『TOUR B』に妥協はない!科学で裏付けされたホンモノを見極めよ!
ブリヂストンゴルフの新しいシリーズ『TOUR B』のゴルフクラブは、2016年10月21日に発売されます。
ゴルファーは本能的にスコアが良いゴルファーに憧れます。そういう心理を利用して、上級者が使用するイメージでゴルファーに訴求する手法は昔から存在します。『TOUR B』が発表されたときも、イメージだけで中身が伴わないものだと予想する人がいました。
メーカーとしても、一握りの上級者より、多くの人が使える易しいクラブのほうが多く売れるという現実もあるので、イメージだけでも十分だという風潮もあるのです。しかし、それらの予測は完璧に裏切られることになります。
3つのドライバーの個性的で戸惑う
『TOUR B』のクラブを練習場でたっぷりと試打してきました。
まずはドライバーからです。『TOUR B』のドライバーは3種類です。シャフトは全て専用オリジナルシャフトの“TOUR AD TX1-6”にしました。3種類ともロフトなどの調整機能はありません。
冒頭の画像は“XD-3”です。ロフトは8.5度(特注)、9.5度、10.5度がありますが、9.5度を打ちました。
ヘッド体積455㎤、丸型のシャープに見えるヘッドが特徴で、操作性が高い雰囲気です。打音が低めで短いのは3種類の全てのドライバーで共通ですけど、日本の伝統みたいな感じで好感触でした。
“XD-3”はプロに評判が良いそうですけど、確かに強いボールは出ます。低スピンを感じさせる棒球でどーんと飛んでいきます。練習場のボールなのでこの辺りはコースボールでは違いがあるかもしれませんが、気持ち良く飛距離が出る飛ぶドライバーです。
問題は、思いの外、ボールをつかまえにいく動きをすることです。スライスに悩んでいる人には良いのかもしれませんが、チーピンを打とうとすれば出てしまうので、その部分をクラブは助けてはくれません。
ボールを曲げやすいドライバーを使いこなしたい人には、魅力満載の1本です。
続いて“XD-5”です。
ロフトは8.5度(特注)、9.5度、10.5度がありますが、10.5度を打ちました。ヘッド体積は460㎤、シャローフェースが特徴で、スタンダードな雰囲気です。
打ってみると構えた感じの安心感とは違う強目の弾道に驚かされました。やや高めの打ち出しですが、低スピン感は“XD-3”より強く感じます。そして、敏感に反応します。曲げようとすれば、きれいにボールを曲げられるのです。
オートマチックに同じ球を打てるというイメージだったのですけど、完全に裏切られました。本格的なのです。『TOUR B』は妥協がないということを証明するようなドライバーです。
練習場のボールで打つ限り、このドライバーも飛ぶ要素を満たしています。
最後に打ったのが“XD-7”です。これは特別注文専用モデルになるそうです。ロフトは9.0度のみ、ヘッド体積は445㎤、洋ナシ型のヘッドが特徴です。
期待していなかったのですけど、このドライバーが3種類の中で1番良かったのです。まず、左へ行きません。その分気持ち良く振れました。
弾道の強さは、他の2つと同様で強いボールが出ます。練習場で打っている範囲では、最も飛んでいて、かつ、コントロールも良かったのです。構えたイメージでは、“XD-3”や“XD-5”のほうが良いのですけど、放たれたボールという現実は違いました。
総じて、ミスヒットでも距離があまり落ちず、フェースの上部に当てなくとも低スピンなボールが打てるのはお見事でした。
『TOUR B』の一つのテーマは、科学力を駆使した商品開発だと聞きましたが、ブリヂストンの底力を痛感しました。ドライバーは中身は見えないのですけど、科学力が詰まっていることは、飛んでいくボールが証明してくれます。
アイアンも極端に違うことにビックリ
アイアンはいわゆるマッスルバックの“X-BLADE”とセミキャビティーバックの“X-CB”が発売になります。バックフェースに大きなBマークがあり、その部分がかなり肉厚になっているのが特徴的です。
まずは画像のマッスルバックの“X-BLADE”を打ちました。シャフトはダイナミックゴールドのS200で、ロフトはピッチングウェッジの47度から5番アイアンまで、4度刻みで立っていくスタンダードなセッティングになっています。
きれいな弾道でボールが上がっていきます。スピン量が適度である証拠と言わんばかりのボールの高さは、扱いやすいマッスルバックのアイアンの大事な機能の一つです。打感もしっかりしています。芯に当てる技術があれば、機能します。
個人的にマッスルバックのアイアンは高低の打ち分けがしやすいことが魅力だと考えています。“X-BLADE”は高めの弾道になるので、あとは低い球を打つ技術があれば高低を打ち分けられます。
アイアンに飛びの要素ではなく、徹底した距離の打ち分けを求めるゴルファーには合っています。ロフトはスタンダードなので、特別に飛ぶことはありませんが、打ったら打った分だけ確実に応えてくれるアイアンです。
次はセミキャビティーバックの“X-CB”です。
試打会場に準備されているアイアンは、半分以上がこの“X-CB”だったので、こっちがメインなのかぁ、と脳天気に考えながら打ちましたが、これには後で判明する理由がありました。
シャフトはダイナミックゴールドのS200でした。打感のしっかりした感じは“X-BLADE”と似ていますが、弾道はかなり違います。重いボールで、直進性の強さを感じました。高さはやや抑えめです。
そして、飛ぶんです。7番アイアンで比較して、“X-CB”のほうが1番手近く飛びます。慌てて確認をしました。7番アイアンのロフトが“X-BLADE”は35度ですが、“X-CB”は32度なんです。
“X-CB”は46度のピッチングウェッジから8番までが5度刻み、8番から6番までが4度刻み、6番と5番が3度刻み、5番から3番までが2.5度刻みなのです。これには痺れました。ヘッドスピードが落ちてきているゴルファーにとって、5度刻みのショートアイアンは助けになりますが、本格的なアイアンでは珍しいからです。
“X-CB”が多かったのは、シャフトのバリエーションが原因でした。“X-BLADE”はダイナミックゴールドのS200のみですが、“X-CB”はそれ以外に、N.S.PRO 950GHとN.S.PRO MODUS3 TOUR 120のセッティングもあるのです。
他のシャフトも打ってみました。それぞれに少しずつ違いました。普段からダイナミックゴールドのS200を使用しているので慣れはありますので、N.S.PRO 950Gは軽すぎるのと挙動が敏感なので今イチでしたが、MODUSは気持ち良かったです。球の高さは変わらないのに、もう一つ前に行こうとする感じで、一番飛びましたし、安定もしました。
キャビティーバックといいながら易しいのではなく、弾道を安定させるために機能を使っている感じがしました。ボールを打ち分ける楽しさではなく、同じボールを打ち続ける確実性が“X-CB”の魅力であり、特徴です。
『TOUR B』の2つのアイアンは、見た目は似ていますが、かなり違うものです。構えたときのシャープな印象や方向に合わせやすい形状もかなりのレベルにあります。いわゆるアスリートゴルファーが、アイアンに求めるものは一つではなく、二つの要求に応えた結果なのだと考えるとわかりやすいです。
ファウェイウッドとユーティリティーも極端で面白い
フェアウェイウッドの“XD-F”は、13.5度の#3+(特注)、15度の#3、18度の#5、21度の#7のラインアップです。3番までは低スピンになる構造になっていて、5番からはスピンで止められる構造になっているそうです。画像は5番です。
5番から打ちました。構えたときに、一目でわかることがあります。好き嫌いもあると思いますが、フェースの上部のトップラインと下部のリーディングエッジが平行に見えるようになっているのです。これは、ロフトが立って見えると嫌う人もいますが、目標に構えやすいと好感を持つ人もいます。
ボールが拾いやすい薄めのヘッドは振りやすく、ボールもきれいな弾道で高さも出ます。大概のフェアウェイウッドは、弾道がきれいだと距離が飛ばないものですが、“XD-F”の5番はしっかりと距離も出ました。曲がりにくいという印象も持ちました。フェースのどこに当たっても同じ球が出るイメージでした。
“XD-F”の5番は、アイアンのように打てる、と個人的には感じました。これはありそうでないのです。フェアウェイウッドを意識しないで打てることは、アイアンが得意であるほど嬉しいものです。
期待をしながら3番も打ってみました。構えた感じは特に難しい印象はないのです。フェースが厚いわけではないのですけど、不思議にボールが思ったようには上がりませんでした。
低い球を連発しながら、二つの可能性を考えました。一つは、練習場のボールだからかもしれない、ということ。一つは僕のヘッドスピード(ドライバーで43m/秒程度)ではオーバースペックなのかもしれない、ということです。低スピンで飛ばすクラブは、練習場のボールでは機能しないことがあるからです。
低い球を連発していましたが、それでも思ったよりも飛距離は出ている印象でした。この3番は、コースボールで芝生の上から打ってみたいと思いました。
ユーティリティーの“XD-H”は、18度の#2、21度の#3、24度の#4のラインアップです。ブリヂストンのユーティリティーは、アイアンのセッティングを補完する目的意識が強いと前々から感じていました。
準備されていたのは4番でした。やはり、ロングアイアンの代わりとして、距離をしっかりと打ち分けることが最優先していると感じました。楽にボールは上がりますが、それは打ち出しが高いだけではなく、スピンもしっかりと効いている弾道でした。構えた方向に素直に飛んでいくのは好感が持てました。
個人的にはユーティリティーに求めるものが違うので、物足りなさを感じましたが、“X-CB”から繋がっているセッティングを想像すると悪くないのです。むしろ、こちらを求めるゴルファーのほうが多数派だと思います。
ロフトなりに安定して距離を打てるユーティリティーは、ゴルフを楽にしてくれます。“XD-H”はそういう意味で高性能の武器だといえます。4番しか打たなかったので、他の番手も打ってみたいと思いました。
一つだけ気になったことは、フェアウェイウッドとユーティリティーの番手の数字がソールにないことです。番手はネックにプリントされているのです。プレー中にバッグからクラブを選ぶときには、ヘッドカバーで判断することを想定して、余計なものをソールから排除したのだと想像しますけど、ちょっと心配になりました。
長距離を打つクラブは難しい、という印象がありますが、その何割かは、自分に合うものと巡り会っていないことが原因だったりするものです。“XD-F”も、“XD-H”も、欲張らずに信念を持って作られたクラブであることは伝わりました。
ついつい、万民に受けるものを狙いすぎて、中途半端なクラブになってしまうのが、長距離を打つクラブです。ハッキリとしているので、合う合わないもすぐにわかると思います。手にとって打って欲しいフェアウェイウッドとハイブリッドです。
長々と書きましたが、『TOUR B』はベストスコアを狙いたいゴルファーのためのアイテムだといいます。ブリヂストンがタイヤで世界一になった大きな要因に、科学力を駆使して良い製品を開発し続けたことが挙げられます。ゴルフ用具でも、その科学力を『TOUR B』で発揮していくそうです。
秋の新製品としては遅めの10月21日に発売されるタイミングは自信の表れだという人もいますが、実際に打ってみて、自信があることは理解しました。なんといっても、ホンモノを追求する熱意に溢れています。
情熱を感じるクラブが発売されることは、ゴルファーにとって幸せなことなのです。
スペック
BRIDGESTONE GOLF TOUR B XD-3
★ロフト
8.5/9.5/10.5 ※8.5は特注
★ヘッド体積
455㎤
BRIDGESTONE GOLF TOUR B XD-5
★ロフト
8.5/9.5/10.5 ※8.5、10.5は特注
★ヘッド体積
460㎤
BRIDGESTONE GOLF TOUR B XD-7
※特注
★ロフト:9.0
★ヘッド体積:445㎤
XD-3/XD-5/XD-7 共通
★発売日
2016年10月21日
★シャフト
TOUR AD TX1-6(TOUR B 専用モデル)
1本 72,000円+税
※TXの後の1は下側に小さい表記
★価格
TOUR AD TP-6:1本 87,000円+税
Speeder661 EVOLUTIONⅢ:1本 87,000円+税
Diamana BF60:1本 87,000円+税
BRIDGESTONE GOLF TOUR B XD-F
★ロフト
#3+/13.5、#3/15、#5/18、#7/21
★発売日
2016年10月21日
★シャフト
TOUR AD TX1-6F(TOUR B 専用モデル)
1本 39,000円+税
★価格
TOUR AD TP-6:1本 54,000円+税
Speeder661 EVOLUTION Ⅲ:1本 54,000円+税
Diamana BF60:1本 54,000円+税
BRIDGESTONE GOLF TOUR B XD-H
★ロフト
#2/18、#3/21、#4/24
★発売日
2016年10月21日
★シャフト
TOUR AD TX1-6H(TOUR B 専用モデル)
1本 33,000円+税
★価格
N.S.PRO 950GH
1本 31,000円+税
BRIDGESTONE GOLF TOUR B X-CB
★ロフト
#3/20、#4/22.5、#5/25、#6/28、#7/32、#8/36、#9/41、PW/46
★発売日
2016年10月21日
★シャフト
Dynamic Gold/N.S.PRO MODUS3 TOUR 120 /N.S.PRO 950GH
※MODUSの後の3は乗数
★価格
6本セット(#5~9、PW)114,000円+税
1本(#3特注、#4)19,000円+税
BRIDGESTONE GOLF TOUR B X-BLADE
★ロフト
#3/21、#4/23.5、#5/27、#6/31、#7/35、#8/39、#9/43、PW/47
★発売日
2016年10月21日
★シャフト
Dynamic Gold
★価格
6本セット(#5~9、PW)114,000円+税
1本(#3特注、#4)19,000円+税
※文中の「MODUS3」の3は正式には乗数です。
※文中の「TOUR AD TX1-6」のTXの後の1は下側に小さい表記です。