インサイドアウトのゴルフスイングでスライスは克服できるのか?
日本人のアベレージゴルファーのほとんどは、スライサーであると言われています。スライスボールを打ってしまう原因は多くあり、その中でもアウトサイドイン軌道のスイングが大きな原因の一つだとされています。
さらに、それ以外の複数の原因が組み合わさってしまい、どれだけボールを打ってもスライスしてしまうという現象になってしまうようです。
何を打ってもどスライスしてしまうような重症レベルのスライサーは、何とかしてスライスを直そうと矯正を試みます。しかしスライスを打つゴルファーは、定期的に大きなスライスボールが出てしまうという方が多いと思います。
そんな方々は打つ方向を左にしたりして、そこそこスコアが整ってしまうのです。その為、無理に直そうとしてスコアが崩れるのを嫌い、「まあこれでいいか」とそのままにしてしまっている人も多いのではないでしょうか?
確かに、それでも100を切れたりしてしまうのですが、将来的に90を切り、80切りをしてシングル入りを目指したいのであれば、今多少スコアを崩してもスイングを改善すべきだと思います。
そこで、今回は多くのスライサーのスイングタイプである“アウトサイドイン軌道”を矯正し、インサイドアウトのスイングを覚えることでスライスを直すことが出来るのか、ということについて考えてみたいと思います。
目次
各スイング軌道の特徴を知ろう
ゴルフのスイング軌道は、3つあると言われています。
1.インサイドイン軌道
インサイドイン軌道とは、インパクトに向けてダウンスイングで、クラブが飛球線方向よりも内側から入ってきてボールにインパクトをして、インパクト後のフォロースルーにおいて、“飛球線上の内側に入っていくスイング”を言います。
このスイングでスクエアにインパクトを迎えることが出来ればストレートボールが出るので、多くのゴルファーはこのスイングを理想として練習を続けていると思います。
2.アウトサイドイン軌道
アウトサイドイン軌道とは、ダウンスイングにおいて飛球線上の大きく外側からクラブが下りてきて、インパクトを迎えた後のフォロースルーは飛球線上の内側へ抜けていく、“外から内に抜けていくスイング”のことを言います。
一般的に、スライスに悩むアマチュアゴルファーに多いスイング軌道であり、このスイング軌道ではボールに右回転の力が加わるので、スライス軌道のボールになってしまいます。
3.インサイドアウト軌道
インサイドアウト軌道はダウンスイング時に飛球線の内側からクラブヘッドが下りてきて、インパクト後のフォロースルーでは飛球線上の外側に抜けていく、“内から外のスイング軌道”を言います。
インサイドアウト軌道ではボールをしっかり捕まえてインパクトを迎えることができ、ボールには左回転の力が加わるので、ボールはフック軌道のボールになります。ただし、あまりにもボールを捕まえすぎたり、ダウンスイングが内側に入りすぎたりすると、強烈なフックやチーピンといったミスショットにつながることがあります。
自分のスイング軌道の確認方法
このように、アウトサイドイン軌道はスライスの原因の一つであることがわかります。これを修正すればスライスを直すことが出来る可能性がありますが、そもそも自分のスイング軌道を皆さんは知っていますか?
次は、自身のスイング軌道を知る方法やアウトサイドイン軌道の要因についてご紹介します。
1.ゴルフ練習場やゴルフショップのスイング診断機を使用する
現状、自身のスイング軌道を確認する方法としては、マシーンを使ってチェックする方法が一番確実で正確な診断方法です。ヘッドスピード等もチェック出来るので、どうせなら一度チェックしてもらうことをオススメします。
2.カメラで録画したり、友人にチェックしてもらう
この方法は簡単ではありますが、様々な方向からチェックする必要がありますし、人間の目なので、見る人の力量によっても大きく差が出てしまいます。
3.練習場の人工芝のマットの上でスイングをし、その跡をチェックする
練習場で素振りやスイングをしていると、人工芝マットにスイングの跡がついていたり、クラブのソールに緑色の人工芝がこすりついていると思います。その跡がどのような軌跡を描いているかによって、スイング軌道をチェックすることが出来ます。
また、自宅に庭がある場合は庭先で素振りをすると土が削れるので、練習場同様にスイング軌道を確認することが出来るでしょう。
この方法は、ラウンド中にターフの向きで確認できたりもします。(ただし、軌道確認の為に、わざわざターフを取る打ち方をしないようにしましょう)
スライサーに多いアウトサイドイン軌道の要因と解決策
いかがでしたか?上記の方法で確認すると、多くのスライサーはアウトサイドイン軌道になっていたと思います。
それでは、このアウトサイドイン軌道とはどのような要因で起こってしまうのでしょうか?また、その解決方法について説明したいと思います。
1.アウトサイドイン軌道になってしまう要因
このアウトサイドイン軌道になってしまう要因としては、多くの場合、次の要因が挙げられます。
・テークバックでインサイドに引きすぎてしまう
・手打ちになってしまっている
これらを直すことが出来れば、かなりの確率でアウトサイドイン軌道は修正することが出来ると言われています。
2.アウトサイドイン軌道を直す為にインサイドアウト軌道を覚える
そして、それらの要因を修正する為には、アウトサイドイン軌道と正反対のインサイドアウト軌道を覚えることで解消する可能性が高くなります。
最終的な目標としてはインサイドインを覚えることが一番の理想ではありますが、“インサイドイン軌道はツアープロでも完全にマスターしている人はいないかもしれない”と言われるほど、安定して打つのは難しいとされています。
ですから、最初はインサイドアウト軌道を覚えましょう。そうすることで、これまでのスライスボールからフックボールやドローボールに改善される可能性もでてきます。
さらに、どのようなスイングをすればインサイドアウト、アウトサイドイン軌道になるのかが理解できるようになり、球筋の改善だけでなく、後々の打ち分けにも通じてきますので、是非インサイドアウト軌道を覚えましょう!
3.ドローボールは飛距離アップの近道
また、アウトサイドイン軌道によるスライスに比べ、インサイドアウト軌道によるドローボールを打つことが出来れば、飛距離も伸びる傾向があります。
ボールが捕まりやすくなることももちろんなのですが、ドローボールを打てるようになるとフェースのトゥ側のギア効果が得やすくなるので、スピンが減ることにより飛距離が伸びやすくなります。
その為、大きな差が出てしまう人では、ドライバーで40ヤードほどの違いが出てきてしまいます。ですから、多くのスライサーはドローボールを打てるようになるとその飛距離に驚いてしまう事が多いそうです。
これはあなたの力が急に増したのではなく、これまでアウトサイドイン軌道のスライスボールにより失われていた飛距離なので、その人本来の力であると言えるでしょう。だからドローボールを覚えることで、飛距離アップを実現することも可能となるのです。
インサイドアウト軌道の練習法
それでは、具体的にインサイドアウト軌道を身につける為の練習方法をいくつかご紹介したいと思います。それほど難しい方法ではないので、練習場で試してもらえると嬉しいです。
1.テークバックでアウトサイドに引く
多くのアウトサイドインのスライサーが、インサイドアウトに矯正しようとするとテークバックをインに引きすぎてしまう傾向にあります。極端にインサイドに上げてしまうと、トップの位置ではかなりインの位置に流れてしまい、トップの高さもかなり低くなってしまいます。
そうなってしまうとダウンスイングの際にクラブヘッドがアウトに流れてしまい、せっかくインに引いていったのにもかかわらず、ダウンスイングの時にはアウトからダウンスイングをしてしまうことになります。
それを防ぐ為にも、テークバックの際は30cmほどまっすぐヘッドを引き、少しアウト寄りにトップにもっていきましょう。そうすることでダウンスイングの際にインに落ちていく空間ができるのです。
スイングを飛球線方向後ろから見た時に、クラブヘッドはアウトに上がり、インに落ちていくので、クラブヘッドの動きは逆時計回りのような動きをします。
2.ダウンスイングでクラブヘッドを落とすイメージ
この練習方法は、昔よく指導されていた練習方法です。どうしても目標のボールを打とうと意識してダウンスイングに入ってしまうと、クラブヘッドをボールに叩きつけようとする意識で力が入ってしまいます。
そうすると、そのまま体が先に回ってしまうことになり、クラブが外に振られて外からの軌道でクラブヘッドが落ちてきてしまい、アウトサイドインの軌道になってしまいます。
そこで、ダウンスイングの指導でボールを打ちにいこうとするのではなく、手でクラブをそのまま真下に落とすつもりでスイングをすると、インサイドアウト軌道でクラブが落ちやすくなってきます。
3.ダウンスイングの始動は左足の踏み込みから
アウトサイドイン軌道になっているスライサーの多くは、手打ちになってしまっていることが多いです。トップから手でダウンスイングを始動してしまうことにより肩が開き、クラブヘッドが外から内のアウトサイドイン軌道になります。
それを防ぐ為にも、ダウンスイングは意識して左足をグッと踏み込むように始動しましょう。そうすると、その後の腰の回転につなげやすくなり、ヘッドが先行してしまうような手打ちを抑え、体を利用したスイングが出来るようになります。
また、先ほどのクラブヘッドをまっすぐ右足横に落とすという動作が行いやすくなります。この二つの動作は関連性がありますので、もし先ほどの2番目のクラブを落とす感覚をつかみにくい時は、先にこちらをマスターするといいかもしれませんね。
左の踏み込みから始動すると、その時トップに上げている手とクラブは、ストンとそのまま右足横に落ちてきやすくなるからです。
スライスになってしまう軌道以外の要因
先ほどの練習方法でスライスボールからドローボールに球筋が変わった人も多いと思いますが、それでもスライスになってしまう人は、その他の要因が影響していると思いますので、そちらのチェックをするようにしましょう。
1.アドレスについて
スライスを打ってしまう人の心理としては、アドレスをとる時に左を向いてしまう人が多いです。最初から左に打てばスライスするので、ちょうどフェアウェイの真ん中に行くだろうと考える為です。
しかし、ドローボールを打つ時は左に向く必要がないのですが、この時に無意識に両足が左寄りを向いてしまう事が多いです。その上で肩のラインを飛球線上にまっすぐにしてスイングしてしまうので、“スライスを打つ為のオープンスタンス”が出来上がってしまうことになります。
このようなスタンスでは、どれだけアウトサイドインスイングを直そうと思っても、直すことが非常に困難になってしまいます。
2.グリップを見直す
これも意外に見落としがちになっているのですが、グリップがウィークグリップになっていないかを再確認しましょう。ストロンググリップで握っているつもりでも、ふとした時にウィークグリップになってしまっていることがありますので、打つ時は必ず注意するようにしましょう。
一度直してもすぐに元に戻ってしまう方は練習器具を試してみても良いのかもしれません。
ダイヤゴルフ社の「ダイヤラッピンググリップ」は特におすすめです。手軽に持ち運べて、練習時にグリップに装着するだけであなたのグリップを最適な位置に導いてくれます。
3.ボールの位置を見直す
ボールの位置というものは、ボールの弾道に大きな影響を与えます。それは、プロのショットをよく見るとわかります。
フェードを持ち球としているプロは、ドライバーを打つ時は左足かかとのライン上か、さらに左にボールを置いています。しかしドローを持ち球としているプロは、左足かかとのライン上よりも右寄りに置いているプロが多いです。
我々アマチュアは、どうしても右に飛ばしたくないという思いから左寄りにボールを置きたくなるのですが、そうしてしまうとスライスが出てしまう事が多いようです。その為、最初は怖いかもしれませんが、ボール1個分右に置いて打ってみましょう。
ドローボール習得がゴールではない
ここまで、スライスを修正する為にドローボールの打ち方について説明してきましたが、果たしてドローボールは上達の為の最終的なゴールなのでしょうか?
1.ドローボールのメリットとデメリット
先ほどから話していると、ドローボールは素晴らしい球筋であるようなイメージを抱いてしまいますが、果たしてそうなのでしょうか?
ここで、改めてドローボールのメリットとデメリットを挙げてみたいと思います。
<メリット>
・飛距離が伸びる
・左障害物や左ドッグレッグに対応できる
<デメリット>
・必要以上にランが出るので、グリーンオーバーすることがある
・右障害物や右ドッグレックに対応しきれない
特に問題視するべきところは、必要以上にランが出てしまう事です。飛距離を稼ぎたいドライバーはともかくとして、ピンポイントを狙っていくアイアンなどでは、せっかくグリーンをとらえてもオーバーしてしまう事が少なくありません。
また、ランの量も予想が難しいので、アイアンについてはドローボールの特性が逆に不利な状況となってしまいます。
2.フェードボールが有利なことも多い
その為、このような状況ではフェードボールが非常に有効になってきます。フェードボールはドローボールに比べランが少なくなる傾向にあるので、ピンポイントを狙いやすくなります。
また、ドライバーにおいても、ランをあまり出したくない状況というのは必ずどこかの場面で出てきますので、ドローボールを覚えることが最終ゴールであると思ってしまうと、思わぬところで痛い目にあってしまうのでご注意ください。
3.どちらも打てるようになることが大事。
ですから、普段の練習においてはドローやフェード、どちらについても打ち方を理解して練習しておくことが大事だと思います。
綺麗なドローやフェードだけでなく、どスライスやどフックの様な極端なボールを打てるようにしておけばトラブルショットにも対応できますし、自分の狙い通りの球を打てるようになると非常にゴルフが楽しくなりますので、是非打ち分けられるようになってほしいです!
また、打ち分けられるようになったうえで、自分はどちらの球筋を打つ方が自然にスイング出来るのかを考えることで「持ち球」という考え方が出てくるのです。
ただ単に何も考えずにスイングして、右に曲がったり左に曲がったりする事も持ち球というのかもしれませんが、打ち分けられたうえで「持ち球」と言えた方が格好いいですよね。
まとめ
このように、インサイドアウト軌道のスイングを習得することで打つことが出来るドローボールはベストショットとは言えないものの、現状スライスに悩まされている人にとってはグッドショットと言えるでしょう。
また、すぐにインサイドアウト軌道のスイングを覚えることが出来ずにドローボールが打てなかったとしても、きっとスライスは軽減されていくと思いますので、少しずつでもゴルフがさらに楽しくなってくると思いますよ。