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松山英樹、米PGA賞金ランキングは9位で終了!来年度ツアーでナンバーワンになれるか?

米国男子の2015-2016ツアーが終了し、松山英樹選手の最終賞金ランキングは9位でした。ちなみに昨年の2014-2015ツアーでは15位でしたので、着実にランクアップしているのが数字の上でも顕著ですね。

また、フェデックスカップ・ポイントランキングでも13位と、プレーオフ4戦でも存在感を示した活躍でしたが、最終戦である「ツアー選手権byコカ・コーラ」での結果(優勝)次第では年間王者も狙えただけに、大満足という訳ではないようです。

すでにPGAツアーの顔として、年間を通しての活躍が当たり前となった松山選手ですが、今季ツアーでは長らくショットの不振が続き、納得のいかないプレーが重なることも多かったようです。そんな中でもこれだけのすごい成績を残しているのですから、「来年はきっと…」とゴルフファンなら期待せずにはいられませんよね。

そこで今回は、PGAツアー(2015-2016シーズン)における松山選手のデータ上の活躍に焦点を絞ってみたいと思います。

今季賞金ランキング1位となったダスティン・ジョンソン選手や、逆転でフェデックスカップ年間王者の座を手に入れたローリー・マキロイ選手、そして現在世界ランキング1位のジェイソン・デイ選手との差はどこにあるのでしょうか。

データで比較しながら、松山選手がナンバーワンになる条件を探っていきたいと思います。

PGA賞金ランキング9位

まずはおさらいとして、賞金ランキングを確認してみましょう。

1位はダスティン・ジョンソン選手で獲得賞金額は9,365,185米ドル。メジャータイトルである「全米オープン」初制覇を含む3勝を挙げ、見事1位を獲得しました。

2位はジェイソン・デイ選手で8,045,112米ドル。第5のメジャーとも言われる「ザ・プレイヤーズ選手権」を制するなど、世界ランキング1位に相応しい活躍でした。

以下3位アダム・スコット選手、4位ローリー・マキロイ選手、5位パトリック・リード選手と続きます。

そして松山英樹選手は見事トップ10入りを果たしての9位。(4,193,954米ドル)2月に行われた「ウェイストマネジメント・フェニックスオープン」を制するなど、堂々たる成績を残しました。

このように、すでに一握りのトッププロゴルファーの領域に入っていることは、同じ日本人として誇らしいですよね。しかもまだまだ飛躍してくれそうな可能性を感じさせてくれるのも、松山選手の大きな魅力であり、楽しみな部分です。

フェデックスカップ・ポイントランキング13位

2007年シーズンより始まった、FedEx(フェデックス)がスポンサーをつとめるポイント制のランキングシステムです。賞金ランキングが確定した後にもトーナメント競技への関心を高めてもらおうという趣旨のもと、レギュラーシーズン+サバイバル形式の4試合(予選落ち無しのプレーオフ)のポイントを競い合ってランキングを決定します。

この部門での1位はローリー・マキロイ選手で、3,120ポイント。最終戦の「ツアー選手権byコカ・コーラ」での鮮やかな逆転劇が印象的でした。ツアー賞金総額も桁違いで、年間王者に贈られる優勝賞金はなんと1000万米ドル(約10億円)。大満足の結果でシーズンを終了したのではないでしょうか。

以下、2位ダスティン・ジョンソン選手、3位パトリック・リード選手、4位アダム・スコット選手、5位ポール・ケーシー選手、6位ジェイソン・デイ選手となっています。

松山選手は13位と素晴らしい成績でしたが、本人は結果に対していたって冷静で、あまりこのランキングは気になってはいないようでしたね。

平均ストローク13位

では、続いて年間を通しての平均ストロークを見てみましょう。

1位はダスティン・ジョンソン選手で69.172、2位はジェイソン・デイ選手で69.313、3位はアダム・スコット選手で69.470となっています。

以下、4位ジョーダン・スピース選手、5位フィル・ミケルソン選手と続き、6位がローリー・マキロイ選手の69.646です。

この部門での松山選手は13位になり、70.034、ちなみにツアー平均は71.181です。

こちらはほぼ、賞金ランキング/フェデックスカップ・ポイントランキングとの相違がありませんので妥当な順位というところでしょうか。

では、続けてどんどんご紹介していきたいと思います。

トップ10入りの回数7位

次は年間を通しての安定した成績を示す、トップ10入りの回数です。

1位はダスティン・ジョンソン選手で15回(出場回数22)、2位はパトリック・リード選手で11回(出場回数28)、3位はジェイソン・デイ選手(出場回数20)とマット・クーチャー選手(出場回数26)で10回となっており、ダスティン・ジョンソン選手の成績が際立っています。

では、松山選手はというと、リッキー・ファウラー選手、ローリー・マキロイ選手、ジョーダン・スピース選手らと並んで7位タイ(8回/出場回数23)に入っています。こちらは豪華な上位陣に劣らない、堅実な成績を残していると言えそうですね。

ドライビングディスタンス65位

次は気になるドライビングディスタンス(平均飛距離)です。

1位はJ.B.ホームズ選手で、驚愕の314.5ヤード、2位はジャスティン・ジョンソン選手で313.6ヤード、3位はトニー・フィナウ選手で312.2ヤードです。

尚、ローリー・マキロイ選手は9位で306.8ヤード、ジェイソン・デイ選手は15位タイで304.2ヤードとなっています。

この部門での松山選手は65位で294.5ヤードと、かなり上位陣に差をつけられています。ちなみにツアー平均は290.0ヤードです。日本では“飛ぶ”イメージの松山選手ですが、やはり米ツアーの層は厚いですね。

また、同じくPGAツアーに参戦する石川遼選手と岩田選手もチェックしてみました。

まず、岩田寛選手は288.8ヤードで108位タイでした。岩田選手も日本ツアーでは飛ばし屋の部類に入ると思いますが、ほぼツアー選手の平均値となりましたね。また、石川選手は腰痛で、2月にツアーをリタイアしましたのでラウンド数が17と少なく、公式記録ではありませんが、参考記録として306.2ヤードのデータが残っています。

こうしてみると、松山選手においては飛距離が課題かとも取れますが、2015年度に世界ランキング1位、PGA賞金ランキング1位、フェデックスカップ年間王者に輝いたジョーダン・スピース選手が51位で295.4ヤードですから、必ずしもナンバーワンの必須条件という訳ではないのではないかとも思います。

フェアウェイキープ率67位

次はドライバーの精度を推し量るフェアウェイキープ率です。

1位はコルト・ノスト選手で73.36%、2位はトーマス・エイケン選手で72.36%、3位はジェリー・ケリー選手で71.20%です。

この部門はガラリとメンバーが入れ替わり、ローリー・マキロイ選手が77位で61.06%、ジャスティン・ジョンソン選手はなんと138位で57.17%、ジェイソン・デイ選手も181位で50.46%と、フェアウェイキープ率が低いことが分かります。ドライビングディスタンスと比較することで、いかに“飛んで曲げない”ことが難しいかが窺えますね。

さて、松山選手の成績は、67位でフェアウェイキープ率は62.04%です。前述のマキロイ選手らと比較すると、キープ率は高めですが、ドライビングディスタンスも65位ですから、ドライバーに関しては平凡な数値が並んだと言えるでしょう。

パーオン率35位

スコアメイクに大切なパーオン率を見てみましょう。

1位はルーカス・グローバー選手で71.63%となっています。以下、2位ポール・ケーシー選手が70.80%、3位アダム・スコット選手が70.76%と続きますが、さすがのショットメーカーの名前が並びましたね。

ちなみにローリー・マキロイ選手は11位で69.62%、ダスティン・ジョンソン選手は43位タイで67.82%、ジェイソン・デイ選手は53位で67.23%でした。

さて、松山選手はというと、35位タイで68.11%です。ドライビングディスタンスのランキングから考えると、残り距離が長いことが予想されますので、パーオン率が上がりにくい事は想像できますが、もう少しこのランキングがあがることで、さらに上を目指せるのではないかと期待できます。

データからみえること

今季、トップに君臨したジャスティン・ジョンソン選手や、ローリー・マキロイ選手、そして世界ランキング1位のジェイソン・デイ選手とは明らかにタイプの違う選手であることがデータを通してお分かりいただけたと思います。では、誰が一番参考になるかというと、やはり、ジョーダン・スピース選手ではないかと思います。

ジョーダン・スピース選手は、現在世界ランキング4位。PGA賞金ランキング(2015-2016シーズン)は6位でしたが、2015年には「マスターズ」「全米オープン」を制し、22歳の若さで世界ランキング1位となった選手です。

前述のデータを松山選手と比較してみたいと思います。

・平均ストローク4位(松山選手13位)
・トップ10入りの回数7位タイ(松山選手7位タイ)
・ドライビングディスタンス51位(松山選手65位)
・フェアウェイキープ率123位(松山選手67位)
・パーオン率145位タイ(35位タイ)

意外にもフェアウェイキープ率と、パーオン率は松山選手に軍配が上がりました。それでも平均ストロークに差が付くということは、ショートゲームでの差ということになりますね。

たとえば平均パットは、ジョーダン・スピース選手が1.710で1位、松山選手が1.741で15位です。松山選手は得意クラブに「パター」と挙げており、実際、好きなクラブでもあるようですが、さらに上を目指すにはこの辺りが、ナンバーワンになるための条件なのかもしれませんね。

松山選手は練習量も多く、才能と努力を兼ね備えた素晴らしい選手のひとりです。充分にその可能性があると期待してよいのではないでしょうか。

おわりに

データをよく見てみると、松山選手は大きな取りこぼしの無い、平均的に大変優れた、実力選手であることがよく分かります。しかし、さらに上を行くトップ選手は明らかに他選手を圧倒する強みがあります。こうした部分が松山選手にも突出して出てくることで、松山選手がナンバーワンになる日も来るのではないかと思います。

ほんの少しのオフを経て、10月には次シーズンがもう始まります。世界ランキングや、米男子ツアーの賞金王も魅力的ですが、「マスターズ」「全米オープン」「全英オープン」「全米プロ」のメジャータイトルも是非取って欲しいですね。

さらに個人的には2020年の東京オリンピックでの活躍も期待しています。普段、他競技の選手と触れ合う機会の少ないテニスの錦織圭選手も、「日本代表選手としてオリンピック大会でプレーしたことは、大変刺激を受けた」と述べています。

そうした経験を得ることで、ますます選手としての幅が広がり、名実ともにナンバーワンになるのではないかと期待したいと思います。

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