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“Class of 11”の最終兵器?!ザンダー・シャウフェレの魅力に迫る!

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PGAツアーで2011年に高校を卒業したYoung Guns(新人達)のことを呼ぶ総称になっている“Class of 11”。野球でいうといわゆる“松坂世代”のようなものだろうか。ジョーダン・スピース、ジャスティン・トーマス、ダニエル・バーガーなどそうそうたるメンバーが顔を揃えている。

そして昨年、2016年―2017年シーズンでPGAツアーに本格参戦して2勝を挙げ、PGAルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した選手の名前が“Class of 11”のリストに加わった。

ザンダー・シャウフェレ/Xander Schauffele

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アメリカ、カリフォルニア州サンディエゴ出身。1993年10月25日生まれの25歳。身長178cm、体重79kg。

プロフィールだけを見ると体格に恵まれているとは言えないが、その小さな身体をダイナミックに使うプレースタイルはローリー・マキロイを彷彿とさせる。特にプレー終了後、キャップを取って握手をする際、自分よりも背の高い同伴競技者を見上げる視線の角度がマキロイのそれと、とてもよく似ている。

プロ転向は2015年だがPGAツアーに本格参戦を開始したのは2016-2017年のシーズンから。

ザンダーのクラブセッティングは、ひと言でいうと“オーソドックス”という印象。ドライバーにフェアウェイウッド(3番・5番)、アイアン(4番―PW)、ウェッジ(52度・56度・60度)、それにパターの14本がベースのギアとなっている。

2017年のスタッツを見ると、ドライバーの飛距離は十分、ショットの貢献度は高いが、パットは安定していないという内容。これは、ブレイク直前2016年の松山英樹のスタッツとよく似ている。あとはパットが入れば、優勝を量産できるところまで来ているのでは?と思わずにはいられない内容である。

また、アメリカ国籍を持つザンダーだが、そのバックグラウンドには興味深いものがある。

父親はフランスとドイツのハーフ、10種競技でオリンピックを目指していたアスリートだった。しかし、飲酒運転のドライバーにはねられ左目の視力をなくしてしまい自身のアスリートの夢を諦め、ゴルフコーチとなる。現在はザンダーのスイングコーチを務めている。

また、母親は台湾人だが日本育ち。母親の祖父母は日本在住という。遺伝子的には台湾、ドイツ、フランスの3カ国だが、文化的にはそこに日本とアメリカが加わり「クオーター+1」という国際的なバックグランドも色々な意味でザンダーの持ち味になっていると感じている。

ザンダーの笑顔はどちらかというと東洋的で、日本人にとっては馴染みやすい顔立ちだ。特に印象に残るのは、笑った時に穏やかに細く垂れる愛くるしい目であろう。余談だが、ザンダーのインスタグラムにも時々登場する母親もザンダーに良く似た目を持っている。愛嬌のある笑顔はザンダーとよく似ている。

日本国内ツアーでも2017年のダンロップフェニックスに出場。大会はブルックス・ケプカが大会2連覇で幕を閉じたが、ザンダーも11アンダーのスコアで2位タイの成績を収め、その体格やプレースタイルは日本のゴルフファンを魅了し、じわじわと人気が広がってきている。

2016年―2017年シーズン

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ザンダーは2016年―2017年のシーズンで「ザ・グリーンブライヤー・クラッシック」と「ツアー選手権」でそれぞれ勝利し、PGAルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。ツアー選手権に勝ち、PGAルーキー・オブ・ザ・イヤーに選出された後のインタビューの中で「下部組織からPGAに移ってきて大きく変わったことは何?」と聞かれて、次のように答えている。

「なにからなにまでさ。コースのセッティングはタフだし、なによりこれまでファンとしてテレビで観ていた選手、ローリー(マキロイ)や、ジェイソン(デイ)や、ジャスティン(トーマス)達と一緒にプレーしているのが、正直いまでも不思議な気持ちなんだ」

さらに、ローリー達と一緒に自分もサインを求められることについて「それはとても気分が良いこと」と答えていた。“Class of 11”で出遅れていた時は、同世代の選手の活躍を複雑な思いで観戦していた若者が、一気にスターダムを駆け上がろうとしているのだ。

もちろん、そこには大きな期待と困惑がある。しかし、それらを屈託のない笑顔で素直に受け答えしているザンダーを見て、彼の虜になってしまったのはインタビューをしていた女性アナウンサーだけではないはずだ。

ザンダーの強さはメンタルにあり

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2018年10月28日。
中国のシーシャン・インターナショナルGCで開催された、4大メジャー大会に次ぐ大きな大会でもあるWGC(世界ゴルフ選手権)の一つWGC HSBCチャンピオンズ、最終日。ザンダーはトニー・フィナウとのプレーオフを制して、ツアー通算3勝目を挙げた。

2018―2019年のシーズンはまだ始まったばかりだが、10月の試合を終えてPGAツアーの賞金王レース、フェデックス・カップ・ランキングで1位に躍り出た。見事にジャンプスタートに成功した。

大会最終日。ザンダーはトップと3打差の10アンダーで、ツアーリーダーのトニー・フィナウと同じ最終組で第1ホールのティーショットを放った。ボールは大きく右に曲がってしまうが、木に当たって跳ね返ったボールはフェアウェイのど真ん中に戻って来た。

シャウフェレは試合後のインタビューで第1ホールのラッキーバウンドも含めてインタビュアーから少し意地悪な質問をされた。

「今日はアップダウンの激しい一日でしたが、ご自身のプレーを振り返ってひと言お願いします」

ところが、ザンダーはいつもの笑顔で次のように切り返していた。

「最初のティーショットも木に当ててしまったけど(フェアウェイに)戻ってきたし、今日は1日中しっかりボールをコントロールできていると感じたよ」

自ら第1ホールのラッキーバウンドの件に触れて、とてもポジティブなコメントをしていた。「運も実力のうち」と言うが、楽しくプレーしているように見えるザンダーのプレースタイルは、「運」までもコントロールしているのではと思えるほどのメンタル面での強さを感じた。

大物に化ける予感

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ザンダーが今後どのようなゴルファーになってゆくかは、現時点ではなんともいえない。しかしながら、ある出来事から彼の器はもしかしたら想像以上に大きなものなのでは?と思うようになった。

それは、ザンダーがツアー初優勝を達成した2017年ザ・グリーンブライヤー・クラッシックの優勝インタビューで「チームの皆に感謝している」と答えたザンダーに対してインタビュアーが「具体的に誰に感謝しているのかお名前をいただけませんか」と少し突っ込んだ質問をした場面でのこと。

「そうですねスイングコーチの父、母や兄弟もいつも僕をサポートしてくれました、それにパッティングコーチに、あとガールフレンドのマヤはいつもそばにいて僕をサポートしてくれました」

と、彼女のことまで堂々と答えていた当時23歳のザンダー。そんな彼に老婆心ながら良い意味でも悪い意味でもタイガー・ウッズと印象が重なった。

つまり、大物の片鱗が見え隠れしているということだ。

スタッツも松山英樹のブレイク前に良く似ていることもあり、今シーズンはザンダーから目が離せない。良い意味でも、悪い意味でも…。

最後に欧州ツアーの編集による2018年WGC-HSBチャンピオンズ最終日のザンダーのハイライトをご覧いただこう。ザンダーの素直なプレースタイルは観ているだけでとても良いイメージトレーニングになるから不思議だ。

(完)

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