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ハンディキャップはゴルフの宝物?/誰かに話したくなるおもしろゴルフ話

「シングルの人が言っていたけど……」一つの肩書きのように、ハンディキャップは使われます。

ハンディキャップが一桁のゴルファーを、尊敬を込めて“シングル”と呼ぶのは和製英語であることが有名ですが、一桁の数字のハンディになれるゴルファーはゴルフ人口の数%だそうで、特別でわかりやすい称号を生み出した先人たちの気持ちはわからなくもありません。

必要な枚数のスコアカードを提出して取得できるハンディキャップだけが、ハンディではありません。実力差があるゴルファーたちが一緒に楽しめるように考えられた工夫が、ゴルフのハンディキャップなのです。

ゴルフを貪欲に楽しもうと考えるのであれば、ハンディキャップについてちゃんと知っておくべきです。それはゴルフを深く充実させる土台になる可能性も秘めているのです。

ハンディキャップの語源

『Handicap』という綴り。この中に語源が見えてきます。『Hand in cap』が短縮されたのです。

元々は、イギリスでは宝くじのようなゲームで大金を得たときや、集まった罰金を独り占めするのではなく、帽子の中にその一部を入れて、それを集まった人たちがクジのように引くという習慣があったそうです。帽子の中に手を入れてクジを引くことが「ハンディキャップ」の語源だといわれています。

18世紀になって、競馬が重量負荷としてハンディキャップという用語を取り入れます。詳しくない人にはチンプンカンプンだと思いますが、競馬ではより実力のある馬や年齢差、雄雌などで騎手以外に別に重りを鞍に入れて走らせるのです。

重いものを背負うほうが負担は大きいので、不利になります。強い馬は重い負荷をかけて、他の馬との差をなくすわけです。これは、現在でも引き続き行われています。

ゴルフでは15世紀頃から、実力差があるゴルファー同士が戦うときに実力差を埋める工夫が次々に考案され、実行もされてきました。当時はほぼマッチプレーのゴルフが当たり前だったので、対戦相手との取り決めをすれば良かったわけです。

競馬に遅れること約1世紀。ゴルフでもハンディキャップという言葉が使われるようになったのは、19世紀中頃です。この頃から現在のようなストロークプレーの競技が増えてきて、同伴競技者との対戦の取り決めではなく、参加者全ての実力差を合理的に埋める方法が必要になってきたのです。

驚くべきことに、用語としてハンディキャップが使用されて数十年後の19世紀末には、現在のものと同じようなハンディキャップの算出法が広まっていました。

現在、ハンディキャップという用語は普通に使用されていますが、ゴルフ規則の中ではゴルフ用語として定義されていません。その理由は諸説あるのですけど、競馬が先に使用していたからだという説もあるのです。

平等と公平は違うもので、平等は均等に、公平は差を埋めるように分配することと考えられています。ハンディキャップの語源と歴史を知ると、まさにゲームを公平にするための知恵だったことが少しわかると思います。

ゴルフのハンディキャップとは

15世紀頃から19世紀の初頭まで、マッチプレーの対戦相手と実力差を埋める取り決めが、ゴルフのハンディキャップの歴史だといえます。それは、現在でも引き継がれているものもあります。

1)ティーの位置で距離差をつける(上手い人は長くする)
2)チーム戦で組合せの工夫(強い人と弱い人でチームになる。強い一人と二人のチームで競う)
3)本数制限(上手い人が本数を減らす)
4)スタート時にアップダウンを付ける(強いほうが負けている状態でスタート)
5)ハンディホールを決める

代表的な5つの方法は、現在のゴルフの中に普通に活かされているものがあります。

ティーにより実力差を埋めるのは、色分けされているティーを見ればわかりやすい例です。このティーを段階的に設置するという慣習は、面白いことに20世紀になってからアメリカで一般化して世界に広まったのです。

その証拠というわけではないですけど、古くからリンクスコースはティーが一つしかないところが未だにあります。ゴルフをより楽しもうとするゴルファーは、時間を越えて同じ発想を持つのかもしれません。

公式なハンディキャップを取得しているゴルファーは、少数派です。巷のゴルフコンペでは、独自のハンディキャップや自己申告のハンディキャップを採用したりしていますが、隠しホールを秘密で決めて、そのホールのスコアからハンディキャップを算出する方式が広く利用されています。

“ペリア方式”というものが有名で、各ハーフで3ホールの隠しホールでハンディキャップを算出します。“ダブルペリア”は、各ハーフで6ホールの隠しホールで算出します(新ペリアはダブルペリアと同じもの。こちらのほうが一般的になっている)。

あくまでも臨時のハンディキャップ算出法ですが、運次第で増減するハンディキャップは手軽でちょっとエキサイティングなので、世界中に広まりました。ちなみに“ペリア”というのは、アメリカのイリノイ州のペオリアという場所にある公営コースでこの算出法が発案されたことからつけられた名称です。

ハンディキャップボードや証明証の数字に一喜一憂したりするのは、人間ですからやむを得ません。でも、それを絶対視する風習は困りものです。ハンディキャップはアマチュアゴルファーがゴルフを楽しむための、ゴルフの神様からの贈り物です。

プライベートでゴルフをするときには、気の合う仲間と公平なハンディキャップを楽しむことをオススメします。単に数字の引き算をするだけではなく、数百年前のオールドゴルファーたちがしてきたように、色々と調整してみましょう。

それはゴルフの本質を確認することになって、よりゴルフを好きなるきっかけになるはずです。

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