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ビッグバードがイーグルに変身した歴史的瞬間を知っていますか?/ワンランクアップするゴルフの裏技

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「パー」という概念がアメリカで生まれたのは、19世紀末。ハスケルボールという革新的に飛んで耐久性のあるボールがゴルフの世界を変えていった中で、副産物としてパーという考え方が生まれました。

すぐにパーより1打少ない「バーディー」という言葉が生まれ、パーの採用を渋ったイギリスやスコットランドのゴルファーにも、どういうわけかそれは一気に広まりました。

でも、バーディーよりもさらに1打良いスコアは、普通のゴルファーにとっては今よりもっと縁がないので使うことがなく、なかなか用語が生まれませんでした。

ビッグバードって何ですか?

Day Nine: The Championships - Wimbledon 2016

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パーより2打少ないスコア。パー3のホールインワン。パー4で2打目が入る。パー5で3つであがる。

普通のゴルファーであれば21世紀の現在でもそれは憧れであり、“まぐれ中のまぐれ”ともいえる夢のスコアです。プロや上級者の中には、イーグルは当たり前で珍しくはないというケースもありますが、それはごく一部の特殊な例です。

20世紀になって今までより飛ぶハスケルボールが普及し、トップ選手のトーナメントやチャンピオンシップで、パーより2打少ないスコアを記録することが急増しました。ボギーより1打多いことを「ダブルボギー」と呼ぶように、バーディより1打少ないから「ダブルバーディー」と呼ぼうというゴルファーはいなかったようです。

“バーディー=小鳥ちゃん”なので、それよりも上であることを明確にしようと「ビッグバード」という言葉がなんとなく使われるようになったのです。ビッグバードという鳥はいません。曖昧なまま、イメージだけでビッグバードという言葉は広まろうとしていました。

しかし、歴史はゴルフコースではなく、米国のある建物の一室で一人の男の閃きにより大きく動きました。

ニューヨークタイムズという新聞のスポーツ欄を担当していた記者が、記事を書きながら苦悩していました。エルムという選手のことを書いて、パー5を2オンして次のパットを入れればと期待したが、残念ながらそれは外れたという内容だったのですが、状況説明ばかりが長くなって読者に伝わりにくいと悩んでいたのです。

ここからは諸説あって面白いところなのですけれど、記者はビッグバードという言葉を明確には知らなくて困っていたという説と、知っていたけれど迫力に欠けると悩んでいたという説があります。さらに、抱えていた頭をあげたとき、部屋の壁にアメリカの国旗と国章が目に入ったという説もあります。

記者は書きました。

「2オンして『イーグル』が可能になったが、残念ながら『イーグル』にはならなかった……。」

ゴルフ史上初めて『イーグル』が活字になった瞬間です。イーグルは鷲のことで、鷹よりも大きい、まさにビッグバードです。アメリカの国鳥であり、国章もイーグルです。

ビッグバードは大きな鳥というだけで具体的なイメージはないですが、イーグルは強そうで精悍なイメージが湧きます。活字になったことで、まるで昔からその意味で使われていたかのように、一気に世界中に広まっていきました。

その直後に、イギリスでバーネスという選手がパー4を2打であがったことを伝える記事が現存します。

「近頃、アメリカで“イーグル”なる用語があるが、バーネスはそれに相当したものを達成した」

なんともイギリスらしいウィットな記事ですけれど、海を渡ってイーグルが浸透しつつあった証明となっています。こうしてイーグルという言葉は、バーディーを追いかけるように1920年代には世界中で使われるようになったのです。

今では、ビッグバードという言葉をゴルフで使用することはありません。でも、イーグルに変身した奇跡的な瞬間を知っていることで、ゴルファーの中でそれは身近なものになります。体験談と一緒にイーグルの話をしている自分をイメージできれば、道は必ず開けます。

アルバトロスとの関係

New York Jets v Houston Texans

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現在では修正されていますが、面白いことにオーストラリアだけは20世紀前半までイーグルという用語を使用しませんでした。代わりに使用していたのが「アルバトロス」という言葉でした。

オーストラリアは20世紀になるのと同時にイギリスから独立しましたが、イギリスへの忠誠の念が強かった背景から、ゴルフの新興国に過ぎなかったアメリカの主導でゴルフ用語が定着することに抵抗したからだという説が有力です。

バーディーにしてもイーグルにしても、米国が発祥で広まったゴルフ用語です。しかしアルバトロスに関してはそうではなく、イギリスで発祥して広まったようです。

アルバトロスは、パーよりも3打少ないスコアのことです。パー4のホールインワン。パー5で2打目が入ってしまう。これこそ夢のまた夢。トッププロでも、アルバトロスは経験がない人がたくさんいるほどです。

アメリカで生まれた用語にイギリスやその周辺の抵抗があったように、アルバトロスという用語はアメリカでは抵抗があったようで、今でもアルバトロスではなく、ダブルイーグルという用語を使うこともあります。こういう意地の張り合いも、調べて見るとなかなか興味深くて楽しくなります。アルバトロスについてはこれまた面白い話が色々ありますので、また、別の機会に紹介することにしましょう。

さて、イーグルに話を戻しましょう。

飛距離自慢の上級者にとって、イーグルで右往左往はしないという人も少なからずいます。長いホールが3で済んだだけ。飛ばして、乗せて、入れただけのことなのです。こういう平常心が、本当の上級者には不可欠なのだと思います。しかし、現実問題としてパー5で2オンしたり、パー4で1オンしたりするのは飛距離的に無理だというゴルファーのほうが多数派です。

イーグルは忘れた頃にやってきます。パー4で2打目が入ってしまうのも、パー5で3打目が入ってしまうのも、届く距離にある限りホールインワンと同じように入ってしまう可能性があるからです。スコアカードに記入する数字は同じイーグルです。入れちゃおう。入っちゃうかも。気楽にイーグルを狙いましょう。

考え方一つで、ゴルフは大きく変わるものです。ゴルフはメンタルが重要視されるゲームです。イーグルチャンスは常にあるのですから、自分ができることをして順番待ちをしましょう。ゴルフの神様は、あなたの順番であれば良いショットではなくとも、嘘みたいな形でボールをホールに沈めてくれるものです。

イーグルに慣れてしまって、それに感動することを忘れてしまった飛ばし屋の上級者ゴルファーと、まだイーグルを体験してないけれど順番待ちだとワクワクできるゴルファーは全く違いますが、どちらも同じぐらいの辛さであり、同じぐらい幸せなのです。

イーグルは全てのゴルファーにとって掴めない夢ではないことを忘れないようにして、ゴルフを楽しみましょう。ゴルフにはゴールがありません。だから、ゴルフはやめられないのです。

 

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