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世界で活躍する松山英樹のスイングはアマチュアも真似できる?

今シーズンの国内男子ゴルフは、3日~6日に行われた最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」にて、石川遼が初の日本タイトルを手にして幕を閉じました。

2位に5打差をつける圧勝。石川復活を感じさせる完勝のニュースで沸いた同じ日、海外では松山英樹が苦しんでいました。

 

タイガー・ウッズが主催するチャリティマッチ、「ヒーロー・ワールド・チャレンジ」が、西インド諸島のバハマで開かれていました。

松山は初日18番で痛恨の8打をたたき最下位スタート。この大会は世界ランク上位の18人だけが招待される名誉ある大会。優勝したバッバ・ワトソンをはじめ、ジョーダン・スピースやアダム・スコットなど、そうそうたる面々が出場しました。

もちろん、日本人でたった一人参加しているのは名誉なことです。2015年の締めくくりとなる最終日で松山は意地を見せます。

出だしの1番から4連続バーディーとヒートアップし、この日7バーディー、1ボギーの66のスコアをマーク。結局18人中最下位の17位タイながら、2016年に向けたラウンドとしました。

同期の石川は子供の頃からライバル

松山は石川とは同学年で、ジュニア時代からライバルでした。石川は2007年のマンシングウェアオープンKSBカップにアマチュア枠で初出場し、日本プロゴルフ大会で史上最年少優勝を達成。一躍時の人となり、2008年には16歳3か月と史上最年少のツアープロとなります。

華やかな舞台を歩く石川を追うように、松山も着実にステップアップします。東北福祉大学時代の2010年、アジアアマチュアゴルフ選手権で日本人として初優勝。マスターズ出場権を獲得すると、マスターズでは日本人として初めてローアマチュアに輝きます。

さらに2011年には三井住友VISA太平洋マスターズで倉本昌弘、石川に次いで3人目のアマでの日本ツアー優勝を果たしています。2013年に大学生ながらプロ転向、その2戦目に初優勝。このシーズン史上3人目の2億円プレーヤーとなり、賞金王となりました。

奇しくも石川と同年の2014年に米国ツアーに参戦すると、6月のメモリアル・トーナメントでPGAツアー初優勝。日本人選手の米ツアー制覇は、青木功、丸山茂樹、今田竜二に次いで4人目。

2015年は優勝できなかったものの上位をキープし、最新の世界ランク15位でシーズンを終えています。米ツアーでは今一つ力を発揮できない石川とは対照的に、安定した成績を残しています。

リストを使わないから安定度抜群

松山が世界で通用している一つの要因には、ショットで手首を使わないことがあります。一般的なゴルファーは腕力やリストを使って飛ばします。リストを使う選手ではバッバー・ワトソンやセルヒオ・ガルシアがいます。

体格の小さいガルシアは、トップのダウンスイングから一気にリストを返してヘッドスピードを上げてボールを飛ばします。まるでムチをしなやかに使って、先端を走らせるような打ち方です。

これに比べ松山は腕をほとんど使わず、体幹を使ったスイングアークによってボールを飛ばしています。松山の身体は柔軟性があり、それによって体を捻ってもアドレスでの前傾角度が変わりません。重心の位置、頭の位置が変わらないま、まバックスイングからフォロースルーへ移行することができます。

 

捻転がパワーを生む

さらに、アドレスのスタンスを広めにして、上半身と下半身の捻じれを最大限利用することができます。この捻転によるパワーが飛距離につながります。松山は日々の練習で、柔軟性を高めるメソッドを取り入れています。

リストを使う打ち方は、プレッシャーで微妙に手首の力の入れ方、角度の影響を受けやすくなります。その点、松山のような体幹を使うスイングは感情に影響されることがなく、安定したショットを続けることができます。

米ツアーに参戦していることで、さらに松山のスイングの精度が高まりました。

マスターズでは高い球、全米オープンでは止まる球がコースを攻めるのに必要とされます。多くのプロがそれによってショットの変更を余儀なくされていますが、松山はすでに高弾道で飛距離のあるドライバーやアイアンショットを持っており、十分にメジャーで戦えるスイングを完成させていると思われます。

松山がツアー後のインタビューで良く口にするのが、「いいショットは一つもなかった」との記事です。しかし、松山のショットはドロー、フェードなどといじるのではなく、体幹を使ったスイング自体が完成しており、微妙な修正のみで対応しています。大きくスイングを変えないことも、スコアが安定する理由です。

片山晋呉の指摘

やはり美しいスイングをする片山晋呉が、松山について面白い分析をしています。片山が松山のスイングに名付けるのは「縦のツイスト打法」。この打法は、アドレスからバックスイングまでは通常と一緒です。ダウンスイングの途中で、左膝を思い切り伸ばすのが特徴です。しかし、下半身が伸びても前傾は崩れず頭の位置も変わりません。

 

バックスイングからクラブヘッドを振るのは、ヘッドが体の右から左に運動する過程です。その時、ヘッドが下方に向かう時に体を上方へ使うことでヘッドにブレーキをかけるような動きとなります。そうすることで、クラブヘッドに強烈な加速力が生まれます。これが片山曰く「縦のツイスト打法」です。これによって、硬いシャフトでもツイストをかけることで大きくしなるのです。

このツイスト打法を自分のものにしているもう一人に、ローリー・マキロイがいます。プロフィールによると松山の身長は181cm、マキロイは175cmです。PGAツアーの中では決して大柄ではありませんが、2人がドライバーの飛距離で活躍できるのも、このツイスト打法をマスターしているからです。

強靭な下半身と柔軟な身体によって、2人はPGAツアーで活躍しています。そしてもう一人、かつて活躍した女子プロにも、この打法を使っていた人がいました。

アマチュア憧れのスイング

女子ゴルフ界きっての飛ばし屋、ローラ・デービースがその人です。50歳を越えても若手に負けない飛距離を誇っていました。考えてみると、女性でも年齢が高くても身体の使い方で遠くへ正確に飛ばせるスイングというのは、アマチュアゴルファーにとって魅力のスイングです。

両ワキを締めて両ひじは狭い間隔をキープ。ダウンスイングで左膝を伸ばして一気にスイングスピードを上げる。

身体の柔軟性は、ある程度運動する必要があるでしょう。でも、チャレンジするにはおすすめです。

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