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ヨーロピアン・ツアーの上品な遊び心に触れる~⑧火薬船を爆破して、要塞フォート・ジョージを守れ?!~

ヨーロピアン・ツアーの上品な遊び心に触れる第8弾は“火薬船を爆破して、要塞フォート・ジョージを守れ?!”です。

今回の会場に選ばれたのは、マレー湾に面した難攻不落の要塞“フォート・ジョージ”です。

場所はイギリスのスコットランド、当時の” The Barclays Scottish Open (現在はAberdeen Asset Management Scottish Openとスポンサーが変わりました)”が開催されたCastle Stuart Golf Links(キャッスル・スチュアート・ゴルフ・リンクス)のあるインヴァネス州にあります。

フォート・ジョージは現在も英国陸軍の兵舎として使用されている“現役の要塞”です。この要塞は“難攻不落”と言われてはいるものの、実は一度も実戦に対峙することはなく現在に至っているとのこと。

また、インヴァネス州のあるハイランド地方には“ネス湖”という幅2km、長さが約35kmもある非常に細長い淡水湖があります。

このネス湖にはご存知の方も多いと思いますが“ネッシー”と呼ばれる未確認動物が生息していると言われており、今も人気の観光スポットになっています。

スコットランド・オープンは全英オープンの前哨戦?!

本シリーズの“ハッピー・ギルモア・チャレンジ”の回でもご案内いたしましたが“スコットランド・オープン”は“全英オープン”の前哨戦として、とても重要なトーナメントとなります。

理由は全英オープンの前週に、スコットランドにて開催されるからで、多くのトップ・プロが“調整”も兼ねてこのトーナメントに参加します。実際、スコットランド・オープンで活躍した選手が、全英オープンでも活躍することが多いのです。

その説が一番分かりやすい形で証明されたのが2013年のフィル・ミケルソン選手でしょう。ミケルソン選手は同年のスコットランド・オープンで優勝を果し、勢いそのままに全英オープンも制しました。

そして、同年のスコットランド・オープンで2打差の3位タイ、同じく全英オープンでは3打差の2位とミケルソン選手に肉薄した選手がいました。

そうです!その人物こそ、2016年にミケルソン選手をおさえて全英オープンを制したヘンリック・ステンソン選手だったのです!

2013年はスコットランド・オープン、全英オープンともミケルソン選手に惜敗してしまいましが、ステンソン選手も本当に素晴らしいプレーでファンを魅了してくれました。

ちなみに2016年スコットランド・オープンでのステンソン選手の成績はというと、首位と5打差の13位タイでした。しかし、この成績は初日を4オーバーと大きく出遅れてしまってから、2日目以降を巻き返しての13位だったのです。

つまり、初日の不調を2日目以降でしっかりと調整をして全英オープンに繋げたのですね。そういった意味でも、スコットランド・オープンは全英オープンの前哨戦としてとても重要な大会と言われていることも納得です。

さらに2016年のスコットランド・オープンでは、もう一つ興味深い出来事がありました。それは、同大会でステンソン選手とまったく同じ“初日を4オーバー、最終的に首位と5打差の13位タイ”という成績を残していた選手がもう一人いたということです。

その選手とは、同年全英オープンで17アンダーをマークしながら“史上最強の敗者”となったミケルソン選手だったのです!ミケルソン選手もステンソン選手同様、スコットランド・オープンで十分な調整をして全英オープンを迎えていたのですね。

なんとも不思議なめぐり合わせではありませんか。2013年と2016年で3年のブランクがありますが、こういう人たちのことを好敵手(ライバル)と呼ぶのでしょうか。まるで、ヨーロッパ対アメリカの小さな“ライダー・カップ”を見ているような気分になりました。

これからは“全英オープン”だけではなく、前哨戦の“スコットランド・オープン”にも注目してみてください!

火薬船を爆破して、要塞フォート・ジョージを守れ?!

それでは、今回のヨーロピアン・ツアーの面白企画“火薬船を爆破して、要塞フォート・ジョージを守れ?!”に話を移してまいります!

暗雲立ち込めるマレー湾。岸壁に程近いところに怪しい船が停泊しています。そして、よく見ると船の上には火薬を乗せた大きな樽が乗っているではありませんか!

不安そうにその船を見つめているのは、スコットランドの伝統衣装“キルト”を身にまとった英国陸軍のシーモア・モンロー少将です。そして、おもむろにヨーロピアン・ツアーのトップ・プロのメンバーに任務を依頼します。

「火薬を積んだ敵艦がフォート・ジョージ要塞を狙っています。この要塞はいままで一度も攻撃を受けたことがありません。みなさんにはあの敵艦を沈めて、この要塞を守っていただきたいのです!」

本物の陸軍少将からの、とんでもないムチャ振りをされたのがこちらの4人!いずれもヨーロピアン・ツアーでも指折りのショットの精度を誇る、トップ・プロ達です。

チャレンジャーNo1.
Gregory BOURDY/グレゴリー・ボーディ選手

国籍:フランス。ツアー4勝。“ワールド・カップ”に3度出場しているフランスを代表する実力派ゴルファー。

リオ五輪では好調なスタートを切って、金メダル候補に名乗りを上げました。しかし、後半に失速してしまい、3アンダーで池田勇太選手と並んで21位タイという成績となりました。

チャレンジャーNo2.
Stephen GALLACHER/スティーブン・ギャラハー選手

国籍:スコットランド。ツアー3勝。彼はバーナード・ギャラハー選手(ライダー・カップで欧州代表のキャプテンを務めたこともある名選手)の甥にあたります。

前回“オール・スポーツ・チャレンジ”でご紹介した“オメガ・ドバイ・デザート・クラッシック”を2013年、2014年と連覇している実力の持ち主。

チャレンジャーNo.3.
Jeev MILKHA SHINGH/ジーブ・ミルカ・シン選手

国籍:インド。ツアー13勝(アジアン・ツアー6勝、ヨーロピアン・ツアー3勝、日本ツアー4勝)。日本では「J.M.シン」という標記の方が馴染みがあるかもしれませんね。2007年にはインド人として初めてマスターズにも出場を果たしています。

また、ジーブ・ミルカ・シン選手のお父さんは、インドの国民的英雄でインド陸上会でのレジェンドとなっています。お父さんの名前はミルカ・シン(ジーブは入りません)です。

“ヨーロピアン・ツアーの上品な遊び心”からは少し話しがそれてしまいますが、スポーツ界で知っておきたい知識の一つなので、ここでジーブのお父さん、ミルカ・シンについて少しだけ触れておきます。

インド出身のミルカは1958年の東京で行なわれた陸上アジア大会で200mと400m走で金メダルを獲得。そして、その翌翌年の1960年。メダルを期待されたローマ・オリンピックの400m走の決勝で、トップを独走していたにもかかわらずゴールの手前で後ろを振り返るという失態を演じ4位となりメダルを逃してしました。

この時ミルカが“なぜ”後ろを振り返ってしまったのか?そこには、過去の悲しい出来事が関係していました…。

この伝説的アスリートのエピソードは「ミルカ(邦題)」という題名で映画化されており、深い感動を与えてくれる名作となっています。素晴らしい映画なので、機会があったら是非ご覧下さい。

ゴルフ・ファンにとっては「ジーブ・ミルカ・シン選手のお父さんって、映画になるほど凄い人だったんだ!」となりますが、ゴルフに詳しくない映画ファンにとっては「ミルカ・シンの息子って有名なゴルファーなんだって!」となるのだそうです。

余談ですが、東京のアジア大会のシーンではタレントの武井壮さんが日本人選手の役で出演されています。

チャレンジャーNo4.
Pablo LARRAZABAL/パブロ・ララサバル選手

国籍:スペイン。ツアー3勝。“最速ホール・アウト・チャレンジ”でスペイン代表としてガルシア選手のチームメイトを務めた選手が再び登場です!

安定したプレー・スタイルが身上の技巧派。2015年のBMWインターナショナル・オープンでは、ヘンリック・ステンソン選手をおさえて逆転優勝!ヨーロピアン・ツアー3勝目を挙げています!

さて、今回も個性派&実力派のヨーロピアン・ツアーのトップ・プロが揃いました!

果して彼らは、モンロー少将から言い渡された任務を遂行し、敵艦をマレー湾に沈める事ができるのでしょうか?!

(完)

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