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スイング改造で悩める石川遼、いつ光明を見出すか?道のりはまだ遠いか?

ミズノオープン決勝ラウンドの始まった26日、石川の姿は会場のザ・ロイヤルゴルフクラブ(茨城県)ではなく、次週に開催される同じ茨城県の会場、宍戸ヒルズGCにありました。今回から始まった大会期間中の土曜日に予選不通過者によって行われた、ミズノオープンのプロアマ大会に参加していました。

ミズノオープン予選2日目は名物の16番パー5、705ヤードでティーショットを大きく右に曲げて、ダブルボギー。トータル5オーバーと予選カットラインに1打及ばず70位タイで決勝進出はできませんでした。

今季開幕以来、改造したスイング、特にドライバーが不安定なままです。前週の関西オープンの翌日の21日、石川はジャパンメモリアルクラブ(兵庫県)の全米オープン予選会に臨みました。第1ラウンド、4アンダー4位タイと好位置で第2ラウンドに進んだ石川ですが、後半は一つ落として3アンダー。ホールアウト時点で暫定8位と、本選出場権を逃しました。

それでも石川は明るい表情を見せていました。「やっていて楽しかった。次に向けてプラスになる」。前日の関西オープン最終日でもドライバーはシンプルなスイングができたことに復調のきっかけをつかんだとの思いが、この日確信に変わりました。「これだけドライバーが良くなっているとは思わなかった」。アイアンは比較的安定しており、本人も復活の手ごたえを感じていました。

つかんだ、と思った復活のヒントもむなしく

今季開幕から石川遼はアイアンは良くてもドライバーの不調を口にしていました。もともとティーショットで体が開く悪い癖をシーズン開幕前までに改善してきましたが、いざ試合を続けるうちに再び不安定になってきていました。

関西オープンも初日から苦しみました。後半になってドライバーがブレだし、13番ではティーショットが隣の15番との間の林の中へ。狙ったポイントから100ヤードも右にいった一打は、「自分史上、最大に曲がった」(石川)。前半の5ホールで使ったドライバーが3回フェアウェイをキープしたのと対照的な出来でした。「シャフトというか、腕、手のねじれがハンパない」(石川)。

2日目には「ドライバー不振からの脱出の糸口を見つけた」と予選カットラインぎりぎりで決勝ラウンドに進んだものの、3日目には再びスコアを落としました。それでも、不振から抜け出すヒントを求め、「ドライバーを振り切る」と最終日も怖がらずにフルスイング。3バーディー1ボギーの70と、3試合ぶりのアンダーパーで回りました。今季、石川が上位に上がれないのはまさにドライバー。この5戦でティーショットのフェアウェイキープ率は39.8%とツアーで123位と低迷しているのが何よりの証です。

今季から日本参戦をきっかけにスイング改造へ

16歳でプロ入りし、18歳で史上最年少の賞金王に輝いた石川ですが、2013年から挑戦した海外ツアーでは大きな壁に阻まれました。ドライビングディスタンスは日本で14位(2012年)と男子で飛ぶ方だったのが、米国では2013年で61位。アメリカの難コースで少しでも飛ばそうとスイングを悪化させてしまいました。

さらに2012年頃から腰痛にも悩まされたのも原因でした。前傾姿勢をキープしてフォロースルーをするため腰へのストレスを楽にさせようとして、結果的にスイングを狂わせマスターズなどのメジャーはおろか、ツアーで優勝できないままでした。同時期に米ツアー優勝を重ね始めた松山英樹とは対照的になってしまいました。

2013年はシード権を確保できず、下部ツアーとの入れ替え戦で2014年の出場権は得たものの目立った活躍はできません。2015年には腰痛が悪化。2016年に5か月の長期離脱を強いられ、結局2018年のシード権を失くし、今季は国内ツアー復帰。これを期に、本格的なスイング改造に取り組んでいました。

タイガーのスイングを参考にしてガルシアに!?

石川が参考にしたのがタイガー・ウッズでした。15年分のスイングの連続写真を入手して何度も見返しました。気が付いたのは、タイガーは肩を縦に動かしていること。石川の場合、フォローでクラブフェースが下を向くのですが、タイガーらトップゴルファーはフェースを直角に保ち、ローテーションさせていません。

「前傾姿勢を保ったまま肩を回し、肩を開かずにフェースを安定させるのが理想」(石川)。今季開幕戦の東建ホームメイトカップ前にたどりついた新スイングは、これまでのイメージとは違ったものでした。

その素振りは一見、セルヒオ・ガルシアと瓜二つにも見えます。ガルシアはトップでクラブを地面に対して平行に、まるで寝かせるようにします。インパクトで寝たクラブを立てる動きでフェースローテーションを行い、ヘッドを加速させボールを打ちます。

石川の場合、これまでクラブが寝ることでフェースコントロールができず、インパクトでフェースが開いたり、返ったりと、ボールが右へ左へと安定しない悩みがありました。
今回の改造は、タイガーのようなフェースコントロールをするために、敢えてガルシアのようにクラブを寝かせる、というものです。

悪癖を取り去るためにクラブを寝かせる

これまで石川はトップでクラブを寝かさないように、としながら、インパクトで手元が浮き、フェースが開いてしまう傾向がありました。今回の改造の特徴は、逆にトップであらかじめクラブを寝かせる状態にして、それを戻す動きをすることによって、インパクトでフェースを立てる再現性を高めています。

トップでクラブを寝かせると腕は車のハンドルを右に切るようにねじれます。その位置からダウンスイングを始めると、腕の筋肉は元の位置に戻ろうとねじれを解消する方向に動きます。そこで、インパクトではフェースが直角になるようクラブが下りてきます。この筋肉の動きは最近のスイング用語で「パッシブトルク」と呼びます。

石川は素振りの練習で、トップで腕がねじれてインパクトで戻る動きを繰り返すことで、高い再現性を目指しました。開幕前にはいいイメージになっていましたが、試合を続けることで、またフェースが安定しない悪い癖が出てきていたのです。

石川にとって復活のきっかけはいつ?

関西オープン最終日に「シンプルなスイング」と、ヒントをつかみ、全米オープン予選会は「36ホールが楽しかった」と復活のリズムを全身に刻み込んだかのような笑顔を見せた石川も、ミズノオープンでは再び暗い表情に見舞われました。

「疲れもある。リセットしたい」とまで口にした石川。プロアマではジュニア選手と交わりながら、彼らの真剣なプレーを見て改めて復活への思いを新たにしました。31日からの日本ツアー選手権森ビル杯(宍戸ヒルズカントリークラブ)で石川の復調が試されます。

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