抜群の安定感を誇る池田勇太のスイングを解析!そろそろ賞金王タイトルに手が届きそうです。
池田の安定感は、そのスイングにあります。プロ入りして2年目の2009年に、石川遼と最後まで賞金王を争って注目されました。その後も上位をキープし、2015年はRIZAP KBCオーガスタゴルフトーナメントの1勝のみでしたが、賞金ランキング3位と安定した成績を残しています。
いよいよ念願の賞金王に向けて2016年を迎えましたが、その池田の特徴は「ゆりかご打法」とも呼ばれているスイングにあります。
スポーツで「ゆりかご」というと、よくサッカー選手がゴールを決めた後に、ゴール後方で両手の中で赤ちゃんをあやすように左右にブラブラさせる「ゆりかごパフォーマンス」があります。 でも、ゴルフに「ゆりかごパフォーマンス」って???
では早速、池田選手のスイングを紹介しましょう。
池田勇太のスイングの特徴
一つの特徴として、クラブヘッドが描くループが、グリップのループよりはるかに大きいことがあります。一般的なプロのスイングは、テイクバックでクラブシャフトがコンパクトに頭上へと向かう軌道を描き、グリップのループ軌道はそのやや内側となります。
アドレスは前傾が深く、ゆったりしています。そこからの池田のスイングを動画、写真で正面から見ると、テイクバックでシャフトが立ち気味に引かれていきます。
スローで見ると、左右のグリップとクラブが縦一直線にそろう瞬間があります。そのため、クラブヘッドの軌道がグリップから離れた高い軌道を描くのです。このヘッドが描くスイングアークは、日本男子プロでも最大と言われています。
クラブヘッドを運ぶ大きなスライド動作
この大きなアークは、高い位置からヘッドが加速して降りてくるスピードを生みます。そのため、テークバックの始動は腰を右側へ移動させる大きなスライド動作です。
そうしてできた高いトップからの切り返しも、スライド動作を大きくしてクラブヘッドをスイングプレーン上に乗せます。小さいターンからヘッドを加速させ、インパクトでの強烈なパワーでボールを捕えます。
このテイクバックと切り返しで特徴のあるスライド動作が、まるで右から左へあかちゃんをあやす「ゆりかご」のような動作になります。
さらに、バックスイングでは左足かかとをヒールアップして切り返しのタイミングを計っています。インパクトで体は開かず、フォローでは両手が上に伸びて自然に身体も伸びる無理のないフィニッシュとなっています。
自分のスイングへの自信
これが池田のスイングですが、かつてインタビューで面白いコメントを残しています。ライバルの石川遼がスイングで試行錯誤をすることをどう思うか、と聞かれた池田が答えています。
「オレは毎日、スイングが違う。細かくああしよう、こうしようと考えることはない。練習場と一打ごとに状況が変わるコースのスイングを同じようには考えられない。理想のスイングを追求するより、あらゆる状況に対応できる力を高めたい」
練習でのスイングをそのままコース上でも、と話す石川の性格とは反対の考えですが、決して池田が石川のやり方を否定しているわけではありません。
「理想はそれぞれ。自分は常に自分の感覚を大事にしている」
このコメントは裏返せば、自分の基本のスイングに自信を持っているということではないでしょうか。
インタビューなどで、ぶっきらぼうな受け答えをする池田には「オレ流」との評判もありますが、選手会長を3年続けて変わりました。親分的な雰囲気と自分を貫く姿勢に、かえって人気も出てきました。
ゴルフクラブも、2015年に一新しています。2014年までブリヂストンのツアーステージを中心にセッティングしていました。新型のJ15シリーズのアイアン、フェアウェイウッド、ユーティリティに、ドライバーはJ815を採用しています。
ギアにもこだわりがある池田、J815は「打感がよく、高弾道で飛距離が出る」と気に入っています。高弾道派のゴルファーにはおすすめの情報ですね。
松山英樹が海外で活躍し、若手の小平智、片岡大育、今平周吾あたりが台頭してきた男子プロゴルフ界。また、2015年はイ・ボミを中心に女子ツアーが人気でした。
2016シーズンは、池田の賞金王獲りに注目です。