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シングルレングスアイアンでイーデルは世界を変えられるか?

2016年の春、ブライソン・デシャンボーがプロゴルファーに転向することが話題になりました。

アマチュアとしての戦歴もさることながら、注目されたのは10本のアイアンが全て同じ長さだったことです。彼がアマチュアの時、そのアイアンを作っていたのが、イーデルゴルフです。

イーデルゴルフのイメージは、美しい仕上げのウェッジと独特な形状のパターでした。今回、初めてイーデルゴルフのクラブを手にしました。詳細な説明を聞きながら、打たせてもらいました。色々と面白い経験になり、大いに感心したのです。

シングルレングスアイアンは易しいのか?

同じ長さで統一するアイアンのことは、通称で『ワンレングスアイアン』ということが多くなりましたが、イーデルゴルフでは『シングルレングスアイアン』と呼んでいます。

アイアンを同じ長さにして、同じスイングプレーンで打つほうが簡単だという考え方は20世紀末からありました。実際に、製品化されたクラブもあります。しかし、どれもこれも、すぐに消えてしまいました。理由は、当時の技術では振り易さや弾道の高さなどを揃えるのが困難だったからです。

イーデルゴルフのシングルレングスアイアンは“SLS-01”という名称です。標準の長さは37インチです。フィッティングなどをした上で、36インチから38インチまで対応できます。シャフトはカーボンの専用シャフトで、軽量タイプの85g、標準タイプの95g、重量タイプの110gがあります。

通常のアイアンのヘッドは、1番手で7gずつ番手の数字が増えるに従って増えていきます。ロングアイアンのヘッドは軽く、ショートアイアンのヘッドは重く作られています。また、ライ角も番手ごとに長いものはフラットに、短いものはアップライトになっています。

同じ長さのアイアンなんて、同じ長さのシャフトを入れるだけだろう、と簡単に考える人がいますが、そうではないのです。普通のアイアンのヘッドの重量を合わせることが、まず無理で、ライ角も調整できる限界があるので難しいわけです。

“SLS-01”は、シングルレングスアイアン専用のヘッドですので、全ての番手を6番アイアンと同じヘッド重量にして、ライ角もそれに合わせています。ライ角は、62度を基準に、58度から70度まで1度刻みで調整できます。

ヘッドは、見た目ではわかりづらいですが、中空構造になっています。中は空洞ではなく、衝撃吸収のためにポリマーが入っているそうです。

アイアンを同じ長さのシャフトにした場合に、もう一つ問題があります。原則として、シャフトが長くなるほどボールは高い球になります。

6番アイアンに合わせた場合、ショートアイアンはシャフトが長くなるのでボールが上がり過ぎる傾向があり、逆にロングアイアンではシャフトが短くなるので球が低くなってしまう傾向があるのです。過去に商品化されたシングルレングスアイアンが市場から消えてしまった理由は、この部分の調整が上手く機能しなかったのが大きいと分析されています。

“SLS-01”は、その問題を解消するために、専用のカーボンシャフトを重量だけでなく、ロングアイアン用にボールが上がりやすいシャフト、ミドルアイアン用は方向性と飛距離を向上させるシャフト、ショートアイアン用はボールが上がりすぎないようにしたシャフトを作ったそうです。

実際に、フィッティングを体験させてもらいました。最初は8番アイアンのヘッドで始めます。ボールを打ちながら、シャフトの重さを選んでいきます。芯に当てやすいか、飛距離はどうか、ということに注目して進んでいきます。シャフトはネジ式になっていて、簡単に取り外しができます。

普段より約1インチ長いことは、思ったりより気になりませんでした。打ったボールも普通の8番アイアンと同じぐらいの高さで、違和感はありません。3球ずつ打って、弾道解析のスペックを見ながら判断していきます。重量があるシャフトが一番合っているということになりました。

次に行うのが、ヘッドの重量を変えてのチェックです。

“SLS-01”のヘッドのバックフェースには、黒いウェイトが装着されています。標準では8gのウエイトが入っていますが、2gから16gまで2g単位で重くしたり、軽くしたり出来ます。2gの差はクラブを持っただけではわからないですが、ボールを打ってみると、弾道のスペックが結構変わることに驚きました。

軽くしたり、重くしたりして試して、最も飛ぶと判断されたのは6gのウェイトを装着したときのものでした。この辺りは、個人差で、特別な傾向とかはない、ということでした。重いヘッドが合っている人もいるし、軽いヘッドが合っている人もいるそうです。

自分で体験してみて、重いほうが飛ぶのではないかと考えていたのに、軽めのほうが飛んだことに驚きました。その後、6番アイアン、4番アイアン、ウェッジとフィッティングは進みました。6番アイアンは8番アイアンと同じもので何ら問題はありませんでした。

4番アイアンで、問題が出ました。球が明らかに低いのです。通常の6割から7割ぐらいです。とはいえ、飛距離にかんしては、自分のアイアンより飛んでいるボールもあったので、一概に問題だとはいえませんが、もう少し球が上がった方が良い、と伝えました。

シャフトからもう一度やり直しです。色々なシャフトを試しましたが、個人的に満足する高さのボールは出ませんでした。決して悪いボールではなく、飛距離も出ているのだから、それはそれで正解なのは十分にわかっています。もっと時間をかければ、方法はあるのかもしれませんが、飛距離的に十分だということで、次に進みました。

ウェッジは、やはりシャフトの長さが気になりました。よくよく考えてみれば長さで5センチぐらいの違いですが、長いなぁ、と思いました。フィッティングの内容は、最初の8番の時のスペックで良いということでした。ボールは、上がりすぎて飛ばないということはなく、ややボールの高さが出ている感じはしましたけど、良い感じでした。

打ってみてビックリしたのは、3球も打つと、違和感はなくなって、振りやすいと感じ始めたことです。球が上がるのが簡単だという理解が気持ちを楽にするのかもしれません。一通り打ってみて、「打ってみなければわからないものだ」と素直に反省しました。

現在のアイアンを打ち慣れている僕は、逆に打ち慣れるまで調整する必要を感じました。思っているよりも何倍も良かったからです。もっと色々な問題があるかと想像していました。アイアンが苦手だという人や、初級者には、簡単にゴルフをするという意図で、“SLS-01”は面白いと思います。

また、アイアンにも飛距離を求めてゴルフをエンジョイしたい人にも向いています。フィッティングを受けて、最も衝撃だったことは、ほんの少しで自分ではわからないヘッド重量の差で数ヤードの飛距離になって結果がでることだったのです。

最も飛ぶスペックにして選べば、間違いなくアイアンの飛距離も楽しめます。“SLS-01”は、ショートアイアンの上がりやすさが最大の魅力だと思いました。一般のゴルファーでスコアが伸び悩んでいるケースの何割かは、ショートアイアンが不安定であることが原因です。

ボールが楽に上がって、距離のロスがないのであれば、こんなに心強いことはありません。スイングのスイングプレーンや軌道が不安定なゴルファーが、シングルレングスにすることで安定する可能性を否定は出来ませんので、機会があったら、ちゃんとフィッティングを受けて体験してみることをオススメします。

注目すべきスペックなのに、確認できなかったことがあります。バウンス角です。全てのアイアンヘッドが12度というかなり多めの設定になっています。それがあるから、ソールの厚みがなくとも、ワイドソールと同じぐらいの効果があると説明をされました。

練習場の人工芝マットでは効果はわからないのですけど、ハンドファーストなインパクトをする意味でも機能するとのことでした。ゴルフコースでテストしてみたくなりました。

パターを科学した一つの道

イーデルゴルフのパターに最初に注目したのは、米国のゴルフ情報サイトの記事がきっかけでした。トウが上を向くトウアップバランスのパターをオデッセイが発売する際に、イーデルゴルフのパターを見たフィル・ミケルソンが興味を持ったことで開発することになったという内容でした。

調べて見ると、中空のヘッドのパターが並んでいて、間違いなく芯は広そうで面白い、と思ったのです。そのときは、それ以上でも、以下でもありませんでした。

色々な形状のパターがイーデルゴルフからは出ています。これら全てが、ソールが抜けている中空構造です。

初めて実物を見ました。実際に打たせてもらいましたが、とにかく芯が広いことが第一印象です。逆に、どこが真芯なのかがわからないぐらいの特別な感触です。

トウが上を向くバランスにも注目しました。イーデルゴルフでは、トウが上を向くバランスのことを『トルクバランス』と呼んでいます。トウが上を向くバランスにはどんな意味があるのか? 質問してみると、最大の効果は引っ掛けにくいことだと回答がありました。

実際に打ってみると、普通に使う分には『トルクバランス』はほとんど気になりません。逆に引っかけを防止する機能も感じられませんでした。もっと違和感があると想像していましたが、全く違和感は感じませんでした。

その理由は、独自のカウンターバランスが機能しているからだ、ということでした。グリップがかなり重く作られていて、かつ、フィッティングで重りを入れることも可能で、ソール裏のヒール寄りのウェイトもそれに対応して重量を変えるそうです。

全体の重量のバランスが良いので、違和感がないというのは、イメージしにくいかもしれませんが、素振りしただけでも実感できました。振りやすいというよりも、重量感があるのに、操作しやすいという感じがしました。

イーデルゴルフで最も新しいパターである“ブリック パター ブラック”と呼ばれるヘッドが黒いパターを実際にコースに持ち込んで打ってみました。

“ブリック パター”の『ブリック』は煉瓦という意味です。構えると、煉瓦の意味がよくわかります。スクエアなヘッド形状は、単純で狙った方向に向いているかどうかがわかりやすいと思いました。

ソールから見ると、中空です。フェース寄りにスリットと呼ばれる溝が掘られています。

スリットの効果があって、ボールを打つと、打音と一緒に「チン」というベルっぽい金属音がします。この音をイメージして、「チーン」と大きく鳴ったら長い距離、「チン」と小さく鳴ったら短い距離というように打つと距離感が合いやすいという発想は20世紀からありました。

僕の勝手なイメージで、この「チン」という音は、初級者みたいで恥ずかしいと思いました。コースに持ち込んで、練習グリーンで打っているときも、周囲のゴルファーに変な目で見られないかを気にして、なかなか集中できませんでした。

後になってわかるのですけど、この音は、ヘッドの中空の構造で計算されていて、上と後方に向かって音が出るようになっていて、打っている本人以外にはあまり聞こえないのです。実際、貧打爆裂レポート用に動画も撮りましたが、向きによって、音が全然違いました。科学力なのでしょうけど、凄いものだと感心しました。

フェースはまっさらです。シャフトはダブルベントシャフトが入っています。面白いのは、構えたときに、一直線上にシャフトとヘッドが並ぶので、ベントシャフトのパターを打つときの感触は一切ありません。

不思議なのですけど、センターシャフトのパターを打っているような感じと、L字のパターを打っている感じもするのです。シャフトの接合部と曲がり具合とヘッドのバランスがなせるワザなのかもしれません。この部分だけにフォーカスしても、“ブリック パター”は打ってみる価値があります。古いスタンダードなパターから良い部分だけを取り出した感触は、21世紀の魔法です。

丸いミッドサイズのグリップのパターでラウンドするのは初めてでした。このグリップがイーデルゴルフのオリジナルで重さは100gあるそうですが、操作はしやすかったです。“ブリック パター”のグリップは丸型だけではなく、通常の形状で太めのものもあり、選べるようになっています。

“ブリック パター”でプレーしてみて、最初に驚いたのは距離感が合いやすいことでした。芯が広いことも影響していると思いますが、しっかりと打ち易いのが距離感を合わせやすくしていると感じました。芯が広いパターは概して、打ち出したボールが弱い傾向があります。“ブリック パター”の『トルクバランス』はトウ側が軽いので、ヘッドが操作しやすいことがしっかりと打つ動作を手助けしているのかもしれません。

10数ホール目ぐらいで、徐々に慣れてきて、ヘッドが回転する動きを自ら制御しようしました。理由は、短いパットのときに、押し出してしまったり、引っ掛けてしまうことがあったからです。

これはフェースの位置が通常より左側にあることも影響していると思われ、練習をすれば乗り越えられるのかもしれませんが、ラウンド中は、とりあえずの応急処置としてフェースをオープンにしたり、クローズしないように意識をしたのです。

結果として、長いパットが少しショートするようになりました。“ブリック パター”は、重さのバランスがちょうど良く、丸型のミッドサイズのグリップも使いやすかったです。結果として、長いパットがいつも以上に決まったので、気分良くプレーできたのです。

イーデルゴルフのパターは、見た目のインパクトがあるので、それが嫌だという人も少なからずいると思います。科学的な開発をしたパターは、世の中にたくさんあります。どれも面白い特徴があって、助けられるゴルファーもいます。

イーデルゴルフのパターで僕が感じたのは、ただ最新の科学を詰め込んだだけではなく、伝統的なパターが持っている機能についても研究して、それを搭載していると感じました。“ブリック パター”は、高額なパターの部類に入ります。気軽に試すのは難しいですけど、今までのパターではどうにもならないと諦めているゴルファーにオススメです。

今までのパターの良い部分を抽出し、最新の科学を原料にして複合させたような面白いパターの弱点は、使い慣れてしまうと他のパターには戻れなくなる可能性があることです。高額なパターですので、一生物だと考えれば弱点とはいえないかもしれませんが、ちょっと気になりました。そういう意味では、初心者向きではありません。

パターは入ってナンボ。結果は、入る、入らないの二つだと開き直って、イーデルのパターの科学力でスコアアップを狙うのも、シングルレングスアイアンで簡単にゴルフをするのも、ゴルフという冒険であればこそ新しいルートになるといえるのです。

スペック

シングルレングスアイアン SLS-01

★番手/ロフト    #3/20度、#4/23度、#5/26度、#6/30度、#7/33度、#8/37度、#9/41度、PW/45度、GW/50度、SW/55度 ※#3・#4・GW・SW は単品オプション
★シャフト  36~38インチ ※標準は37インチ
       専用カーボンシャフト
★金額    6本セット(#5~PW) 178,800円+税
       単品オプション 29,800円+税

ブリック パター ブラック

★ロフト   3度
★ライ角   70度
★シャフト  33/34インチ ダブルベント インナーウェイト50g
★グリップ  ラウンド型/ビッグドッグ型
★金額    47,000円+税

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