既成概念を打ち破ったキャロウェイのベストを越えるゴルフを知れ!
「EPIC」の意味は、BESTの上、桁外れの、とてつもない、です。開発期間4年間、フェース周辺だけで11の特許申請をしているキャロウェイのドライバーの名称に相応しいヒーロープロダクトなのだという説得力のある説明がありました。
ゴルフショップのバイヤーをしていた頃、売るためにはゴルファーが買いたくなる説明があれば十分という考え方が蔓延していました。売るところまでが仕事で、購入したゴルファーの期待に応えられるかどうかは別だと考えれば楽だからです。
説明がプレゼンテーションとして優れていれば売れるクラブになるというわけです。説得力がある説明を聞くと、その頃の嫌な記憶が蘇ります。
2本の柱は見えないけどゴルフ史を変えるかもしれない
キャロウェイゴルフが、2017年2月17日に発売する『GBB EPIC STAR シリーズ(ジービービー エピック スターと読みます)』『GBB EPIC Sub Zero シリーズ(ジービービー エピック サブ ゼロと読みます)』のドライバーのヘッドの内部にはフェースのすぐ後ろに2本の柱が一体成型で立っています。ヘッドのクラウンとソールを繋いでいます。「JAILBREAK テクノロジー」という名称のこの仕組みが、新しいドライバーに画期的な効果を生みます。
結論から書きます。実際に計測器でデータを取って打たせてもらいました。その数値に鳥肌が立ったのです。
ボールの初速に注目すると、僕の場合は通常は63m/秒前後なのですが、新しいドライバーでは65m/秒越えも出ました。これを飛距離に換算すると最低でも6ヤードは飛ぶということです。
ちなみに、計測器の予測距離では最も良かったもので普段より17ヤードも飛んでいるという数値でした。「うそでしょう?」と思いました。説明や理屈ではなく、こうして結果がすぐに出てしまうことは滅多にありません。鳥肌の理由はコレだったです。
2本の柱は、インパクト時にフェースのたわみでヘッドのクラウンとソールも影響を受けて、天井と床が離れるように動く現象を制御するために存在するそうです。柱で、フェースの周囲は動かないようにするわけです。
最新の常識では、効率良くフェースをたわませて飛ばすのが物理的なセオリーです。ヘッドがエネルギーを分散して吸収することがマイナスになるという理屈はわかりますが、柱まで入れて抑えたところで何が変わるの? と考えましたが、目の前の数値を見て言葉を失いました。
数値が上がるということは、高反発規制で違反になるのではないかと思いましたが、現在行われている計測テストはクリアしているそうです。高反発規制をクリアできるロジックは、企業秘密のようです。
5年前に出た細長い重心ウェイトをソールから入れて重心を変えるドライバーが、この開発のきっかけになったそうですが、4年の歳月をかけただけのことはある革新的なドライバーです。
“GBB EPIC STAR ドライバー“のソールです。このドライバーは、アジア専用モデルです。
アメリカ市場で売られるモデルにはネックにロフトなどの調整機能がついていますが、日本で売られるモデルはそれがありません。ソールの大部分はカーボン素材で、後方には「ペリメーター・ウェイティング」という11gのウェイトを動かすことで左右の弾道調整ができる機構が搭載されています。
金属の骨組みにカーボン素材を貼ってある様な感じが、最先端なクラブであることをアピールしています。フェースの近くに2本の柱の根元も強調されています。
ヘッドのクラウンもカーボン素材で、グラデーションになっています。空力まで考えて「スピード・ステップ」という機能も搭載しています。構えた感じの安定感は、キャロウェイらしくて好感触です。構えたときに不安がないフォルムというのは、個人的にかなり重くみる機能だと考えています。
「“禁断”の飛び、解禁。」というコピーの“GBB EPIC STAR ドライバー”は、少し先の未来で、あのドライバーから新しいゴルフクラブ史が始まったといわれる可能性があると思います。飛ばしたいゴルファーの為の1本だといえます。
ただ、少し気になったのは、けっこうハードに感じたことです。ある程度のヘッドスピードがあって、そこそこ安定したボールが打てるゴルファーでなければ、使いこなせない可能性もあります。
“GBB EPIC Sub Zero ドライバー”のソールです。ネックの調整機能、2つのウェイトは約12gと約2gで、位置を変えることで重心の位置を調整できます。フェースの近くには2本の柱の証があります。STAR と比べるとシンプルなソールは、上位機種ゆえのプライドだと思えば、ちょっとカッコ良くも見えてきます。
“GBB EPIC Sub Zero ドライバー”のフォルムは締まって見えますが、460ccのヘッドです。調整機能があるので、ネックを見れば構えて“GBB EPIC Sub Zero ドライバー”だとわかりますが、フォルムにこだわらないゴルファーだとSTAR と見分けがつかないこともありそうです。「突き抜ける“禁断”の飛び」というように、打ったときの初速感はかなりのものです。フェースでボールが潰れてから飛んでいく雰囲気は伝わります。
ちなみに、「Sub Zero」は華氏での氷点下のことで、日本で使っている摂氏だと約マイナス18℃以下のことです。相当な極寒なのですけど、数字のイメージでハンディキャップに重ねて、スクラッチ(ハンディ0のこと)を通り越したみたいなイメージで考えると手強いクラブだということになるのだと思います。
“GBB EPIC Sub Zero ドライバー”は上位モデルですけど、契約プロのチョイスをみると、女子プロが使用していたりもしますので(石川遼プロは“STAR”のほうをテストしているそうです)、腕前で単純に選択するというものでもなさそうです。
“GBB EPIC Sub Zero ドライバー”は、前後に重心を変えられるので、スピン量が多くて悩んでいるような重心位置をよりフェース寄りにしたいゴルファーに合っていて、“GBB EPIC STAR ドライバー“は左右に重心を動かせるので、曲がりについて悩みがあるゴルファーに合っていると考えるのが良いのかもしれません。実際に両方を打ってみて、難易度に大きな差は感じませんでした。
いずれにしても、桁外れでBESTの更に上であるという「EPIC」の名称を背負った新しいドライバーは、両方共に2本の柱が生み出す機能で、適合でありながら距離の壁をぶち壊す武器になって、ゴルファーを助けそうです。
キャロウェイのフェアウェイウッドは王道を行く
“GBB EPIC STAR フェアウェイウッド“のソールです。シンプルです。「第4世代ハイパースピード・フェースカップ」というキャロウェイ独自のカップフェース構造です。カップフェースの特徴である強い反発力、フェースの下目に当たったミスヒットの球の強さは健在です。
クラウンは、ドライバーと同じようにグラデーションっぽくなっています。構えた瞬間に打てる安心感があるフォルムや他のバランスなどは王道です。キャロウェイのフェアウェイウッドは本当に頼りになるとアドレスをして打つ前から感心しました。
実際に打ってみると、強い弾き感があります。それでいて、しっかりとボールの高さも出ます。ボールを拾いやすくて、ボールを上げやすいフェアウェイウッドです。
計測器の数値をみましたが、飛びます。キャロウェイのハウツーが詰め込まれたフェアウェイウッドです。調整機能がないので、ロフトを無理せずに選択することに注意すれば、多くのゴルファーが使えると思います。
“GBB EPIC Sub Zero フェアウェイウッド“のソールです。ネックの調整機能にプラスして、約22gと約3g重心ウェイトの位置を変えると重心を変えられます。
試打したときには後方に重いほうのウェイトがセットされていました。スピンが多めで高弾道でグリーンを狙っていけるというコンセプトです。個人的には前方に重いウェイトをセットして、低スピンの強弾道に興味がありましたが、時間の関係で試すことができませんでした。
ソールに番手やロフトは刻印されていません。ネックをみなければわからないのです。ヘッドカバーをしていれば、ということなのですけど、この辺りも上位機種らしい味付けなのでしょう。
“GBB EPIC Sub Zero フェアウェイウッド“は、カスタマイズできるという意味で、最低限の機能を損なわずに現状詰め込める機能を全て搭載した盛り沢山です。構えたときのフォルムがスッとしていて、期待をさせるフォルムです。
フェアウェイウッドに自信があり、色々な弾道を打ちたいというゴルファーの為に作られたのだと嬉しくなりました。フェアウェイウッドを作らせたらキャロウェイ、というゴルファーがいるように、流石のクラブで、仕上がりのレベルの高さを感じました。
“GBB EPIC Sub Zero フェアウェイウッド“は、13.5度、15度、18度のラインアップでもわかるように攻撃的なイメージで、フェアウェイウッドが得意なゴルファー向けです。
“GBB EPIC STAR フェアウェイウッド“は、15度、18度、21度のラインアップです。ラインアップは、フェアウェイウッドの性能をさり気なく教えてくれるものです。
構えた通りに、振った分だけ飛ぶイメージです。シンプルにフェアウェイウッドの機能を楽しみたい多くのゴルファーは、こちらを選択することが正解です。
オデッセイの新しいパターは真面目に新しい!
オデッセイの新しい“O-WORKS パター”は、2017年2月24日に発売されます。スタンダードタイプが9モデル、ヘッドが重いTANKバージョンが2種類というラインアップです。
#1、#1W、#2、#7、#9、R-LINE、R-LINE CS、V-LINE FANG CH、2-BLL。#1 TANK、#7 TANK。
新開発の「マイクロヒンジ・インサート」に注目です。ステンレスのマイクロヒンジ・プレートとサーモプラスチックウレタンを一体成型したものです。
プレートにはL字を逆さにしたような構造の突起がついています。画像だと上側にある平らなところの裏が突起の接点で、その下側の部分は浮いているのです。
樹脂に埋もれているので浮いているところは見えません。しかし、ボールが当たると、微妙に丸くなっているところがたわむことで、ボールを少し浮かせて打ち出して、順回転しやすくするのです。
そんな馬鹿な、と思うのが普通です。僕も説明を聞いたときにはそう思いました。インパクト後に早く順回転させるのが方向性を良くして、伸びがある転がりになる方法だというのは、耳にタコができるぐらい聞いてきました。
色々な方法が考案されましたが、目に見えて効果が出るほどのパターは存在していません。理論はわかるけど、実現はしないものだったのです。
目に見えて順回転を過去にないほど早く始めるボールを体感できます。これには衝撃を受けました。とはいえ、順回転をすることを具体的にどうやってプラスにするかはゴルファーに任されています。そこがパターの面白さであり、難しさでもあるのです。少なくとも、ストレートなラインのショートパットでは順回転は強烈な武器になります。パットが上手くなったと体感できるはずです。
ロングパットでどのように影響するかなどは、コースに持ち込んで打ってみないとなんともいえません。しかし、こういうことは使いようなので、徐々に情報が出てくると思います。
流石だと唸ったのは、打ちだしたときのボールスピードへの考慮です。未だにファンが多く、信頼されている「WHITE HOT インサート」に打ち出しの速度を合わせたというのです。
新しい機能の場合、こういう基礎的な部分のチューニングに問題があると、機能は良いけど感覚が狂うと敬遠されて評価されないという悲劇が起きますが、“O-WORKS パター”はその心配はありません。
個人的な趣味で、#9タイプで他の部分を説明します。白黒で色分けされた「NEW VERSA アライメント」が目立ちます。そして、レッドのT字のラインです。個人的にはアライメントラインは、あってもなくても良い派ですが、構えてみると芯にボールを当て易いと感じました。つまりは、構えやすいのです。
#9タイプを長年愛用しています。このパターは購入リストに入れたいと思います。28,000円(税別)という価格はかなりお得感も感じます。
筆者おすすめのO-WORKS パター #9については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
Xという名前のボールはイメージさせる
“CHROME SOFT X ボール”(クロム ソフト エックスと読みます)は、2017年3月3日に発売になります。サッカーボールの模様がプリントされたバージョンもあったりして人気がある“CHROME SOFT ボール”の追加登場が“CHROME SOFT X ボール”です。(“CHROME SOFT ボール”は今まで通り販売されます)
“CHROME SOFT ボール”は短い期間でしたが使用していました。柔らかいのにしっかりとした打ち応えもあって、飛距離性能はトップクラスでしたし、スピンもちゃんとかかるので、良いボールです。何人かに薦めたこともあります。
新しく発売される“CHROME SOFT X ボール”は、ツアーレベルの使用に対応するためのボールとのことです。4ピース構造になって、カバーがソフトウレタンになりました。このときにこだわったのは、ウレタンカバーの薄さのようです。
飛距離性能、スピン性能、コントロール性能を高めたといわれれば、期待を自然にしてしまいます。表面のディンプルも「NEW ヘックス・エアロネットワーク パターン」という新しいものになりました。
このボールについては、発売前に改めてコースで使ってみたというレポートを書く予定です。昨年末、キャロウェイは、ナイキでボール開発をしていたロック石井氏がボール開発者として加わることを発表しています。このボールはそれ以前に開発していますので、直接の関係はないのですけど、今後のボール開発にも注目したいと思います。
“CHROME SOFT ボール”は良いボールだけど、少し物足りないと思っていたゴルファーに“CHROME SOFT X ボール”を試してみるべきだとアドバイスしたいと思います。また、色々なツアーボールを試したけど、決め手に欠けると思ってる人にもお勧めします。
キャロウェイゴルフは、独自の方法でゴルファーの欲求に応えるのが得意なメーカーです。新しい“CHROME SOFT X ボール”も例外ではないと思います。
スペック
GBB EPIC STAR ドライバー
★ヘッド体積 460cc
★ロフト 9.5度 10.5度
★長さ 45.75インチ
★シャフト Speeder EVOLUTION For GBB 75,000円 (税別)
価格 Tour AD TP-5 92,000円 (税別)
Speeder EVOLUTION lll 569 92,000円 (税別)
FUBUKI V 50 92,000円 (税別)
GBB EPIC Sub Zero ドライバー
★ヘッド体積 460cc
★ロフト 9.0度 10.5度
★長さ 45インチ
★シャフト Speeder EVOLUTION For GBB 75,000円 (税別)
価格 Tour AD TP-6 92,000円 (税別)
Speeder EVOLUTION lll 661 92,000円 (税別)
Diamana BF 60 92,000円 (税別)
GBB EPIC STAR フェアウェイウッド
★番手/ロフト #3/15度、#5/18度、#7/21度
★シャフト Speeder EVOLUTION for GBB 43,000円 (税別)
価格 Speeder EVOLUTION lll FW 60 48,000円 (税別)
Speeder EVOLUTION lll FW 50 48,000円 (税別)
GBB EPIC Sub Zero フェアウェイウッド
★ロフト 13.5度、15度、18度
★シャフト Speeder EVOLUTION for GBB 43,000円 (税別)
価格 Speeder EVOLUTION lll FW 60 48,000円 (税別)
O-WORKS パター
★タイプ #1、#1W、#2、#7、#9、R-LINE、R-LINE CS、V-LINE FANG CH、2-BLL
TANKバージョン #1 TANK、#7 TANK
★ロフト 3.0度
★長さ 33インチ/34インチ/35インチ ※右打ち用の場合
TANKバージョン 34インチ/36インチ ※右打ち用の場合
★価格 28,000円 (税別)
CHROME SOFT X ボール
★構造 4ピース(ソフトウレタンカバー)
★カラー ホワイト、イエロー
★価格 オープンプライ