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フェアウェイはゴルフ用語じゃないの?/誰かに話したくなるおもしろゴルフ話

「フェアウェイの右サイドを狙ってください」
「フェアウェイにボールが止まらないから大叩きしたんだよね」

頻繁に使う「フェアウェイ」という言葉は、ゴルフ用語として定義されていないのです。現代のゴルファーならフェアウェイという言葉は誰でも使っていますし、初心者用の入門書でもコース用語としていの一番に解説されているのに、不思議なこともあるものです。

ゴルフ規則の第2章は用語の定義で、62の用語が定義されています。62のゴルフ用語でゴルフを説明できるというわけですが、この中に「フェアウェイ」は出てこないのです。

この機会にフェアウェイの秘密を知って、フェアウェイと親しみましょう。

フェアウェイは船乗りの用語

Cloudy with a chance of Golfballs

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リンクス風フェアウェイ


「フェアウェイ」という言葉は、船乗りたちが使っていた用語なのです。

見えない岩礁があって、注意して進まないと船が座礁してしまうようなケースは、古今東西、船乗り泣かせです。現代なら最新の装備や海図で岩礁を避けて通ることができるかもしれませんけど、少し前までは、経験豊富な船乗りや案内人が右へ左へ十分な深さがある場所を通るように指示をしていたのです。

このようなとき、安全に航行できる通り道のことを船乗りたちは「フェアウェイ」と呼んだのです。

ゴルフがスコットランドの港の近くで現在のような形に育ってきたのは、ゴルフ史で明らかです。船乗りの言葉が自然とゴルファーの間で使われていったのが「フェアウェイ」という言葉なのです。

いつ頃から使用されていたのかは定かではありませんが、19世紀の終わり頃には普通に使用されていたようです。そう考えて、改めてフェアウェイを見てみましょう。

ゴルフコースは危険で一杯の海原のようにも見えます。フェアウェイは安全に航行できる道筋です。ゴルフという冒険は命の危険こそないものの、様々な障害を回避しながら、難破せず無事にグリーンへ辿り着く船旅のようなものかもしれません。

フェアウェイの誕生

General view of the 18th hole par 4

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ゴルフ規則の中では、フェアウェイのことを「芝生を短く刈ってある区域」と書いてあります。現在でも意味としては、それが正解です。

リンクスでゴルフが行われていた数百年の間、芝生を刈る役目は羊でした。彼らは自由に好きなところの芝生を食べます。刈る区域を完全にコントロールすることは不可能でした。現代でわかりやすく例えると、牧場のような草原が昔のゴルフコースだったのです。

この頃に、狙い目や有利な場所を安全な航路という意味でフェアウェイという言葉は使用されていました。その場所が必ず芝生が短く刈られているとは限らなかったことは想像できます。

フェアウェイという言葉がゴルフ用語として定義されないのは、そのような歴史的な背景があるからだと思われます。意味が微妙に違ってしまう矛盾を避けようと先人たちは考えたのでしょう。

牛や馬がひいて芝生を刈る芝刈り機が登場して、ゴルフコースは急激に近代化していきます。今から約150年前のことです。

セントアンドリューズが、率先して芝生を短く刈る区域を作りました。羊を使わなくても良くなったので、刈ってある区域とそうではない区域がより明確になったのです。

荒野のような中に、道のように短く刈られた場所が延びているのを見たゴルファーが、「フェアウェイ」と呼ぶのに時間はかからなかったはずです。それが現在まで、続いているのです。

フェアウェイという道

The Links at Crowbush Cove, Lakeside, Prince Edward Island, Canada.

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20年程前、英国から来日したプロとゴルフをしたときに「どうしてラフにバンカーがあるのか?」と質問されて戸惑ったことがありました。彼曰く、バンカーはフェアウェイに隣接しているか、フェアウェイの中にあるもので、ラフはそれだけでペナルティーなのだから、そこにバンカーというハザードがあるのはおかしいというのです。

改めて色々と調べてみました。そのコースは海外の事情にも詳しいコース設計家のデザインでした。開場した頃の古いレイアウトを入手して驚きました。おかしいと指摘されたバンカーは、開場当時はフェアウェイと隣接していたのです。

古くからコースを知っている人に話を聞いてみると、そのバンカーの横に隣のホールのティーインググランドがあって、曲がったボールが飛び込む打球事故が起きたために、安全を考慮して徐々にフェアウェイを逆側に動かした結果、バンカーだけがポツンとラフに取り残されたのだとわかったのです。

ゴルファーの宿命で、フェアウェイが見えれば、自然とそこを目標にしてしまうものです。設計者の意図とは無関係の現実的な問題で、フェアウェイは移動してしまうことがあるのです。

例えば、プロのトーナメントをするコースは、難易度を高めるためにラフを伸ばして、フェアウェイを狭くします。ラフに取り残されたバンカーがあるコースは、日本国内では珍しくありません。元々フェアウェイではない場所が、フェアウェイになっていることもあり得るのです。

ちなみに、フェアウェイとラフとの境を日本では「フェアウェイライン」と呼びますが、欧米では「ラフライン」と呼びます。

現代では重機のような芝刈り機でフェアウェイを刈るために、境目は刈りやすいように直線的になっているケースが多いのですが、傾斜などを上手く利用した蛇行する境目があるほうがプレーしていて面白いものです。

利便性を優先して、直線的な境目が当たり前になっていたのですけれど、原点回帰という気運が高まって蛇行した境目が21世紀になってから復活しているコースも増えてきています。

フェアウェイの話題だけでも、ゴルフの話は尽きません。知識を得た上で改めてコースをプレーしてみると、あなただけのフェアウェイが見えてくるかもしれません。

正しい知識を持って意識をしながらプレーすれば、回数を重ねるほどフェアウェイを見る眼力のレベルはアップします。それはゴルフを充実させる重要な要素になっていくのです。

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