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See Every Shot Imaginable~ヨーロピアン・ツアー~

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以前“ヨーロピアン・ツアーの上品な遊び心に触れる”シリーズの“200ヤード水切りゴング・ショット!”の回で、ポール・マッギンリー選手がつぶやきました。

「PGAツアーは“These guys are good(彼らはスゴイ!)”だけど、ヨーロピアン・ツアーは“These guys are clapped(奴らはオンボロだ)”だな!」

“These guys are good”はPGAツアーの力強いキャッチコピーでしたね。実は、ヨーロピアン・ツアーにも素適なキャッチ・コピーがあるのです。それが“See Every Shot Imaginable”です。

直訳すると“想像できる全てのショットを見ろ”となりますが、ニュアンスとしては“あなたが想像できる全てのショットがここにあります”といった感じでしょうか。“ここ”とは、もちろんヨーロピアン・ツアーです。

2005 Smurfit European Open Final Round

Licensed by gettyimages R

こんな素敵なコピーを使うのですから、どれだけスゴイショットを見せてくれるのかと期待しているそこのあなた!ハードルの上げ過ぎは禁物ですよ。相手はユーモアが得意な我らがヨーロピアン・ツアーです!彼等が上品な遊び心を忘れるわけがありません!

ここではヨーロピアン・ツアーが“See Every Shot Imaginable”のコピーと共に紹介しているショットをいくつかピックアップしてみました。

中には素晴らしいショットもありますが、あなたの期待を裏切ってくれるユニークなものもセレクトされています。もちろん良い意味で。

ラッキーなミス・ショット?!

現在は“ポルシェ・ヨーロピアン・オープン”となっている、2005年のヨーロピアン・オープン。フェアウェイからダレン・クラーク選手がグリーンを狙います。

打った、直後にガッカリしてしまう程のミス・ショット。ボールはグリーン左の池にポチャリ!と思いきや!

なんと、池の淵に並べられたごつごつした岩に当たり、コンコンと跳ねたボールは池に入らずに“ひょっこり”とグリーンに戻ってきました。こんなショットもあるんですね!

もっとも幸運なホールインワン!

この事件は2002年のアルフレッド・ダンヒル・チャンピオンシップで起こりました。スポンサーの一社、アウディが提供しているラグジュアリー・カーが商品となっている“ホールインワン賞”のかかった15番ホールのパー3。

南アフリカのジェームス・キングストン選手の放ったボールは、大きく左にそれて木を直撃!しかし、ラッキーなバウンドでボールはグリーンにナイスオン!そして、そのボールはコロコロと転がって見事ホールインワン達成となりました!

ホールインワンを生で見られるのはギャラリーにとってはとてもラッキーなことですが、このホールインワンに関しては、なぜかあまり得した気分になれません。協賛のアウディもなんだか車1台損してしまったようで、少し気の毒になる“ナイス・ショット”でした。

もっとも短い距離の、もっとも長いパット?!

次はスコットランドのレジェンド・ゴルファー、サム・トーランス選手の登場です!ツアー通算43勝の実力の持ち主で、ライダー・カップにはヨーロッパ・チームとして8回の出場を果している実力派です。

そのトーランス選手の“See Every Shot Imaginable”が、まさかの“これ”?!と、言いたくなるチョイス。

大会は“The English Open”という一見“全英オープン”と間違えそうな名前の大会ですが、全くの別物。以前はヨーロピアン・ツアーの公式大会の一つでしたが、2002年の大会を最後に、諸事情により大会自体、開催されていません。

1990年のThe English Openで惜しくもプレーオフに敗れ、2位となった名将トーランス選手の珍プレー。グリーン上でトーランス選手が打ったボールは、ラインに乗ってカップへ一直線!と思いきや、ボールはカップの淵から下を覗き込むようなところで止まってしまいます。

あきらめの悪いトーランス選手はカップの横で粘ります。粘った秒数は、なんと26秒!

大会は1990年ですが、1984年に「不当に遅れることなく歩み寄り、さらに10秒間待つことができる」という、いわゆるカップの淵に関する“10秒ルール”が確立された後なので、ペナルティーの対象になると思いますが、この時はどうだったのでしょう?

のんびりした当時の様子を見る限り、スルーされてしまっているようですね。舌を出しておどけたトーランス選手の笑顔が印象的です。今ならテレビの視聴者からのクレームで間違いなく罰則が加算されていることでしょう。

両膝をついてのミラクルショット!

こちらもヨーロピアン・ツアーのレジェンドの一人、セベ・バレステロス選手。2011年に54歳の若さで、惜しまれながらも亡くなった往年の名選手です。

サム・トーランス選手同様“セベならもっと他に素晴らしいショットが、いくらでもあるでしょ!”と、ファンならずともつっこみを入れたくなるショットが選ばれています。さすがヨーロピアン・ツアーと言わざるを得ません。

1997年のフランス・オープン。6番ホールで、バレステロス選手のボールがブッシュに捕まってしまいました。通常であれば打てるところにレイアップして仕切りなおすのがセオリーですが、セベは違いました!両膝を地面についての、ミラクルショット!さすがに、このショットは想像を超えた珍ショットでした!

18番ホール、優勝争いの中でのアルバトロス!

2009年BMWインターナショナル・オープン。この年優勝したのはイングランド出身のニック・ドハティ選手でした。

ドハティ選手は最終日“64”という素晴らしいスコアでフィニッシュして見事優勝しましたが、彼の優勝を脅かした選手がいました。それがアルゼンチン出身のラファ・エチェンケ選手です。

最終日、トップと4打差で迎えた18番ホール。この時点で優勝の望みはかなり薄く、アナウンサーもエチュンケ選手の優勝はないとコメントしています。しかし、エチェンケ選手はあきらめていませんでした!3番アイアンを振りぬいた243ヤードのショットは、見事にホールイン!アルバトロスで一気にトップと1打差まで迫りました!

優勝したドハティ選手は最終の3ホール全てパーでホールアウトして、ギリギリ1打差を守りきり優勝となりましたが、エチェンケ選手のアルバトロスはおおいに大会を盛り上げる一打となりました。

このショットは2009年、ヨーロピアン・ツアーのショット・オブ・ザ・イヤーに輝きました。これこそ“See Every Shot Imaginable”のキャッチ・コピーにふさわしいショットですね。

53ヤードの“モンスター”パット!

2012年アルフレッド・ダンヒル・リンクス・チャンピオンシップ。いわゆる“プロアマ”トーナメント。初日からプロ1名、アマチュア3名という変則なフォーサムで行なわれるのが特徴のユニークな大会。

ヨーロピアン・ツアーの“See Every Shot Imaginable”の最後に紹介するのは、なんとゴルファーではなく、世界的な水泳選手のマイケル・フェルプス選手のスーパー・プレー!

ヨーロピアン・ツアーのキャンペーンなのだから“せめてトーナメント・プロの選手を使って欲しい”というファンの声はもちろん届きません。ヨーロピアン・ツアーの懐は思ったよりも深かったようです。

ハンデキャップ26、オリンピックのゴールドメダリスト、マイケル・フェルプス選手。53ヤード(約48メートル)の距離を、パットでアプローチ!

素晴らしいパットでしたが“See Every Shot Imaginable”に水泳選手を抜擢するところなど、日本のプロゴルフ界もヨーロピアン・ツアーの、この柔軟性は参考にしていただきたいものですね。

まとめ

Trick Shot

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“See Every Shot Imaginable”のシリーズはたくさんあるのですが、なによりこのシリーズに携わっている人達の楽しんでいる姿が目に浮かぶのが素晴らしいと思いませんか?

“これ、ぜったいウケるよ!”
“いける、いける!”

みたいな、やりとりが会議の中で行なわれているのでしょう。“人を楽しませるには、まず自分が楽しむ。”エンターテイメントの基本ですね。

(完)

この記事を書いたライター

全盛期のハンディキャップは「8」。アメリカで鍛えたゴルフの腕には自信あり。
一番の思い出は500ヤードを超える正真正銘のパー5で2オン1パットのイーグルを達成したこと。
好きなクラブは6番アイアン。日本のコースでのティーショットは、6番アイアンを持つことが最も多い。

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