいいのかなぁ?などと考えてしまうのなのですよね。でも、それと同時に「なんで、ジーンズはダメなんだろう?」という疑問も湧いてきます。

ただ、これは周りの仲間に聞いても解決はしません。せいぜい「白とかのカラージーンズは別にいいんじゃない?」「ジーンズはやめといた方が無難だよ。」と言われてしまいます。

このような意見になるのは、ゴルフ場によって見解がさまざまだからです。白などのカラージーンズは問題なしと判断するコースもあるでしょうし、全く受け付けないというコースもあるからです。それぐらい、『ジーンズ』と『ゴルフ』は微妙でナーバスな関係なのです。

何故、数あるファッションアイテムの中で、特にジーンズがこれほど意識されるのでしょうか。そもそも何故、ジーンズはゴルフでダメと言われるのでしょうか。

マナーと言われればそれまでですが、なんとなく腑に落ちないままゴルフをしている方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回は、ゴルフとジーンズの関係について調べてみたいと思います。実はゴルフもジーンズも、それぞれ象徴的な存在だからこそ、交じり合えないものなのです。

これが理解できれば、あなたのジーンズに対する『もやもや』を解決できるかもしれませんよ。

ジーンズの歴史的背景

まず、ジーンズの歴史を簡単にご紹介したいと思います。

ジーンズの原型は1870年代に、当時の炭鉱などで働く労働者のニーズに応えて生まれました。作られた当初はデニム地ではなく綿帆布でしたが、丈夫で耐久性に優れたズボンは、瞬く間に人気となり、労働者の作業着としてシンボル的アイテムになったのです。

その後、カウボーイたちにも広まり、その丈夫さと共にカッコ良さが認知されるようになると、今度はファッションアイテムとしての側面も持つようになります。また、この頃からデザインも労働者向けから、より都会的なものへと変化していきました。

Cheyenne Frontier Days Rodeo

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1950年代に入ると、マーロン・ブランドやジェームス・ディーンといったハリウッドスターが穿くことで、若者に絶大な人気をもたらすようになります。また、不良の象徴として使われることもあり、アウトローな若者を代表するファッションとしてのイメージも持たれるようになったのです。

New Era Super Bowl Party

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現在は、洗練されたファッションのひとつとしてハイブランドでも使用されたり、ヴィンテージジーンズが高値で取引きされたりしていますが、歴史的には長らく反社会的で、ダーティーなイメージを持ち合わせていました。そして、それがジーンズの最大の魅力でもあります。

ジーンズはカッコよく、そしてお洒落です。しかしその歴史的背景には、常に若者的な匂いのするファッションであったと言ってもいいでしょう。

ゴルフ場は社交場

さて、ジーンズの歴史が分かったところで、今度はゴルフ場に目を向けてみましょう。ゴルフそのものというよりも、ゴルフ場(クラブハウス)と考えた方がしっくりくるかもしれません。

ゴルフは諸説ありますが、イギリス(スコットランド)を起源とする考えが最も一般的です。その歴史は古く、1400年代にはすでにスポーツとしての記録があったという事です。また、現在のゴルフ場のように18ホールが基準となったのは、1800年代後半あたりからになります。

ゴルフ場を語る上で、メンバーの存在は欠かせません。ゴルフコースを作るには広大な敷地と、それを造成する莫大な資金が必要となります。

そこで地元の名士たちが資金を提供し合うことでコースを作り、そしてその出来上がったコースを、資金提供したメンバーたちで楽しむという方式がとられました。これが「メンバーシップコース」の原型になります。

メンバーたちは自分たちで作ったコースを楽しみ、そしてプレーの後はクラブハウスで仲間たちとくつろぐのが定番となりました。ですからクラブハウスは、そこに集うメンバーの社交場としての役割があったのです。

なんとも贅沢で、優雅な大人の遊び場ですね。このような点は、伝統的な競馬場などと共通する部分があるのかもしれません。

こうしたメンバーシップを採用したコース作りは、日本にも伝えられました。現在もメンバーシップの形式をとっているコースは多く、日本のコースの7~8割はメンバーシップコースになります。

メンバーシップコースをプレーできるのは何といってもメンバーが優先であり、それ以外のプレーヤーがプレーする時は、ビジターゲストとしてプレーさせてもらうのです。
※これに対して、誰でも利用可能なコースの事を「パブリックコース」と言います。

メンバーの方が楽しむ社交場であるクラブハウスにお邪魔するのですから、それなりの身支度を整えるのは当然の心配りですよね。

例えば、休日に上司や先輩のお宅に伺うことになった時、あなたはどんな服装を心がけますか?スーツは着なくても、少し自分の中で小奇麗にしようと思うのではないでしょうか?メンバーシップコース(クラブハウス)も同じです。

クラブハウスはただ受付をして、料金を支払う場所ではないのです。そして、そこでプレーする方は(ビジターの場合)ゲストとして迎えられているのだという意識を持つことが大事です。そうすれば、おのずときちんとした身なりで出向こうという気持ちになります。

ゴルフ場の考え方や方針に差があるのも、個人宅での見解と一緒です。画一的に決まりがあるわけではなく、招かれた本人がその場にあったスタイルに合わせることが、大人としての振る舞いになるのです。

あなたのレベルが問われるのがゴルフ場だという事を忘れないでください。

対照的な存在

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ジーンズの歴史と、クラブハウスのあり方を見てきましたが、ここで気が付いたのは、それぞれのアイテムが対極の存在であるという事です。

数あるファッションの中でも、ジーンズは『何物にも縛られない若者』の象徴として、そしてスポーツの中でもゴルフ場は『良識ある大人』の社交場の象徴として位置づけられているのです。

The Masters - Final Round

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ジーンズ以外にもカーゴパンツやワークパンツと呼ばれる作業着、軍をイメージさせる迷彩柄など、ゴルフ場に相応しくない服装はありますが、ジーンズが特にタブー視されるのは、それだけジーンズがファッションにおいて特別な存在だからです。

よく、「ジーンズが炭鉱夫たちの作業着であったから、ゴルフに相応しくない」と解説されている事がありますが、間違いではありませんが、真理ではないと思います。実際、そのような時代にゴルフにジーンズを穿いていこうとしたゴルファーはいないであろうからです。

それよりも、ジーンズが若者に支持され、ファッションアイテムとして絶対的な地位を確立してから、そのおしゃれなジーンズをゴルフでも穿きたいとする『何物にも縛られない若者』世代に、『良識ある大人』が待ったをかけていると考えた方が自然でしょう。

決してジーンズを卑下しているのではなく、お互いが象徴的な存在だからこそ、すみ分ける必要があるのです。また、すみ分けるからこそ、お互いの魅力を存分に味わえるのではないでしょうか。

おわりに

142nd Open Championship - Previews

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ゴルフ場の中には「ジーンズ歓迎」を謳っているコースもあります。もっと気軽にゴルフを楽しんでほしいという考えは、とても素晴らしいと思います。こうしたコースが増えれば、若い世代がもっとゴルフに興味を持ってもらえるかもしれません。

一方で、伝統的なスタイルを保ち続けるコースも応援したいと思います。名門と言われるようなコースには、もっともっとマナーに厳しく取り締まってもらいたいぐらいです。

考え方はレストランなどと同じです。洋服にもマナーにもそれほど気を使わなくてよい、ファミレスのような存在は日常生活に欠かせませんが、やはり非日常の憧れの高級レストランもあって欲しいのです。たまには襟を正してその場の空気を楽しむのもいいものです。気持ちの良い緊張感が味わえます。

その場の雰囲気を作りだすのは、そこにいる人たちです。プレーヤーひとりひとりがそのコースの演出者として、そのコースに似合った服装をしてみませんか?カジュアルなコースにはカジュアルな服装で、格式あるコースにはそれなりの服装でという事です。

どこに行っても同じ服装というのは、おしゃれであったとしても素敵ではありません。ゴルフ場の品格はプレーヤーの品格になりますよ。

 

この記事を書いたライター

某人気ゴルフコースのキャディとして10年勤務し、自身のゴルフ歴は4半世紀。
自己流ゴルフで悩んでいましたが、レッスンを受けて開眼。
またゴルフが楽しくなってきました。
真面目なゴルファーです。

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