ヨーロピアン・ツアーの上品な遊び心に触れる⑮~イアン・ポールターの1日を360度カメラで密着してみた!~
- 2018.02.05
- トピック
182cm、84kg。イングランド出身。
ヨーロピアン・ツアーでデビューしたのは2000年。その年に優勝を果し、見事ルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いた。
ヨーロピアン・ツアーを主戦場として13勝を挙げており、そのうちアメリカで2勝、日本でも2007年のフェニックス・オープンで優勝を果たすなど世界中で活躍しており、多くのファンを持つベテラン。
イアン・ポールター選手。
ヨーロピアン・ツアーの上品な遊び心に触れる第15弾は、サンバイザーがトレードマークのスマートなイングリッシュマンに、ヨーロピアン・ツアーが360度カメラで徹底密着取材を敢行しました!
それぞれの場面を360度見回すと、ツアーの雰囲気がよりリアルに体感できます。真面目なポールター選手のぎこちないナレーションにも注目です。
ちなみに“ユニーク”なテイストは少なめとなっています。
イアン・ポールターの1日
今回、ポールター選手に密着したのは2016年のUBS香港オープンのオープニング・ラウンド。コースは名門、香港ゴルフクラブ。
~スタート時間の2時間40分前~
まだ暗いうちにクラブ・ハウスに到着。
「クラブ・ハウスで美味しい朝食をしっかり食べて、15~20分柔軟体操をしてから練習場に向かいます」
~スタート時間の1時間前~
「まずは短いパットから練習を始めて、25フィート(約7.5m)まで距離を伸ばして練習をします」
~スタート時間の45分前~
「レンジに移って、ゆっくりと練習を開始します。まずは3~4球ウェッジを打って調整をして、それからバッグに入っている全ての番手の手応えを確認します」
~午前7時50分/スタート時間~
「スタート・ホールのドライバーは、“decent”なスタートを切る上でとても大切です」
と、ポールター選手は語っています。“decent”とは辞書で引くと“礼儀正しい”や“きちんとした”または“見苦しくない”といった意味です。つまり“グッド・スタートを切る上で~”と言いかえるとわかり易くなります。しかし、そこはヨーロピアン・ツアーを代表するイングリッシュマン、表現も上品で素適です。
「最初のホールのショットをフェアウェイの真ん中に落とせれば、良い1日のスタートになります」
~3番ホールのティー・ショット~
そして、迎える3番のロング・ホール。
「このホールは攻略するのが難しいホールで、300ヤード先のとても小さな目標を捕らえなくてはいけません。そして、その小さなターゲットを捉えることができれば、グリーンへの道が開けるのです」
どうやら、ポールター選手の放ったボールは、見事ターゲットを捉えたようですですね。
~18番ホールを終えて~
ポールター選手はこの日前半35、後半33、トータル68という素晴らしいスコアでホールアウトしました。そして、ナレーションは続きます。
「残念ながら最後のホールでボギーを叩いてしまいました。だれでも、最後のホールでスコアを落としてしまうとがっかりするものです」
~午後12時18分、初日のプレーが終了~
試合の後にはアテスト(同伴競技者にスコアを確認してもらう作業)があります。
「これからランチですが、最後のホールでバーディーを取れれば美味しい食事になりますが、ボギーを叩くと気持ちがイライラしてしまいます。なので、スコアを落とした時はだれでも“a little simmer time”が必要なのです」
この時の“a little simmer time”は“弱火にする”とか“コトコト煮る”のような意味があります。“頭を冷やす”とか“クールダウン”という方が一般的かもしれませんが、ポールター選手のボキャブラリーは実にお洒落です。沸騰したお湯が鍋から溢れないように、“少し弱火にしないと”というニュアンスなのです。
~午後2時44分、食事を終えて~
食事の後はインタビューに答えます。その時のナレーションが、とても参考になります。ナレーションは“a little simmer time”の箇所からの続きです。
「僕が言いたいのは、ミスをしてもその気持ちを20秒以内に払拭することが大切ということです。試合を振り返って必要であればパットやショットの練習をしたり、マッサージを受けたりしてできるだけポジティブな気持ちに切り替えることが重要なのです。楽しい午後や、素適な夜、そして明日の試合の為に」
まとめ
「ツアー・プロの1日にお付き合いいただき、ありがとうございました。これからホテルに帰って明日の第2ラウンドに備えます。チアーズ・ガイズ!」
ポールター選手の最後の言葉“チアーズ・ガイズ”は、“少しは参考になったかな?みんなも、がんばれよ!”といったニュアンスの、イングリッシュマンから我々アマチュア・ゴルファーへの激励です。
トップ・プロでさえ技術だけではなく“気持ち”のコントロールを重視しているのを見て、改めてゴルフというスポーツはメンタルが大切なのだと感じました。
皆さんもあまり良くないショットをしてしまっても、20秒以内にそれを払拭するよう努力しましょう!楽しい午後と、素晴らしい夜、そして次のプレーの為に。
(完)