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今年のマスターズのグリーンにサム・スニードが降臨!?

“イップス”とは精神的な障害で思うような行動ができなくなることを言い、パターの場合1m前後のパットが入らなくなる現象を指します。特に熟練のゴルファーがかかりやすくなると言われています。

今回のマスターズでも悲劇が起きました。メジャー4勝のアーニー・エルスが初日の1番ホールで3打目、60cmにつけましたが、なんとそこから6打を要してやっとカップインしました。1mの範囲を2往復、20cmを右手だけでタップインしようとしてもカップをなめてしまいました。

エルスは最近ショートパットが不振でしたが、まさにイップスに病んでいる状態です。精神的な悩みがあるとパターを握った右手と左手を同じ方向、強さで打つのが難しくなるようですが、その原因、治療法は解明されていません。

スニードはイップス対策として、「サイドサドル・スタイル」を編み出しました。体をカップに正対させ、左手はパターのグリップをつかんで振り子の軸とし、右手だけで押し出すスタイルです。つまり、左手で打つ方向を決め、右手でストロークの強弱と、左手と右手の役割を分けるやり方でした。

今年のマスターズで3日目、首位に2打差と優勝範囲につけたのが58歳のベルンハルト・ランガーでした。マスターズも過去2勝、ニクラウスの最年長優勝記録(46歳)をしのぐかと期待されたランガーは長尺パターを使っていました。

体の向きこそ普通のパッティングと同じですが、左手でパターのグリップエンドをつかみ、その50~60cm下をつかんだ右手だけでストロークする打ち方は「サイドサドル」の考え方、「左手と右手の役割を分ける」と同じです。

初日2位と好発進を果たしたダニー・リーのパッティンググリップも変わっていました。左手でグリップをはさみこみ、その下の右手は左手とまったく触れていません。右手の親指と人差し指の間にグリップを下から挟み込んで握り、右手を押し出すようにパッティングをします。このスタイルも、両手の役割を分けた意識がありそうです。

ちなみにリーは松山英樹と仲が良く、大会前は一緒に練習ラウンドを重ねた相手でした。また、ランガーは大会最終日は松山と同じ組でラウンドしました。

その実力ながら、なぜかメジャーで優勝できず「無冠の帝王」と呼ばれたセルヒオ・ガルシアも、独特のパッティングスタイルを見せました。初日、13番から4ホール連続バーディーを奪い、その存在感を示しました。

ガルシアの場合、左手は同じようにグリップを掴み、右手はグリップに沿って手の平をまっすぐ下に伸ばします。人差し指の左側だけをグリップに当てるようにして構えます。

リーの場合は親指で挟み込みますが、ガルシアは人差し指側の手の平のサイドを使ってパターを押し出します。これもストロークは右手の感覚重視でした。

高速グリーンが特徴のマスターズは、パターのでき如何に大きく左右されます。3人とも今回、上位には残れませんでしたが、独特のパッティングスタイルはマスターズを彩ってくれました。

イップスはゴルファー共通の悩み。ショートパットに苦しんだら、彼らのスタイルを参考したらいかがでしょう。

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