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恐怖のホールインワン。お祝いに縛られる日本のゴルフ事情

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パー3のホールを第一打でカップインする“ホールインワン”。ゴルファーなら、誰もが一度は夢見る光景ではないでしょうか?

ホールインワンの出る確率は、そのデータベースによって異なりますので一概には言えませんが、大まかにいうと、アマチュアゴルファーにとっては“数万分の1”という、とんでもなく確率の低い出来事なのです。

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何十年プレーをしていても、なかなか達成できないのは当たり前。それなのに一人で複数回達成する強者もいます。自分も一度でいいから、スコアカードに“1”と書き入れてみたいものですよね。

しかし、本来は憧れであるはずのホールインワンを素直に喜べない場合があります。なぜかホールインワンした瞬間に青ざめるプレーヤーが、少なからず存在するのです。

その理由は、日本独特の『お祝い』の慣習。

ホールインワン達成をしたプレーヤー本人が、同伴者や仲間、さらにコンペの場合はそのコンペ参加者に対してお祝いを振る舞うというのが、長年の習わしなのです。祝賀パーティーを開催したり、記念品を作ったり、コースに記念植樹をしたりなど、突然結婚式のようなイベントを企画する必要があるのです。キャディへのご祝儀もありますね。

その額は何十万円になってしまうケースも…。

そんな風習が、ホールインワンというミラクルプレーを手放しで喜べない原因となっています。今回は、このような独特な文化を持つ日本のホールインワン事情について考えてみましょう。

なぜお祝いを自分でするの?

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ホールインワンを達成した場合に自らの祝賀会を開催したり、記念品を配ったりする慣習は、他の国ではあまり見られません。せいぜいホールインワン話を肴に乾杯が行われる程度です。ただし、主にアジア諸国で、日本人の影響を受けたと思われるイベントやプレゼントはあるようです。

しかしながら、全体的に日本ほどホールインワンに対して「特別な出来事・生涯に一度の奇跡」というイメージはありません。この点がまず異なります。

日本でのゴルフと言えば、金持ちの道楽のイメージがありました。ですから太っ腹なゴルファー達には、ホールインワンという嬉しい出来事をお裾分けするような感覚があったのでしょう。

また一説には、滅多に起きないような事態が発生したことで、それ以上の不測の事態が発生しないようにとの願いを込めた厄除け的考えがあったとも言われています。

どちらにせよ、ホールインワンに対して特別な意識を持っているからこそ「何かをしなければ」という思いに駆られるとともに、ホールインワンという凄いプレーを、他の人に知らせて自慢したいけれども“タダ”では申し訳ないという日本人的謙虚さが反映しているのではないでしょうか?

自分のプレーに対して自分でお祝いをするという、なんだか恥ずかしいような行為ですが、日本のゴルフでは、それが当然の計らいだったのです。

頼みのホールインワン保険

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ほどなくして「ホールインワンが出ると、突然の出費がかさむ」という点に目を付けた保険会社による「ホールインワン保険」が誕生します。たいていの場合は、ホールインワンが証明できる第3者の証言(キャディさん等)があれば、ホールインワンにかかる費用が補償されるというものです。

ホールインワン達成の際の補償内容

①キャディさんへの祝儀費用
②同伴者・友人等を招いた祝賀会の費用
③贈呈用記念品の作成費用
④ゴルフ場に対するホールインワン記念植樹費用

これはホールインワン(またはアルバトロス)単独の保険というより、「ゴルファー保険」というゴルフ場内の様々な不測の事態に対処する保険の一項目になっている場合が多く、契約内容は保険会社によって多少異なります。しかし、その保険料は月々数百円程度のものが多いので、ある程度頻繁にプレーされるのであれば、加入しているという方も多いのではないでしょうか?

ですから、特にホールインワンだけを意識することなくゴルファー保険に加入していて、いざホールインワンを達成した時に役立つというケースが、多く発生するパターンでしょう。

実際、ゴルファー保険の中で最も良く利用されるのは、クラブの破損の補償です。木や地面の石などと衝突して、クラブが折れたり破損してしまったりした場合に、その修理費用を負担してくれるものです。

また、ゴルフ場内の事故による負傷に対しても保険は有効です、特に他人を巻き込むケースは高額になる場合もありますので、加入していると安心ですね。

このように、コースで起こる様々な予期せぬ出費に対応してくれる補償内容のひとつとして、ホールインワン保険は存在するのです。

日本独自のホールインワンに関連する出費の慣習が根強く残っているからこそ、ホールインワン保険が活躍するのですが、逆にホールインワン保険があるからこそ、いつまでもホールインワンに関連する出費の慣習が無くならないといえるのかもしれません。

セルフプレーの影響

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最近はセルフプレーが主流となり、キャディが帯同しないので、ホールインワンの証明は以前に比べて難しくなりました。そうしたセルフプレーの場合の補償の条件として、コース管理スタッフの目撃や、仲間ではないゴルフプレーヤーの証言があれば認められますが、なかなかクリアできる条件ではありません。

ホールインワンの証明は、条件を緩めると悪用する不届きなゴルファーもいるので簡単には変えられませんが、中には本当にホールインワンしても証明が出来ず、保険を巡ってトラブルが起こるケースも発生しています。せっかくのご祝儀保険ではありますが、ゴルフ場の現状と相違が生じてきているのが残念ですね。

また、ゴルフのライトユーザーは、そもそもゴルファー保険に加入していないことも多く、ホールインワンを達成しても補償は受けられません。気心知れた仲間内だけなら良いですが、コンペなどで達成してしまうと、自分では止められない方向に話が進んでしまうこともあり得ます。

プレーする当日に限定して保険が掛けられるタイプもありますので、破損や負傷の心配も含めて、入っておくほうが安心かもしれませんね。

ホールインワンの記念品と言えば?

PGA Merchandise Show

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さて、そんなホールインワン狂想曲ですが、代表的なホールインワン記念の贈呈品といえば、何でしょうか?

一般的には、プレーヤーの名前、達成年月日、ゴルフ場名が印刷されたボールやタオル、グリーンフォークなど「ゴルフ場で使用できるものを」という達成者の気持ちが込められたものが多いようです。

ただし最近は、プレーヤーの名前が書いてある商品を使うのは抵抗がある方も多く、使いづらいという意見もあり、お菓子やお酒などの消耗品やプリペイドカードなどの実用品に人気がシフトしています。

なんだか、ホールインワンをしたのに気を遣ってばかりなのは、気の毒ですよね。本来の“ホールインワンをみんなで一緒に喜ぶ”という趣旨に外れてしまっている感があります。

それなのに慣習から「しないわけにもいかず」、記念品をお渡ししなければカッコが付きません。ホールインワンを達成すると、悩みが尽きないのです。

近年の傾向

こうしたセルフプレーや、保険未加入者のゴルファーも多くなってきている影響もあって、最近はホールインワン祝儀を控えめにする傾向にあります。「ホールインワンをしたことを黙っている」というゴルファーもいるくらいです。

ゴルファーの負担になるようなお祝いは、少しずつ規模が縮小されつつあるのです。

その一方で、ホールインワンを達成した際に、プレーヤー本人が自分自身の思い出として、名前や達成年月日、ゴルフ場名が刻印されたプレートやボールスタンドを作成するケースは、相変わらず一定の需要を誇ります。

やはりホールインワンはゴルファーの憧れであり、特別な出来事なのです。今後は自分のゴルファーとしての記念を残しつつ、ひっそりと内輪で楽しむことがメインになってくるのではないでしょうか。

おわりに

European Solheim Cup Captain Nilsmark Visits Crooked Stick GC

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筆者はキャディ時代に、3回のホールインワン場面に遭遇しました。そのうちのお二人は若く、ゴルファー保険も未加入でした。

おひとりは、ホールインワン達成後の暗黙の了解をご存知ないようでしたのでポカンとしていましたが、単純に嬉しそうでした。

それに対し、別のケースのプレーヤーの方は保険に未加入なことを思い出し、これからのことを考えて気分が盛り上がらないようでした。また、プレー終了後に「ホールインワン証明書」をゴルフ場から発行するのですが、「ホールインワン保険にも加入していないので、意味がありません」といってうつむいていたのです。

しかし、「これは、あなたがホールインワンを達成したという凄い出来事をゴルフ場が正式に証明するものですから、ぜひお持ちになってください。」と申し上げると、少し嬉しそうにされました。

このように、ホールインワンがプレーヤーの憂鬱になっては本末転倒ですね。本来の趣旨はその喜びをお裾分けし、分かち合うものです。そのための祝賀会でなくてはならないはずです。

宝くじよりは当たる確率の高い“ホールインワン”。あなたは素直に喜べる準備がありますか?

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