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団体戦のスクランブル競技はプロのようなゴルフの入口なの?/誰かに話したくなるおもしろゴルフ話

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ゴルフは、“マッチプレー”という目の前の相手との対戦するゲームとして生まれました。その後、スコアという記録を競うことに特化したストロークプレーが主流となり、現在のゲームの形に育ったのは、今更書くまでもありません。

遠くに飛ばして、ターゲットに近づけて、小さな穴にボールを落とすという異なる要素を融合させてスコアを競うゲームは、多くの人々を夢中にさせています。

2016年夏。世界中でゴルフが行われていますし、オリンピックの競技としてゴルフは復活します。トッププロゴルファーが集い、誰がメダルを手にするのか?注目が集まります。

ゴルフは自らがプレーする競技でもあり、見て楽しめる競技でもあります。プロゴルファーの奇蹟のようなストロークに、ゴルフファンは興奮し、感心し、そして憧れを抱くのです。

どんなに真剣に観戦しても、プロゴルファーのようなゴルフができるようになるわけではありません。でも、ゴルファーは夢見るのです。「プロゴルファーのようなプレーが、1回でも良いからできたらなぁ……。」と。

その願いを、簡単に叶える方法を紹介しましょう。

スクランブルはひっかきまわすこと

144th Open Championship - Champion Golfers

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「スクランブル」という競技方法を知っていますか?

簡単に説明すると、チーム内のボールの中で一番良い条件のボールを選び、その場所からチーム全員でストロークして、次打も最も良い条件のボールを選んで同じようにチーム全員で打って、ということを繰り返すゲームです。

例えば、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの4人でスクランブルをするとします。

第一打目、4人でそれぞれショットします。Dさんのボールが一番飛んでフェアウェイの真ん中だったとして、そのボールを選択して、他の3人のボールは拾ってしまいます。Dさんのボールの位置から、4人それぞれが2打目を打ちます。

Bさんの打ったボールが、唯一グリーンに乗ったとします。そのボールを選択して、他の3人のボールは拾います。

Bさんのボールの位置から、4人でパットします。3人目で打ったCさんのパットが決まって、そのパー4は3のバーディーというスコアになるのです。

チームで1枚のスコアカードを埋めていきます。チームの中で一番良いショットを選択できるので、失敗しても誰かが助けてくれる可能性があります。

その日の一番良かったショットが、チームに貢献することもあります。団体戦独特の緊張感もあります。打順は自由に決めることができますので、できるだけ早めに打ちたいと考えるのは人情で、最後に打つのはドキドキするシーンもあります。

スクランブルは、スクランブルエッグのスクランブルで、意味は“ひっかきまわす”です。ハーフでも良いので、お仲間とやってみることをオススメします。読んだだけではわかりにくいと思いますが、やってみるとゴルフの新しい魅力に気が付くはずです。

例として4人のチームを想定しましたが、3人でもできますし、「ペアスクランブル」と呼ぶ2名1チームでも楽しくできます。とはいえ、できれば最初は4人か、3人でのスクランブルをオススメします。

例題としてあげたパー4はバーディーでしたが、同じ場所からチーム全員が打つというところが、この競技方法の最大の魅力で夢のスコアへの入口になるのです。

スクランブルはアメリカ生まれです。諸説ありますが、元々は、初心者のゴルファーのデビュー戦を簡単で楽しいものにしようという目的だったそうです。やってみるとわかりますが、スクランブルであれば、全く練習をしたことがないような初心者でも競技に参加できます。1回も貢献しなくとも成立するからです。

現在では、全米チャンピオンチームを決める真剣な大会もあるほど普及しています。トップアマで組んだチームは、プロゴルファーを凌駕するスコアでしのぎを削っていて、優勝チームのスコアはパー72のコースで60を切った50台のスコアになることが当たり前になってきました。

スクランブルは、初心者と一緒にゴルフを楽しむ方法としても機能し、スクラッチ競技の一つとしても機能しているのです。

もう少しだけ、スクランブル競技の面白さを解説しましょう。

まず、チーム内のメンバーの得意なクラブが理解できます。

「飛ぶ人は、こんなところからいつも打っているんだ」と経験したことがない飛距離の有利さを体験できますし、間近でスイングなども観察できますから、どうしたらそんな風に打てるのかというヒントを得ることも可能です。

「この人のアイアンの精度は凄いけど、よく見ると狙いを決めて、アドレスすることにこだわっているぞ」というような洞察もできたら楽しいです。

逆に、あまり技術が高くない初級者には、適切なアドバイスをできるかもしれません。まさにチーム戦だからこその楽しさです。

そして、戦略を組むことで深くゴルフを堪能できます。

例えば、飛ばし屋ならショートカットが狙えるホールに挑むときに、いきなり狙ってもらうより、別のメンバーが先に安全なところに打って余裕を持って打ってもらえば、成功確率は増すかもしれません。

そのホールのレイアウトを理解して、メンバーで知恵を出し合って、自分たちができることで協力し合うのは、他では経験できない楽しさです。打順や狙いは自由だからこそ、戦略はたくさんあるのです。

スクランブルに慣れてくると、この戦略こそが、この競技方法の最大の魅力だと思えてきます。チームで考えて、選択した戦略が見事にはまって成果があがる快感は、他のゴルフ競技とは違うものです。経験しないのは、もったいないのです。

ゲームとしてのスクランブルの面白さ

Commercial Bank Qatar Masters round one

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とにかく、チーム内の良いボールを選んで、次々にみんな打っていくのがスクランブルだ!と試してみることは良いことですけど、スクランブルを更に楽しむために、更に工夫があるので紹介しましょう。

論より証拠なので、ある集まりのスクランブル競技のルール説明を引用します。

1.本スクランブル競技は、ハーフごとのグロススコアで競います。タイスコアは、各ハーフの最終ホールからのカウントバックにて上位を決めます。

2.全員が打った球の条件が良い1つのボールを選んでマークします。ボールをマークする際はティーまたはマーカーなどを使用して、グリップ半径(ホールに近づかず)にボールをプレースして次打を打ちます。
※バンカー内のボールを選んだ場合、打つごとに砂を均してもOKです

3.それぞれのシーンで、打順はチーム内で決めて構いません(不要な場合は打たなくてもOK)。組内で作ったスコアが、チームスコアになります。
※1人がホールアウトすれば成立。それ以外の人はホールアウトしなくともOKです。

4.各ハーフで1打目を1人、最低1回は選択しなければなりません。また、1人が採用される回数はハーフで4回までとしてます。
※選択されない人がいた場合は、失格となります。

ハーフごとで勝敗を決めるパターンになっていますが、一般的には18ホールでやることが多いので、誤解をしないようにお願いします。ただ、初めてやる場合は1日中変わったルールでゴルフするのには不安があると思うので、ハーフのみで実行するのがやりやすいと思います。

今まで説明していなかった縛りがありますよね?「4」の第1打目の採用ルールです。

これは、絶対になければならないというものでもないのですけれど、加えることで間違いなくゲームの面白さも増しますし、決められた回数は絶対に全員が参加しなければならないというチーム戦の醍醐味も増しますし、戦略にも変化が生まれるので、オススメしています。

スクランブルでは、どうしてもドライバーが飛ぶ人のボールを選びたくなるので、下手をすると全ホール1打目は同じ人のボールを選んだということが起きてしまいます。

必ず選択されなければいけない回数を決めると、戦略の中に、第1打目を選択する際に、チーム内のノルマを消化するという面白さが加わるのです。

序盤で上手に全員のノルマを達成できれば良いですが、無計画に選択してしまうと、最後に残ってしまったプレッシャーでミスをした酷いショットを選択しなければならないということも発生してしまうのです。

色々な腕前の人が混じっているのであれば、ハーフで1回ぐらいの第1打選択縛りでも十分に楽しめます。実力が均衡している仲間でのチーム戦であれば、ハーフで2回とかに選択縛りを増やすと面白いと思います。圧倒的な飛ばし屋がいるチームが有利になりすぎることを防ぐ意味でも、この縛りは有効です。

もう一つ、よくある縛りは、同じ人のボールは1ホールで3回連続までしか選べないというものです。

3回連続で選ばれた人は、次のストロークには参加できないようにします。つまり、1回お休みです。これは、ドライバーから最後まで同じ人のボールを選択することを防ぐ目的です。

「チーム戦なのに、結局一番上手い人のボールだけで済んじゃった」というようなことがないようにするわけです。上手い人がいるチームが有利になりすぎないような調整としても機能します。

3回連続ではなく、連続して同じ人のボールを選択できるのは1ホールで2回までとういう縛りのケースもあります。2回連続で選択した場合は次のストロークには参加できないとする場合と、参加はできるけど、その人の打ったボールを選択はできないという二つの方法があります。

チーム戦なので、ハンディをつけるのが難しいことから、上手い人がいるチームといないチームの差を埋める工夫です。この辺りになると、かなりスクランブルに慣れてきたゴルファーでなければ理解できないかもしれませんので、知っているという範囲で十分だと思います。

スクランブル競技に興味が沸いてきたでしょうか?プロのようなスコアが生まれるなんて想像がつかないという声が聞こえてきます。

騙されたと思って、まずはやってみて欲しいのです。久しぶりのゴルフで最初のハーフは練習として楽しみましょう、というような気軽な仲間内で実験的に始めてみるのもありですし、コンペの一つの催しとしてやっても良いと思います。

スクランブル競技がゴルファーにプラスになる部分は、たくさんあります。

・初めてのゴルファーでも楽しく参加できて、ゴルフの魅力を堪能できること。

・チーム戦として、仲良く楽しく、アドバイスし合ったりしてゲームできること。

・ゴルフの戦略を高度に考えて、実践するプロ気分を味わえること。

・プロゴルファーとアマチュアゴルファーのスコアの差は、思ったより小さいことに気がつけること。

・ゲームとして上手くいけば、信じられないようなスコアのゴルフができて、自分もその一部を手助けできたと実感できること。

日本の多くのゴルファーは個人のストロークプレーだけしか経験していないものですが、チーム戦でもゴルフは面白いことを知るべきです。そして、それは決して損にはならないのです。

ゆで卵も、目玉焼きも、それぞれに良いところがあります。スクランブルエッグも奥深い卵料理です。ゴルフも同じように、色々な調理法があるのです。

スクランブル競技は、固定概念で固まりつつあるゴルフ脳をひっかきまわして、ゴルフの新しい扉を開いてくれるきっかけになります。簡単にできますので、軽い気持ちで挑戦してみましょう。

 

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