トホホな海外ゴルフ体験記 東南アジア編「最低限の英語もできずギリギリだった話」
冬のゴルフツアーは1ヶ月2回程度の割合で出かけるので、近隣国のゴルフコースは随分と廻ってきました。
海外経験が多いのに実は英会話能力がまったくダメで、いつも一緒に行くみんなにお世話になっています。そんな自分が苦労した海外ツアーのお話です。
英語ができなくて入国審査がピンチ!
入国審査で職業と渡航目的を聞かれて大騒動になったことがあります。
「What’s the purpose of your visit?」って聞かれたけど意味は分からず、巷(ちまた)で有名な「YOUは何しに日本に?」みたいな感じだろうと、ゴルフに来ているから「プレイ」って答えたら不思議そうな顔をしています。
次に「What is your occupation?」と聞かれて、「きっと仕事のことを聞いてきたな」ってことで「マネージャー」って答えたら、警備員らしき人に別室に連れて行かれることになったのです。
どうも係官は東南アジアの女性目的の旅行か、もしくは日本で非合法に働かせる女性をスカウトしにきた怪しい奴と思ったようです。
入国でさえこの程度の語学力だからキャディとも上手くコミュニケーションがとれないので、いつもキャディに日本語を覚えてもらってからスタートします。
東南アジアのキャディは頭が良くて「ナナカネ」って教えると7番アイアンが出てきますし、「ゴバン」って教えれば5番アイアンが出てくるので、いままで無理に英語を覚える必要もなかったわけです。
レフトはL? それともR?
そんな海外で英語ができずに大きなトラブルがあったのは、スコールあとの熱帯特有の湿度いっぱいのコースでした。
雨のおかげでグリーンが止まりパーオンを繰り返していたときのことです。
先にカップインしていたのでドリンクを飲もうとカートに戻りかけたとき、濡れた芝生で滑ってスッテンコロリン!と大転倒。そのままスコールでできた小さな池に尻滑りでずり落ちていったのです。
池の周りの竹のような細い木がスネからブスリと突き刺さり、なんと貫通!
体育座りでスネを貫通した木はお尻に刺さり、上に登っていくこともできません。「うぅぅ」と唸っているとキャディが気付いてくれて、周りのキャディを呼んで引き上げてくれました。
刺さった木を引き抜くと噴水のように真っ赤な血が……。
キャディがカートでハウスまで連れて行ってくれると、これからスタートする人達は騒然としています。
白人系の女性がたぶん「大丈夫?」って聞いたと思います。大丈夫なわけはないけど強がって「ノープロブレム」って言ったつもりが、ドヤ顔で「ノープログラム」と言ってしまいました。
言われた相手は不思議そうな顔をしていますが、こっちは心配してくれてると勘違いして、やらに強調するために「仕方ないさ」って外国人がよくやる例のポーズを決めて強がってみせます。
両手を広げて肩をすくめて恰好つけたけど、あとからノープログラムって言ってた自分に「単語ぐらい覚えておけよ!」と恥ずかしい思いをしたものです。
病院まで送ってくれた運転手にチップを渡したらあっという間に消えてしまい、英語が話せないのに、重傷なまま受付は自分で済ませました。
小さな病院では、受付でレントゲン用のLとRのカードを渡されて、自分で右側面と左側面が分かるように写してきます。
一応ゴルファーですから左利きがレフティで、レフトが左と言うことは知っています。
ただしレフトが「Left」なのか「Reft」なのかド忘れしてしまったので、結局1枚のレントゲン写真にLとRを仲良く並べることにしました。
海外で役に立ったもの
タイル貼りの手術室は開放的で窓からの風が心地よく、床には手術待ちの患者なのか家族なのか何人かが座っています。
2台並んでいる手術用のベッドの上に寝ていると、明らかにドクターには見えないラフなスタイルのオジさんが傷を見てから何かを聞いてきます。
普通は英会話ができなくても英語を話していることくらいは分かりますが、舌足らずの発音は何語をしゃべってるのかさえ全然分かりません。
レストランでビールを頼む時に使う「プリーズ・ワンモア」で何度も聞き直すと、「クレジットカードを見せて」と言ってるようです。
手術室で支払の心配をするなんて日本では想像もきませんが、この勘で九死に一生を得ることができたのです。
隣のベッドは交通事故でなかなか重症の様子。明らかに隣のベッドが優先されることは素人でも分かります。でもコッチのベッドが先に手術してもらうことになったのは金色に光るクレジットカードのお蔭だったのかな、なんて思います。
日本では年会費さえ払えば誰でも持てるゴールドカードですが、海外では今でもステータスカードらしいので、たとえ手術であっても優先順位は支払にあるのかもしれません。
もちろん、別の理由で私が優先されただけで、これは邪推に過ぎないのかもしれませんが・・・。
言葉が通じない地では、言葉ができないなら、言葉以外の準備も重要なのかもしれません。