全美貞、スイング改造で見事に復活!その美しいスイングに注目です
- 2016.12.28
- 女子ゴルフ
韓国出身のプロゴルファー全美貞(ジョン・ミジョン)選手が、日本で大活躍しています。日本ツアー24勝を挙げ、圧倒的な強さで、人気を集めています。
15歳から本格的にゴルフを始め、数々の成績を残して賞金女王にまで上りつめました。でも突然スコアボードから名前が消えてしまったことがありました。その理由や、ゴルフの経歴、夢や目標など、全美貞さんの事を調べてみました。
全美貞 ゴルフの経歴
全美貞さんは、元々はインライン・スケートの選手でした。ですが、父親の勧めで中学3年生(15歳)からゴルフを始めました。父親も一緒にゴルフを始めたそうです。ゴルフを始めて、すぐに頭角を現し、わずか4年でプロ転向を果たします。2001年に韓国LPGAに入り、賞金ランキング10位。その翌年には初優勝を成し遂げました。
当時の韓国では圧倒的な強さを見せ、隣国の日本で海外を経験してから、アメリカに行くのも悪くない・・・と、2004年の日本LPGA(女子プロゴルフ協会)のQTを受けたのです。見事に24位の成績を残し、2005年から日本ツアーに参戦しています。
※QT(クォリファイング・トーナメント)とは、日本プロゴルフツアーに参戦するために必要となる、出場ライセンスを獲得するためのトーナメントです。
そして年間獲得賞金ランキング12位で初シード権を獲得します。そして2006年「meijiチョコレートカップ」で初優勝。年間獲得賞金ランキング2位になり、以降は毎年賞金争いに名前が出てきています。
2007年には、日本女子ツアー史上初の3週連続優勝も果たしています。2012年には年間4勝して、念願の賞金女王に輝きました。2013年に「ヨコハマタイヤゴルフトーナメント PRGRレディスカップ」で優勝。ところが、この後は怪我に苦しみスランプに陥ってしまったのです。
怪我に苦しみ、メンタルの面でも苦しかった3年間でしたが、2016年見事に復活!全美貞さんは今季、31試合に出場して、2回優勝を果たしています。予選通過は25試合。
トップ10入りをしたのは10回で、そのうち8回トップ5に入っています。再び大活躍しています。
全金貞 クラブセッティング
2016年マスターズGCレディースで優勝した時のクラブセッティングをご紹介します。
ドライバー
テーラーメイドM2ドライバー(9.5度)
シャフト→グラファイトデザイン ツアーAD TP-5(硬さS、長さ45.5)
フェアウェイウッド
テーラーメイド M2 フェアウェイウッド(3番 15度)
ユーティリティー
キャロウェイゴルフ ビッグバーサ アルファ815ユーティリティー(18度 20度 23度)
アイアン
本間ゴルフ TOUR WORLD TW737V アイアン(6番~10番)
ウェッジ
タイトリスト ボーケイ TVD ウェッジ(50度、52度、56度)
パター
スコッティキャメロン GSS
ボール
スリクソン Z-STAR ボールプロトタイプ
※プロは頻繁にクラブ調整を行うため、実際の使用ギアとは異なる場合があります。
全美貞 スイング
全美貞さんの強さの一つは、正確なスイングです。高身長から繰り出される飛距離は、ドライバー平均260ヤード。
実際にスイングをご覧ください。こちらは、2016年のCAT Ladiesのプレーオフの様子です。
全美貞さんのスイングとイ・ボミさん、大江香織さんのスイングも比較してみてください。
全美貞さんとイ・ボミさんの韓国出身ゴルファーのパット対決となりますが、3打目でピンそばにつけたイボミプロがバーディパットを沈め、イボミプロの優勝となりました。
全美貞・水巻善典のゴルフスイングの真実~これがわかればうまくなる~
こちらはNHKで放送され、またDVDも発売されています。ハイビジョンスーパースローカメラをはじめとする最新鋭機器を駆使して、視覚的、科学的に全美貞さん、水巻善典さんの2人のゴルフスイングを解明しています。
インパクトを科学したり、クラブやボール、シャフトなどによるショットの弾道を解明したり、また研究室で運動力学の分析をしたり、ゴルフスイングを徹底的に解明した内容となっています。
全美貞さんは、外腹斜筋を使ったスイングで、下半身がとても安定しています。上体を捻りあげてスイングしています。バックスイング、ダウンスイングともにゆったりとしているのに、飛距離も出ています。
スイングの特徴がよくわかる動画となっています。体のブレがなく、スイングバランスがとてもいいので、アマチュアでも真似しやすいかもしれませんね。彼女のスイングを参考に練習してみてはいかがでしょう。安定したスイングが手に出来るかもしれません。
また全美貞さんは、2011年に「全美貞流 最強ナチュラルスウィング」(発行:ヨシモトブックス、発売:ワニブックス)というレッスン本も出版しています。日本で初めて韓国のゴルファーが出版したレッスン本です。
飛んで曲がらないスイングが、ナチュラルスイング!全美貞さんのような美しいスイングを手に入れることができたら、スコアも安定してくるかもしれません。
全美貞 夢に向かって
たくさんの試合を経験して、数々の成績を残し、賞金女王にまでなった全美貞さんですが、2013年のコハマタイヤゴルフトーナメント PRGRレディスカップで優勝をしてから、不調が続いてしまいます。
その理由は、右の手首の靭帯の損傷と右肩の痛みから、スイングを崩してしまい、スランプに陥ってしまったのです。酷い時はインパクトの時に、手首が割れるような痛み、激痛だったそうです。
「何度も引退を考えた」
「何をやってもうまくいかず、自信がどんどんなくなった。本当に辞めた方がいいなと考えた」
と全美貞さんも言っています。
昨年の後半からは、プロ野球やプロサッカーチームも担当する韓国の精神科医を頼り、アドバイスを受けるほど、その悩みは深刻なものでした。姉や、そして19歳の頃からコーチを務めている義兄キム・ジョンチルさんの励ましもあって、全美貞さんはゴルフをやめることはなく、クラブを振り続けたのです。
「私が一番うまくできるのは、ゴルフだけ。もっと努力しないといけない」
「まだまだできる!!」
決して諦めなかった彼女は、2016年の「サマンサタバサ ガールズコレクション」で3年ぶりの優勝を果たし、完全復活を見せてくれました。通算23勝目となる優勝です。この優勝は彼女の自信を取り戻す、きっかけとなったのかもしれません。
10月に開催された「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」で通算17アンダーでまわり、今季2勝目となる優勝を果たしました。通算24勝目となる優勝で、目標としていた永久シードも近づいてきました。
勝負を決めた17番のバーディーパットは、9mほどの軽いスライスラインで上って下ってという複雑なラインでした。
「まさか、まさかです。スタート前、風が強いからとにかくスコアを落とさないようにしようと思った程度。しかし、パッティングが1日を通して素晴らしく、それにつられてアイアンショットが良くなり、後半はずっといまひとつだった1Wまで思い通りになった」と、この大会を振り返りました。
プレーオフに備えて、パッティングの練習をしていた際に、
「一応練習はしていたけど、プレーオフはやりたくない。私は2位でいいから。優勝できて嬉しい。だけど、プレーオフを戦わないで終わったことでホッとしたのが一番。もし負けた時はずっと引きずるからです」
と、まさに無欲の勝利をつかみました。昨年、精神科まで頼った悩みは解消され、
「私以上に家族や応援してくれる人が喜んでくれた。私1人の喜びじゃないんだと思うと、本当に嬉しくなった」
これで2013年に他界した韓国女子プロゴルフの大先輩、具玉姫(ク・オッキ)さんが持つ、LPGAツアー韓国人選手最多優勝記録23勝を上回りました。彼女の長年の夢、そして目標は、日本ツアー30勝で永久シードでした。
「でも今はそんなことにはこだわらずにゴルフを長く、楽しくやりたい」
と嬉しそうな表情を浮かべコメントしました。
女子ツアーは、通算30勝を果たすと、生涯試合に出場可能な永久シードを獲得することができます。現在その資格を持っているのは、樋口久子さん(72勝)、岡本綾子さん(44勝)、涂阿玉さん(58勝)、大迫たつ子さん(45勝)、森口祐子さん(41勝)、不動裕理さん(50勝)の6人しかいません。永久シードにはこだわらず・・・とコメントした全美貞さんですが、その偉業が数年のうちに達成されるかもしれませんね。
一度は引退も決意した全美貞さん。怪我の痛みが出ることを怖がってスイングプレーンにも影響が出てしまったこともありました。
「クラブを振りたくない、試合に出るのが怖い・・・」
でも「サマンサタバサの優勝でわたしの人生は変わりました。今は楽しくできている」
一度は失ってしまいかけた自信を取り戻した全美貞さんは、ますます強くなって戻ってきのです。
全美貞 まとめ
全美貞さんの日本語は、とても流暢で、賞金女王になった時の会見では周囲も驚くほどでした。スクールにも通ってはいますが、宮崎駿さんの映画を観て独学で勉強したのだそうです。
「日本が大好きで、日本のファンに愛されたい」と言っています。日本の食べ物も大好きなのだそうです。一番好きな食べ物はお寿司。大トロや貝類も好んで食べます。
「みなさん親切で温かい。外国人の私を快く受け入れてくれる。日本の選手も韓国人とか関係なく友達になってくれる。それは本当に素晴らしいことだと思います」
元々はインラインスケートをやっていましたが、腰痛を理由に辞め、父から勧められたゴルフの道へと進みました。圧倒的な強さを見せ、スランプに陥ってしまったこともありましたが、底力を見せ、再びツアー優勝。
ゴルフにはメンタルが重要と言われます。ショットやパターなど、その日のコンディション、その日の気分、緊張感、そして性格までプレーに表れてしまうスポーツだと、ゴルフをやる人は感じていると思います。その中で勝ち続けることは、とても大変なことですよね。
全美貞さんは、周囲の気配りも決して忘れない、そして技術的にも、メンタル的にもとても強い、人気の女子プロゴルファーであることがわかりました。そろそろ結婚は?そんな噂も気になります。でも結婚については、いい相手がいたらするかもしれませんと言っています。
そうしたらゴルフはやめるか?
「たぶん私にとって素晴らしい人は、私のことを理解してサポートしてくれる人。だから、私がゴルフやめると考えることはない。そんな人が現れてくれることを願っています」
まだそういう良いお相手はいないようですね。
見事に復活を遂げた全美貞さん、これからの活躍に期待しています。夢に向かって、ますます頑張ってください。
全美貞さんに注目です!!
全美貞(Jeon Mi-Jeong)ジョン・ミジョン
プロフィール
生年月日:1982年11月1日(34歳)
身長:175cm
体重:68kg
血液型:A型
国籍:韓国
出身地:韓国・大田市
出身高校:儒城高等学校
プロテスト合格日:2006年
得意クラブ:ドライバー
好きな色:赤
趣味:映画鑑賞
所属:眞露
契約:クラブ テーラーメイド
ボール ダンロップ
ウェア デサント
シューズ アディダス
ホールインワン:2回
各賞受賞:’12メルセデス最優秀選手賞 獲得賞金第1位 平均ストローク第1位
平均パット数第1位 ’09平均パット数第1位 ’07LPGA敢闘賞 ’06LPGA新人賞
日本プロスポーツ新人賞
全美貞 ゴルフの成績
2016年
LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 6位タイ(-3)
NOBUTA GROUPマスターズGCレディース 優勝(-17)
マンシングウェアレディース東海クラッシック 2位(-18)
日本女子プロ選手権大会コニカミノルタ杯 6位タイ(+4)
ニトリレディスゴルフトーナメント 3位(-6)
CAT Ladies 2位タイ(-9)
NEC軽井沢72ゴルフトーナメント 5位タイ(-9)
センチュリー21レディスゴルフトーナメント 5位タイ(-5)
サマンサタバサ ガールズコレクション・レディーストーナメント 優勝(-10)
スタジオアリス女子オープン 4位タイ(-8)
2015年
大王製紙エリエールレディスオープン 9位タイ(-7)
NOBUTA GROUP マスターズGCレディース 10位タイ(-2)
日本女子オープンゴルフ選手権競技 6位タイ(+2)
ニトリレディスゴルフトーナメント 7位タイ(-1)
ほけんの窓口レディース 9位タイ(-1)
ヤマハレディースオープン葛城 5位タイ(0)
Tポイントレディスゴルフトーナメント 2位(-3)
ヨコハマタイヤゴルフトーナメント PRGRレディスカップ 5位タイ(-7)
2014年
アース・モンダミンカップ 3位(-15)
ほけんの窓口レディース 2位タイ(-5)
KKT杯バンテリンレディスオープン 9位タイ(-3)
スタジオアリス女子オープン 8位タイ(-2)
ヨコハマタイヤゴルフトーナメント PRGRレディスカップ 6位タイ(-4)
2013年
ニトリレディスゴルフトーナメント 4位タイ(-6)
日医工女子オープンゴルフトーナメント 5位タイ(-10)
アース・モンダミンカップ 2位(-13)
ヨネックスレディスゴルフトーナメント 10位タイ(-3)
中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン 2位(-7)
サイバーエージェント レディスゴルフトーナメント 2位タイ(-8)
Tポイントレディスゴルフトーナメント 3位(-12)
ヨコハマタイヤゴルフトーナメント PRGRレディスカップ 優勝(-9)
2012年
大王製紙エリエールレディスオープン 2位(-8)
樋口久子 森永製菓ウィダーレディス 優勝(-12)
マスターズGCレディース 9位タイ(-7)
ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント 8位タイ(-6)
マンシングウェアレディース東海クラッシック 4位(-9)
ニトリレディスゴルフトーナメント 2位(-12)
CAT Ladies 優勝(-13)
NEC軽井沢72ゴルフトーナメント 8位タイ(-7)
サマンサタバサ ガールズコレクション・レディーストーナメント 2位(-12)
スタンレーレディスゴルフトーナメント 5位タイ(-3)
日医工女子オープンゴルフトーナメント 優勝(-8)
サントリーレディスオープンゴルフトーナメント 3位タイ(-11)
リゾートトラストレディス 優勝(-14)
中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン 3位(-12)
フンドーキンレディース 3位タイ(-5)
ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 5位タイ(-6)
フジサンケイレディスクラッシック 2位(-8)
スタジオアリス女子オープン 5位タイ(0)
ヤマハレディースオープン葛城 6位タイ(0)
Tポイントレディスゴルフトーナメント 5位タイ(-4)
ヨコハマタイヤゴルフトーナメント PRGRレディスカップ 4位タイ(0)
ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント 5位タイ(-8)